日本血液学会

学会賞| Award
関連ページ
第86回日本血液学会学術集会
The 14th JSH International Symposium 2024 in Hakodate

2019 HOA 派遣レポート 立花崇孝

更新日時:2019年9月26日

 2019 Highlight of ASH in Asia-Pacificはバンコクにて開催された。前日にTrainee dayが設けられ、日本人traineeとして参加した。2月のバンコクは日本の猛暑に近く、最低気温は25度、最高気温は連日35度に達した。2月の横浜は暖冬とは言え、日中の最高気温は15度程度であり、南国気分というよりはほどほどのストレスであった。
 
【Clinical Research Trainee Program】
 アジア、オセアニア地域から15カ国60名ほどの若手血液内科が集まった。プログラムは、前半は講演、後半は討論が中心とであった。Meet the experts at lunchやgroup discussionも組み込まれ、国際交流も重要な目的の一つであった。
プログラム:①Developing and research question②Designing and running a clinical trial including ethical considerations③Tips for publishing④How to develop registries and multi-center collaborations⑤How to be a successful clinical researcher in Asia local tips⑥Small group sessionsから構成されていた。綿密に計画された講演とともに、研究の計画から論文作成まで、詳細な内容が凝縮されていた。大変有意義なプログラムであった。
 Small group session:Trainee programのメインである。アジアの参加者が6-8人程度のグループとなり、facilitatorを中心として議論を行った。各traineeが研究テーマを提示し、計画や実施に関するpresentationを簡潔に行う。それに対して、問題点を議論し、意見交換を行った。議論の内容は決して難しいレベルではなく、自身もそれなりにコメントや意見を持った。しかしながら、facilitator をはじめ、英語を母国語とするメンバーを中心に議論は進んでしまった。このため、内容が理解できない部分もあり、議論の進行を止めてしまうと懸念し、萎縮してしまった。これに対して、他のアジアのtraineeは、概ね自然な議論が成立していた。英語を母国語としない我々にも気を遣って欲しいと思いつつも、言語の問題で対等に議論できない自身にフラストレーションは溜まった。
 プログラム終了後、red skyという50階の開放的な屋上で懇親会が開催された。日本人traineeでfeed backを行った。自身を含めた多くの日本人traineeは英語での議論に相当フラストレーションが溜まっていたようだ。慰めではないが、trainee同士共感し、変に連帯感が強まったようにも感じた。一方、この問題は個人レベルではなく、日本の医学教育や英語教育といったシステムを根本的に考え直さなければならないとも思った。
 アジアのtraineeと交流し、感じたことは、各国それぞれの文化や実情があり、患者背景や医療ニーズが多様であることがわかった。共通していたことは、多忙な臨床のなかで研究に割ける時間が不足していることであった。背景には、人材や資金不足があることも示唆された。このような中、今回のtrainee含め、日本のevidence levelはアジアトップレベルにあると評価した。言語レベルは最低かもしれないが、日本の医療や研究は注目されており、リーダー的存在であるとも感じた。
 最後に本プログラムを企画し、招待していただいた米国血液学会、選定して頂きました日本血液学会、ご指導頂きました三谷先生、中島先生、一緒に勉強させて頂きました河村先生、垣内先生、原田先生、中村先生に厚く御礼申し上げます。



派遣レポート一覧ページへ戻る

関連ページ
このページの先頭へ