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2019 HOA 派遣レポート 中村文美

更新日時:2019年9月26日

 今回、2019年2月22日から24日にかけてバンコクで開催された2019 Highlights of ASH in Asia-Pacific に日本血液学会よりご推薦頂き、参加させていただきましたので、ご報告させていただきます。
 今回の渡航は私にとって初めての渡航および海外学会への参加でした。参加するまでは不安と期待が交錯していましたが、日本から参加された先生方や日本血液学会を代表して参加された三谷絹子先生や中島秀明先生のおかげで、大変楽しく有意義な時間となりました。
 初日はTraineeの先生方を対象としたClinical Research Trainee Dayとなっており、午前中は臨床研究の計画から発表・論文投稿に至るまでの各プロセスにおけるTipsを講義形式で教わりました。特に印象的だったのは、地元バンコクでサラセミアの研究をされているMahidol大学小児科教授Dr. Vipのプレゼンテーションでした。英国にご留学されていたとのことですが、聴衆に伝えることを意識した大変わかりやすい内容で、nativeでなくてもこれだけのプレゼンができるのかと感銘を受けました。その後のランチタイムでもDr.Vipとご一緒させて頂きましたが、大変気さくな先生でした。HOAの期間中は、Lunch with the Expertsとして、血液の第一線の先生方とお話できる機会が設けられていました。3日目のランチタイムには多発性骨髄腫をご専門にされているStanford大学のDr. Liedtkeのテーブルで、日米の診療スタイルの違いやCAR-T療法を含めた今後の方向性などを気兼ねなくお話させて頂き、貴重な経験となりました。初日の午後は、少人数のグループに分かれて、各自の研究アイデアについて議論し、アジア各国の先生方のお話からは各国の医療事情を知ることもできました。2-3日目は、血液疾患毎に昨年のASH annual meetingもふまえた最新の知見が紹介されました。HOAではSyncというシステムが導入されており、すべてのプレゼンテーションスライドが各自のパソコン等に表示可能であったほか、聴衆が4択の質問に回答したり、チャット形式で質問を投稿できたりと、interactiveになるような工夫が随所に見られました。興味深かったのは、MDSとサラセミアの両方のセッションで、Luspaterceptについての第三相試験の結果が紹介されており、いずれの疾患でも輸血頻度を減少させるとの結果が得られていたことです。実臨床での導入が大変待ち望まれると感じました。
 初めての海外学会で痛感したのは、non-nativeの英語はかなり個性があり、個性が強すぎると長時間集中してプレゼンテーションを聞くのは難しいということです。プレゼンテーションでは内容だけでなく、発音もある程度は重要であることを実感しました。私自身の今後の課題としたいと思います。今回のHOAに参加したことで、日本の同世代の血液内科の先生方と情報交換できたのもとても有益でした。各先生の臨床や研究のお話には、施設の違いはあっても共感できる事が多くあり、向上心溢れる先生方と交流できた今回の経験を糧にして、今後も日々努力したいと感じました。最後になりましたが、このような機会を与えて頂いた三谷絹子先生をはじめとする日本血液学会および米国血液学会の関係者の皆様に、心より御礼致します。


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