専門医資格取得のための概要を下記に記載しますので、確認の上、研修を行ってください。
また、新制度の血液専門医研修は「新血液専門医プログラム」(以下、プログラム)に則って運用しますので併せてご確認下さい。
血液専門医制度は日本専門医機構からの指導により、変更の可能性があります。日本血液学会のHP等でその都度、開示しますので、最新の情報を得るように努めてください。
新制度の血液研修は2019年4月より可能です。
対象者:2016年以降に医師免許を取得した方
研修の始め方:血液研修実績登録システムに登録して、2ヶ月以内に「研修開始申請書」を事務局へ届け出て下さい。
血液研修実績登録システム(専攻医登録サイト):
https://jshem.net/JSH_APS/Specialist/Login
研修開始申請書:提出先
一般社団法人 日本血液学会 京都事務局
〒604-0847 京都市中京区烏丸二条下ル秋野々町518番地
前田エスエヌビル8階
1.研修概要
血液専門医は一般社団法人日本専門医機構の認定資格であり、基本領域である内科専門医又は小児科専門医の総合的知識を礎に血液学領域の専門的診断力と治療技術を体得した専門医である。血液専門医の育成は、全ての血液疾患患者に標準的医療を提供するとともに血液疾患に係る先進医療の健全な発展・普及に努めること、さらに臨床血液学研究の進歩をはかり、もって国民の健康・福祉に貢献することを目的とする。
2.研修期間
研修期間:3年以上
基本領域の内科領域は連動研修が可能なため、内科研修プログラム2年目以降であること、小児領域は通常研修であるため、小児科研修が終了していること。
初期研修 | 後期研修 | 研修後 | |||||||
1年 | 2年 | 1年 | 2年 | 3年 | 1年 | 2年 | 3年 | ||
医籍後初期研修 | 基本領域研修 | ||||||||
基本領域後血液専門医研修 | 血液専門医研修 | ||||||||
基本領域血液専門医連動研修 | 血液専門医研修 |
3.研修実績登録の流れ<フローチャート>
※2022年度以降より専門研修開始(新整備基準適用)
内科・小児科 共通 *1年間に登録できる症例数は29例まで(修了認定要件の1/2まで)とする。
到達目標 77症例:赤血球領域20例、白血球領域42例、血栓止血領域15例、計77症例
修了要件 58症例:赤血球領域15例、白血球領域33例、血栓止血領域10例、計58症例
*専門研修教育施設の研修は原則1年以内とする
4.到達目標・経験目標
研修は、下記の到達目標と経験目標を目的としています。下記をよく読み、行ってください。
4-1.到達目標
血液専門医研修は、血液疾患の分野である「赤血球系疾患」、「白血球系疾患」、「血栓止血系疾患」領域の症例経験に加え、「医の倫理と医療安全」、「知識」、「診察」、「検査」、「治療」に関する専門知識の取得をカリキュラムで定めている。
1)専門技能(診察、検査、診断、処置、手術など)
血液専門医に必要な診察・検査法に関しての目標は以下の通りである。
- 血液疾患患者の専門的身体診察について正しく理解し、的確な所見が取れる。
- 血液学的専門検査が実施でき、正確に判定できる。
- 身体所見、検査所見から、血液疾患の的確な診断を下すことができる。
- 適切な治療を選択し、実施することができる。
必要とされる具体的な診察・検査法およびそれぞれ求められる経験レベルについては、血液専門医カリキュラムに記載している。
2)学問的姿勢
一例一例の症例を深く洞察し、臨床から学ぶ態度を持ち続ける。常に最新の血液学の知識を得て臨床へフィードバックするとともに、自ら積極的に学会や論文に新たな知見を発表することを心掛ける。血液疾患の成因の解明や新たな治療につながる研究を行う。
3)医師としての倫理性、社会性など
血液専門医としての臨床能力・知識だけでなく、医師としての高い倫理性と社会性を身につける。具体的には、
- 医の倫理を習熟しそれに則った医療を実践する。
- 医学的根拠に基づき患者・家族中心の医療を実践する。
- 高いコミュニケーション能力と人間性を有し医療スタッフ、患者・家族と良好な関係を構築できる。
4-2.経験目標
1)経験すべき疾患・病態
研修カリキュラムでは、各疾患カテゴリーで求める症例経験を、A:受け持ち症例として複数経験をする、B:受け持ち症例として1例以上経験する、C:概略の知識を有する、と定義しており、この基準を満たすことが求められる。小児、成人で経験頻度が異なる疾患については、同一疾患でも小児と成人で求めるレベルを違えている。 主担当医であることと適切な診療が行われたか否かの評価については、研修指導医が確認と承認を行う。なお、経験症例において外来症例を2割まで認める。また血液指導医のもとで経験した症例に限り、症例経験の1/2まで基本領域との重複を認める。
2)経験すべき診察・検査等
研修カリキュラムにおいて、診察については、A: 一人で所見が取れる、B:指導を受けて所見が取れる、検査については、A: 内容を詳細に理解している(※自分一人でできる)、B:概略を理解している、とそれぞれ定義しており、この基準を満たすことが求められる。詳細はカリキュラムに記載している。その達成度については研修指導医が確認する。
3)経験すべき手術・処置等
手術・処置について求められるレベルは、検査・治療に包含されている。詳細は研修カリキュラムに記載している。
4)地域医療の経験(病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療など)
血液診療を行う施設間でも、移植医療・先進医療を行う中核病院と標準的治療を行う病院において、患者層が異なっている。さらに、疾患・施設の特殊性から、血液診療が可能な病院は限られることから、慢性期・終末期の医療を専門外の病院に委ねる場合もある。したがって血液疾患の患者を遅滞なく専門性をもって診療するためには、地域内での病院間連携が不可欠である。そのため、認定施設となる中核病院だけでなく、標準的診療を行う病院(研修教育施設)での研修を認めることにしている。
5.自己評価と他者評価
自身が経験した症例や検査法について日本血液学会研修実績登録システムに登録し、指導医の評価・フィードバックを受けます。
態度については専攻医自身の自己評価、研修指導医、メディカルスタッフによる形成的評価を参考にして、適宜フィードバックを行う。
6.修了要件
- 主担当医としてカリキュラムで求める55症例の症例(小児科を基本領域とする専攻医は赤血球領域8例、白血球領域16例、血栓止血領域6例、計30症例)を経験し登録していること。
※2022年度以降より専門研修開始(新整備基準適用)
修了要件58症例(内科・小児科共通:赤血球領域15例、白血球領域33例、血栓止血領域10例、計58症例) - 15症例の症例要約が受理されていること。
- 血液関連の学術集会や企画に研修修了までに計5回以上参加していること。
- 筆頭演者または筆頭著者として学会あるいは論文発表の実績を2つ以上有すること。
- 内科専門医もしくは小児科専門医を有していること。
- 3年以上の認定施設での血液専門研修の実績を有すること。
7.認定試験の申請
認定試験の申請は、日本専門医機構認定血液専門医認定委員会(仮称)(現在は、日本血液学会専門医認定委員会)に提出する。
- 受験資格
血液専門医研修を修了している。
規定の経験症例数を研修実績登録システムに登録している。
血液専門医認定試験受験資格を満たしている。 - 試験の内容
筆記試験を実施する。