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2025 HOA 派遣レポート 長谷河昌孝

更新日時:2025年4月15日

この度、横浜で開催されたHighlights of ASH(HOA)に派遣者として参加させていただきましたので、ご報告いたします。

私は北海道大学小児科に所属し、現在は国立がん研究センター研究所がん進展研究分野で大学院生として研究をしております。同じ研究室の東北大小児科の戒能先生から昨年参加されたHOAが大変良かったと勧められ、この派遣事業に応募いたしました。

今回の派遣事業では、初日のClinical Research Trainee Day(CRTD)と土日のHOAに参加しました。CRTDでは主に臨床試験の立案について学びました。普段、臨床試験の論文を読むことは多くても、試験計画の立て方を意識する機会は少なく貴重な経験となりました。またキャリア形成の講義では、「Importance of a Good Mentor/Mentee Relationship」というセッションが特に印象に残りました。これまで自分がMenteeとしてどのように行動すべきかを深く考えたことがなかったため、新鮮な気づきがありました。「Mentee miss step」としてMenteeが陥りやすい悪いphenotypeが紹介され、特に「Over-committer: 何でもYesと引き受けてしまい結果として不十分なアウトプットとなる」というphenotypeには思い当たるところがありました。また、「Mentorの時間に敬意を払うべきである。締切の直前に抄録の確認のメールを送ることは敬意に欠ける行動である」という指摘にはグサリとくるものがあり、自分の行動を見直さねばと感じました。

午後はグループワークショップが行われ、アジア各国の参加者とともに「臨床的疑問の臨床試験に適した問いへの磨き上げ」と「キャリア形成」について議論しました。他の参加者は英語でのコミュニケーションに困らず積極的に発言していましたが、自分は質問に答えるのが精一杯で、その差を痛感しました。臨床的な疑問を研究に耐えうる問いにするには、想像以上に多くの検討事項があり、さらに各国の医療事情の違いもあり、議論をまとめるのは難しい作業でした。しかしファシリテーターのサポートを得て、なんとか有意義な議論を進めることができました。

2日目以降のHOA本番は、1テーマを30分でASHの最新発表を専門家がまとめ、2-3テーマの後にパネルディスカッションで質疑応答が行われる形式でした。ASHでは複数の会場で同時に講演が行われますが、HOAの会場は1ヶ所のみのため迷わずに集中して聞くことができ、効率的に学ぶことができました。小児科領域では扱わないテーマも多かったですが、普段学ぶ機会の少ない成人領域に対して幅広くかつ最新のトピックを学ぶ良い機会となりました。

HOAの昼食では「Lunch with Expert」という、発表者の先生方と昼食を取りながらディスカッションができる企画が開催されました。私はALLを専門とするDuVall先生のテーブルに参加しました。小児科医も多く参加しており、各国の診療や保険制度の違い、難治症例のマネジメントなどについて、DuVall先生のコメントを交えて活発な議論が行われました。英語に苦手意識があるため緊張しましたが、拙い英語でも発言するとゆっくりと丁寧に聞いてくださり、質問にも丁寧に答えていただき、英語でコミュニケーションを取れたという実感が得られました。終了後には同席した台湾の小児科医とも連絡先を交換するなど、良い交流ができました。

また、今回共に派遣された血液内科の先生方と一緒に過ごした時間が何よりの思い出になりました。たった数日ではありましたが同年代であったこともあり、学生時代に戻ったような非常に楽しい時間でした。単に成人の血液内科の先生と知り合えたということだけでなく、今回の参加メンバーの先生方と仲良くなれたことが私にとって一番大きな収穫だったかもしれません。

参加前は、自分の知識不足や英語力への不安がありましたが、実際に参加すると全てが杞憂であり、充実した3日間を過ごすことができました。知識や英語力がより高ければ得られるものは多かったと思いますが、それ以上に重要なのは、とりあえずチャレンジしてみることだと感じました。このレポートを読み参加を迷っている先生がいましたら、ぜひ挑戦をお勧めしたいです。

最後になりますが、このような機会をくださった日本血液学会およびASHの皆様、推薦してくださった北海道大学小児科の真部淳教授に深く感謝申し上げます。

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