日本血液学会

学会賞| Award
関連ページ
第87回日本血液学会学術集会
The 15th JSH International Symposium 2025 in Saga

2025 HOA 派遣レポート 寺本昌弘

更新日時:2025年4月15日NEW

2025年2月に横浜で開催されたHighlights of ASH (HOA) in Asia-Pacificに、日本血液学会からのご推挙をいただき、派遣要員として参加いたしました。本稿では、その活動内容をご報告いたします。今後、HOAへの参加を検討されている先生方の参考になれば幸いです。

まず全体的な感想を申し上げますが、HOAで過ごした3日間は非常に密度の濃いものでした。HOAの特筆すべき点は、海外から来られた著名な先生方との距離感が近いことではないかと、個人的には思います。詳細は後述しますが、私自身、勇気をふりしぼって何名かの先生に直接お話を伺いました。英語に不安はありましたが、その先生方は忍耐強く私の話を聞いてくださり、貴重なfeedbackをくださいました。素晴らしい経験をさせて頂きました。

次に今年のHOAの具体的なスケジュールについてですが、まず初日にはClinical Research Trainee Dayという、アジア各国から来た若手医師・研究者向けに、臨床研究の立ち上げ方について学ぶ講習会が開催されました。午前中は座学がメインであり、臨床研究の立ち上げに関する基本的な内容は勿論ですが、「良いメンターシップの重要性」というようなユニークな講演を聞くこともできました。午後はSmall Working Group Breakoutsという企画が行われました。これは、予め参加者を複数のグループに分け、グループ毎に与えられた課題に基づいて、臨床試験を組み立てるためにアイディアを出し合うというものです。私のグループには、「経過観察中に自己免疫性溶血性貧血を発症したCLL患者に対する最適な治療は何か?」という課題が与えられ、エキスパートの先生の指導のもと、議論を行いました。英語での議論にはかなり苦労しましたが、各国の先生方が私の意見に耳を傾けてくださり、また、エキスパートの先生方も丁寧に対応してくださいました。更に、各国の先生方がそれぞれの国の臨床事情に基づいた話をしてくださったことも印象的でした。

HOAの2日目、3日目は、本年度のASHで発表された注目の研究について、海外の先生方が分野別にまとめた講演が、朝8時から夕方6時頃まで集中的に行われました。どの分野のお話も非常に魅力的でしたが、日本であまり見ることが無いサラセミア、鎌状赤血球症の講演で、他国の先生方がそれぞれの国の実情を踏まえながら演者に熱心に質問をしている姿が印象的でした。これらの疾患に関する知識のアップデートの必要性を強く感じました。また、この期間中は各分野のエキスパートの先生方と昼食を一緒にできるチャンス (Lunch with the Experts)が設けられており、私は造血幹細胞移植、CAR-T療法をご専門とされている先生のテーブルに参加させて頂き、幸いにもその先生のお隣の席に座ることができました。その先生からは、これからの造血幹細胞移植とCAR-Tを含めた新規細胞治療の在り方に関する壮大なコンセプトについて教えて頂き、目から鱗が落ちる思いでした。このように、海外のエキスパートの先生方から、ご自身の研究分野の細部にわたる話、最新の話を直接伺えるチャンスが多いことが、HOAの大きな魅力ではないかと思います。

また、日本血液学会から派遣された他の先生方との交流も忘れられない思い出です。HOA 2日目の夜には皆で食事をしましたが、これまでの医師としての経験談というような真面目な話から、プライベートな話までさせて頂き、リラックスしながら楽しいひと時を過ごしました。一緒にご参加いただいた5名の先生方には、深く感謝いたします。また、今回のHOA in Asia-Pacificは日本国内での開催ということもあり、住み慣れた環境という安心感も大きかったです。余談ですが、会場近くに温泉施設があり、会期中の緊張をほぐすために利用しました。みなとみらいの夜景を眺めながら温泉に浸かり、日本の良さを改めて実感しました。

以上が私の報告です。最後になりますが、今回、HOAに日本血液学会から派遣要員として参加できたことを、大変光栄に思います。このような貴重な機会をくださった日本血液学会の関係先生方、事務局の天野様をはじめとするスタッフの皆様、アメリカ血液学会、ご推薦くださった吉原教授、私を快く送り出してくださった当科の先生方に心から感謝申し上げます。

派遣レポート一覧ページへ戻る

関連ページ
このページの先頭へ