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2013 Highlights of ASH in Asia in Shanghai 派遣レポート 後藤 辰徳 (名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 )

更新日時:2017年1月5日

後藤 辰徳

この度、3月23日から24日に中国上海で開催されました、Highlights of ASH in Asiaに参加させて頂きました。

今回、Highlights of ASH in Asiaが開催された上海は、中国最大の都市であり同国の商業・金融・工業・交通などの中心を担う世界でも有数の経済都市であります。会場のあった浦東新区は上海ワールドフィナンシャルセンター・ジンマオタワー・東方明珠電視塔などの超高層建築物が建ち並ぶ上海新都心であり、一方では黄浦江を挟んだ向かいには外灘があり、19世紀後半から20世紀前半にかけて建設された西洋式高層建築が建ち並ぶレトロな街並みを見渡すことができます。PM2.5や黄砂などが心配され、やはりどこか空気がどんよりとして視界が悪いようでしたが、幸いにも滞在した3日間中2日間は雨であり、影響はあまり受けなかったと思います。帰国後にはトリインフルエンザによる死者が上海で報告されていましたが、帰国後も発熱など認めずに過ごしております。

今までにASHに参加したことはありましたが、Highlights of ASHに参加をすることは今回が初めてでした。ASHに参加した際は、会場が広く演題も非常に多く、どこを回ったらいいのか右往左往していた記憶がありますが、このHighlights of ASHは1つの講演会場と1つのポスター会場で行われ、ASHの内容が簡潔に凝縮されたものとなっていました。会場の大部分は中国の方々で埋め尽くされていましたが、その他に10カ国以上のアジアの国から参加者が集まっていました。プログラムは急性骨髄性白血病、造血幹細胞移植、血栓、ITP、骨髄不全、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫など、12のセッションに分かれており、各分野のエキスパートが30分程で、昨年のASHでの演題のうち重要ないくつかをピックアップして紹介をするという内容でした。はじめに症例提示がなされ、それに関する問題点を、ASHの発表演題を示しながら、その結果をどう解釈するのかというコメントも含めて解説がなされ、重要なポイントが非常に分かりやすいものとなっていました。2つのセッションが終わるごとにディスカッションの場が設けられており、フロアから多くの質問が演者に寄せられていました。質問の内容は、各国の事情が反映されたものが多い印象でしたが、それに対しても適切に応答がなされていました。この他に、外灘の建築物の夜景を眺めながらのDinnerや、Lunchが用意されており、演者の先生方や各国から集まった参加者の方々と話をして交流する機会を持つことができました。インドネシアやタイ、シンガポールなどアジアの国々の血液内科医と話をして印象的だったことは、「TKIが高価であることから使用できず、すぐに再発を来してしまう」、「自家移植の際、G-CSFが高価なために末梢血幹細胞移植ではなく自家骨髄移植を行っている、ましてや同種移植は高価で行えない」という具合に、一般的には標準治療とされている治療を行うことができないといった苦悩を抱きながら診療にあたっているという話を聞いたことでした。同じアジアの国々の血液内科の先生方と話ができ、各国の事情を知ることができたことは非常に貴重な経験となりました。

最後になりましたが、このような素晴らしい貴重な機会を与えて下さりました日本血液学会ならびに直江知樹先生に心から感謝を申し上げます。

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