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2012 Highlights of ASH in Asia in Singapore 派遣レポート 藤原 慎一郎 (自治医科大学血液内科)

更新日時:2017年1月5日

 この度は2012年3月3日から4日までシンガポールで開催されました2012 Highlights of ASH in Asiaに参加する機会を与えて下さり誠にありがとうございました。

 シンガポールには成田から直行便で約8時間のフライトでしたが、到着すると汗ばむような気候で服装を夏の装いにしてホテルに向かいました。赤道直下であり年間を通して25~27度の高温多湿な気候が続くそうです。現地の日本人にお聞きしましたが、やはり、日本の四季が懐かしくなるとのことです。学会会場は中心部(シティ)のRaffles City Convention Centreにて行われました。会場周辺には、ラッフルズ・ホテル、マーライオン、マリーナ・ベイ・サンズ(ホテルの上に舟が位置している)など有名なスポットがあり多くの観光客でにぎわっていました。観光地は、あまりにも街並みがきれいで不自然さも感じましたが、少し地下鉄で市内を離れると、いわゆるアジアの街並みがあって多種の人種が生活しており、中国・マレー・インド系の文化が上手く一つの国に共存しているようにも感じました(あくまで2日間の印象です)。

 学会は1会場で行われ、ざっと数えて500人程度の参加者であったと思います。シンガポールからの参加者も多かったですが全体的には中国からの参加者が多い印象でした。日本からの先生にはあまりお会いできませんでした。学会は実質1.5日で、セミナー+質疑応答の形式でした。acute leukemia、MDS、NHLなどの疾患毎に、今年度のASHの重要な発表についてエキスパートからの解説が続きました。疾患はバランスよく選ばれており止血・血栓領域(HIT、TMA、VTEなど)は大変勉強になりました。当然、時間の制約がありますので、基礎的な研究よりも臨床試験の解説が中心でした。例えば、acute leukemiaのセクションでは、AMLの遺伝子異常、gemtuzumab ozogamicin、leukemic stem cells、APLの維持療法、ALLへの新規免疫療法についての解説がありました。全体として臨床医向けの内容であったと思います。ASHでいくつかの会場を回るよりも、Highlights of ASH in Asiaでは効率的に臨床試験等のup to dateができるかもしれません。印象に残ったものは、MDSへのアザシチジン+HDAC阻害薬、骨髄線維症へのJAK阻害薬、CMLへの第三世代TKI、Hodgkin lymphomaへの抗CD30抗体-薬物複合体骨髄腫への新薬(新規プロテアソーム阻害剤など)、atypical HUSへのeculizumab、骨髄不全症へのeltrombopagなどでした。いずれも、日本においては未承認・保険適応外の治療薬ですが期待のもてる成績が報告されていました。このように日本で使用できない治療薬の臨床試験が非常に早いスピードで行われている現状で、日本の臨床試験がどのようにしてインパクトを残してくのかは大きな課題であるように感じました。学会は、演者との距離も近いせいか質疑応答も活況であったと思います。一方、演者もASHの教育講演とは違ってリラックスした感じで講演が多かったと思います。今回、Highlights of ASH in Asiaに参加されていた先生やシンガポールに留学されている先生とお話しする機会もあり、学会に参加しなければ出会うことがなかったと思われる先生方とお話しできたことはとても刺激になりました。

 最後になりましたが、このような素晴らしい機会を与えてくださった日本血液学会国際委員会及び事務局の皆様に心より感謝いたします。

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