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第80回日本血液学会学術集会

2017 HOA 派遣レポート 島津裕

更新日時:2017年4月5日

この度、日本血液学会より推薦頂き、香港で開催されました2017 Highlights of ASH (HOA)in Asia-Pacificに参加させて頂きました。関係各位の皆様に厚く御礼申し上げますとともに、ここに学会報告をさせて頂きます。

今回、日本から6名の医師がTraineeとして参加させて頂きました。香港には初めて訪れたのですが、高層ビルと人の多さに圧倒されつつも、海に面する夜景に癒される街で、食事も美味しく、また日本からの参加者の先生に大変お世話になり、とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。

今年も学会の前に、Traineeの教育および交流を目的としてClinical Research Trainee Dayが開催され、参加させて頂きました。Research Questionをどう立てるかといったことから始まり、実際の臨床試験を立案するまでに必要なこと、基本的な統計の話、論文の書き方、プレゼンの方法と、これまで独学で学んでいたことを系統立てて講義して頂き、大変勉強になりました。午後には1時間のSmall Group Sessionsがあり、アジア各国のTraineeがチューターを中心として、討論する時間が設けられておりました。近年、日本でもPD-1抗体を始め、新規薬剤の薬価の高騰が問題となっております。しかし、アジアの他の国では、新薬のみならず、日本では当然のように使用しているイマチニブやリツキサンといった標準治療薬ですら保険診療では使用できないといった医療事情を聴き、愕然とするとともに、改めて日本の国民皆保険のありがたさを痛感致しました。

しかしアジア各国の間でも、事情は様々です。インドではGlivecのジェネリックを用いて、非劣勢試験(Glivec vs Veenet)を行うことで、フィリピンでは製薬会社がNovartis Access Programsを提供することで、改善されている面もあるようです。ただ、ジェネリックでも患者負担は大きいとの声もあり、経済的な事情から薬の減量や治療の中断を余儀なくされる、急性白血病の寛解導入といった長期入院を行うと家がなくなり社会に戻れなくなるため、強度の強い治療ができないといった様々な問題があるということを知ることができたのも、HOAの特徴ではないかと思います。

以前、ASHに参加させて頂いた時は、会場の大きさと演題数の多さに圧倒され、効率的に回るのが大変だったと記憶しています。HOAは専門の先生が分かりやすくまとめて下さっているので大変効率的であり、アジアでの開催とあって日本との時差が少なく、集中して勉強できるは最大の利点だと思います。また講師の先生方との距離が近く、Meet the ExpertやCoffee Breakを利用して積極的にKenneth Anderson先生をはじめ有名な先生方に質問ができ、普段聞けないお話しができたことが最大の収穫でした。

取り上げられていた演題は、臨床の話題が大半でした。このような機会がないと勉強しないであろうサラセミアや凝固系の話はよい勉強になりました。個人的に印象に残った演題は、多発性骨髄腫に対するAuto後の治療戦略(BMT CTN 070試験、#LBA-1)、感染に対するhepcidinの影響(#260)、慢性GVHDに対するIbrutinibのPhase II studyの結果(#1129)、ITPに対する骨髄検査の必要性の検証(#1367)、Mastocytosisに対するBLU-285のPhase I studyの結果(#477)などです。どのセッションも、最初にその分野におけるアジアの国の実情を紹介するスライドから始まり、ケーススタディーを散りばめつつ、最新の臨床試験の結果も十分量の内容をコンパクトにまとめて提示されており、聴衆の集中力を切らさない工夫を随所に感じました。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えて下さいました日本血液学会、アメリカ血液学会の先生方、事務局の天野真美様、Michelle Lara様、京都大学血液・腫瘍内科の高折晃史教授、京都大学ウイルス・再生医科学研究所再生免疫学の河本宏教授に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

    
 

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