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第80回日本血液学会学術集会

17th EHA Congress Travel Award 受賞レポート 安井 寛

更新日時:2017年1月5日

久富 崇氏

名前:安井 寛【札幌医科大学 内科学第一講座・道民医療推進学講座】
発表日時:2012年6月15日
発表形式:poster 

Title:

Hypomethylation of endogenous retrotransposons is correlated with frequent chromosomal deletions and poor prognosis in multiple myeloma.

Abstract:

PURPOSE: Aberrant genome-wide hypomethylation is thought to be related to tumorigenesis through its promotion of genomic instability. Since the methylation of endogenous retrotransposons, which make up at least 42% of the human genome, including long interspersed nuclear element 1 (LINE-1) and short interspersed element Alu, plays an important role in the silencing of transposon-mediated mutagenesis, hypomethylation of retrotransposons in human tumors may lead to their reactivation. However, the role of the methylation of retrotransposons in multiple myeloma (MM), characterized by various chromosomal aberrations, remains to be elucidated. In this study, we investigated the methylation levels of retrotransposons, their correlation with the chromosomal aberrations, and their clinical relevance in predicting prognosis.

EXPERIMENTAL DESIGN: We analyzed the methylation levels of LINE-1 and Alu as well as DNA copy number alterations in purified bone marrow plasma cells from patients with MM (n=74), patients with monoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS, n=7), and normal plasma cell providers (NPC, n=4) using bisulfite-pyrosequencing and array-based comparative genomic hybridization (aCGH), respectively.

RESULTS: We found a progressive and significant methylation decrease in Alu and LINE-1 from normal controls to MGUSs and MMs. Secondarily, the numbers of deleted probes of aCGH were significantly inversely correlated with the methylation levels of LINE-1 as well as of Alu. Importantly, hypomethylation of LINE-1 was well associated with frequent chromosomal deletions, including the deletion of chromosome 13. Finally, we observed significantly poorer prognosis in the lower LINE-1 methylation group compared with the higher group.

CONCLUSIONS: Our data suggest that the hypomethylation of retrotransposons, especially LINE-1, correlates significantly with malignant levels, the frequency of chromosomal deletions, and prognosis in MM, and that LINE-1 methylation could be a useful marker for risk stratification.

EHA congress 印象記:

安井氏イラスト  この度は、オランダ・アムステルダムで開催されました「17th EHA congress」に参加する機会を与えてくださり、ありがとうございました。わたしにとって初めてのEHA参加であり、とても貴重な経験をさせていただき、感謝しております。

 近年の基礎研究により、遺伝子異常のみならず、DNAメチル化をはじめとするエピジェティックスの異常が、発がん・がん進展に寄与することが分かってきました。当科は以前より、多発性骨髄腫などの種々のがんにおいて、DNAメチル化異常を継続して研究しており、候補遺伝子アプローチによりプロモーター領域におけるメチル化異常を探索し報告してきました。現在は、より網羅的かつ俯瞰的なメチル化異常の解析として、トランスポゾン領域を含めた全ゲノムレベルでの解析を進め、多発性骨髄腫の多彩な病態や染色体異常との関連を研究しております。このたびの演題発表は、このような研究の一部であり、ヒトゲノムの約42%を占めるトランスポゾンのDNA低メチル化に着目し、アレイCGH法によるゲノム構造異常の解析結果と比較し、レトロトランスポゾンのDNAメチル化と染色体不安定性との関連について検討した研究です。多発性骨髄腫における多彩な染色体異常と、レトロトランスポゾンのDNA低メチル化との関連が認められ、興味深いデーターだと思います。

 演題発表の時は、血液内科医・骨髄腫専門医としてヨーロッパ諸国に戻っているDana-Farberがん研究所の研究室(Kenneth Anderson 教授)の同僚たちが、研究課題を見に来てくれました。皆、ポスターを見ては、口をそろえて「レトロトランスポゾンってなんだ?」といった根本的な質問をしております。そういった同僚らですが母国や欧州で活躍しているようで、実際にEHAにて討論や講演をしている姿を見ることは、嬉しくて励みになりました。(残念ながら写真は撮れませんでした・・)

 EHAに参加して思ったことは、教育講演が充実していることです。わたしの研究課題である多発性骨髄腫においても、基礎研究・トランスレーショナルリサーチ・臨床研究がバランスのとれた形で講演されており、とても勉強になりました。

 また、学会期間中のアムステルダムにて、日本血液学会の役員・事務局、参加者や受賞者の皆さまと会食をする機会にも恵まれました。非常に貴重な機会であり、私にとって大変刺激になるとともに、今後の励みになるものでもありました。

 最後になりますが、このような機会を与えてくださった日本血液学会事務局および国際委員会の諸先生方、ご指導頂きました札幌医科大学内科学第一講座の篠村恭久教授、石田禎夫先生、林敏昭先生、血液チームの皆さま、エピジェティックス研究をご指導いただいた分子生物学講座の皆さまと公衆衛生学講座の野島正寛先生、そして、当研究に一生懸命取り組まれた大学院の青木由佳先生、当研究に関わる全ての皆さまに心より感謝いたします。

安井寛氏、パネル前

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