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第80回日本血液学会学術集会

16th EHA Congress Travel Award 受賞レポート 久富 崇

更新日時:2017年1月5日

久富 崇氏 

名前:久富 崇【佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科】
発表日時:2011年6月10日
発表形式:Poster session Ⅰ 17:45-19:00

Title:

DNA-dependent protein kinase as a promising molecular target for the treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma

Abstract:

The DNA repair system is a promising target for sensitization and overcoming drug resistance on cancer treatment. Since the cells that genetically too unstable will die, a treatment that blocks a particular DNA repair system can induce apoptotic cell death on cancer cells but not on normal cells. We recently found that high expression of catalytic subunit of DNA-dependent protein kinase (DNA-PKcs) was observed in adult T-cell leukemia-lymphoma (ATL) cells. In addition, a new chemotherapeutic drug NK314 possessing inhibitory activity for both topoisomerase II and DNA-PK potently inhibited the growth of various ATL cell lines. According to the results, we designed combination treatment with various DNA-PK inhibitors and chemotherapeutic agents. NU7026, a DNA-PK inhibitor, enhanced the anti-cancer activity of etoposide. Such enhancement of cell growth inhibition by DNA-PK inhibitors was not observed in DNA-PK deficient cancer cell line, M059J cells. These results suggested that DNA-PK is a promising target molecule for ATL. We also identified that hnRNP B1, a RNA binding protein, directly bound with DNA-PK complex and inhibited DNA-PK activity in lymphoid malignant cells. Since hnRNP B1 is overexpressed in a population of ATL cells, hnRNP B1 can be a prediction marker for response to combination therapy with DNA-PK inhibitors and chemoradiotherapy.

EHA congress 印象記:

久富 崇氏の会場での様子  この度は2011年6月9日から12日までロンドンで開催されました、The 16th EHA congressに参加する機会を与えて下さり誠にありがとうございました。

 ロンドンにはビックベンやバッキンガム宮殿、ウェストミンスター寺院など歴史的建造物が数多く存在しており、何とも言えない荘厳な雰囲気でした。また私の想像以上に教会が多く、緑にあふれた美しい街でした。2012年にはロンドンオリンピックが開催されるため、町のあちらこちらにステッカーやカウントダウン表示が出ていました。

 学会会場はロンドンの中心部より東に位置しているExcel Londonという場所でした。海外の会場だけあって非常に大きく、端から端までは早歩きでも5分以上かかりました。学会の大きな横断幕があるとばかり思っていましたが、実際にはなく学会に参加したという証拠写真を撮る場所に苦労しました。

 参加者の多くが欧米人で、演題も多かったのですが、アジアからの演題も増えてきているようで、今回日本からの演題は36題でした。初日はSatellite Symposiaのみで、翌日よりEducation session、Workshop、Plenary session、Poster session等が開催されました。Education sessionは午前と午後の2度同じ内容が開催され、聞きたい内容を漏らすことなく聴講出来たのは非常にありがたい事でしたし、内容も充実していました。またLunch Debateとして「多発性骨髄腫の患者全てに維持療法は必要か?」、「濾胞型リンパ腫では初回再発時に移殖するべきか?」などの議題に対して「Yes」と「No」に演者が分かれてそれぞれの意見を交わすSessionがあり非常にexcitingでした。

 私はPoster sessionで、ATL細胞ではDNA2重鎖切断修復に重要なDNA-依存性キナーゼ(DNA-PK)が高発現しており、DNA-PK阻害剤はエトポシドの抗腫瘍効果を増強することから、ATLに対する新たな分子標的となりうること、また新規抗癌剤であるNK314はトポイソメラーゼⅡとDNA-PKの両者を阻害し、エトポシドよりも強力なATL細胞の増殖抑制作用があることから、ATLにおいてDNAダメージの誘導とDNA修復の阻害という2つの作用を持つこと、さらにRNA結合蛋白であるhnRNP B1はATL細胞で高発現しており、DNA-PK阻害剤の効果予測因子となる可能性があることについて示しました。今回の総会にはATLに対する演題が私のみでしたので、同じ疾患をターゲットとした研究者や臨床家との活発な議論とはいきませんでしたが、それでも違った観点からの質問もあり非常に有意義な発表でした。発表は日本血液学会と同じく、それぞれのトピックに分かれて座長と共に各自のポスターの前で5分程度のpresentation(特に時間は決められていません)を行ってdiscussionを行うというものでした。

学会期間中に日本血液学会の役員・事務局、また参加者の先生方と食事をする機会にも恵まれました。非常に貴重な機会であり、私にとって大きな刺激となるとともに励みにもなりました。またどこかでお会いできることを楽しみにして、日々の臨床・研究に打ち込んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、Travel Awardがなければ今回EHAには参加していなかったことと思います。国内でもそうですが、国際学会であれば尚のこと強い刺激を受け次のステップを目指す大きな力になると思います。このような素晴らしい発表・勉強の機会を与えて頂きました日本血液学会の皆様、さらに非常に忙しい日々のなかで長期間病棟を離れることを快く承諾して頂きました木村晋也教授、ならびに教室の皆様に心より感謝申し上げます。

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