日本血液学会 会員 各位
今般、造血器腫瘍及び類縁疾患を対象とした遺伝子パネル検査(ヘムサイト®)が、保険適用となりました。本検査では、日本血液学会が定義する「Fast-track対象遺伝子異常」に関して、中間報告を行う機能があります。今回、ヘムサイト®の中間報告に基づき治療法の選択を行う場合は、参加者がリアルタイムで協議可能な方法での「対面式」エキスパートパネル (EP) 開催に代えて、メール回覧などの「持ち回り協議」を行うこととしても差し支えない旨、厚生労働省より通知がありました(https://www.mhlw.go.jp/content/001429433.pdf)。さらに、コンパニオン検査が存在する遺伝子の異常について、「持ち回り協議」もしくは「対面式」EPにおいて確認された場合、当該遺伝子異常に係る医薬品投与に際して、改めてコンパニオン検査を用いた遺伝子異常の確認を行う必要がないことも提示されました(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/000389434.pdf)。 なお、中間報告に関連して「持ち回り協議」を行った症例に関しても、検査会社からの最終結果やC-CAT調査結果が揃った時点で、EPの開催が必要です。
今回、日本血液学会ゲノム医療委員会では、中間報告に基づく迅速な治療法の選択における「持ち回り協議」のあり方について検討し、以下の基本的な考え方を提示します。
1「持ち回り協議」は、1)分子標的薬の適応決定に関わる遺伝子異常を認める場合注)、もしくは、2)臨床試験参加の適格性に関わる遺伝子異常を認める場合に開催する。
2 がんゲノム連携病院においては、中間報告の結果をふまえ、がんゲノム中核拠点・拠点病院に「持ち回り協議」の開催を依頼する。
注)具体的には、2025年4月1日現在、以下の3遺伝子が該当する。
1.FLT3 D835 変異(再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病に対するギルテリチニブの使用)
2.BRAF V600E 変異(有毛細胞白血病もしくは組織球症に対するダブラフェニブ/トラメチニブの使用)
3.EZH2 Y641 変異(再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫に対するタゼメトスタットの使用)
なお、がんゲノム連携病院からの「持ち回り協議」依頼方法や、がんゲノム中核拠点・拠点病院から検討結果の返却方法は、各施設で検討して下さい。
2025年4月1日
日本血液学会ゲノム医療委員会