Highlights of ASH in Asia-Pacific 参加レポート
2025年2月21日から23日の3日間、横浜において Highlights of ASH (HOA) in Asia-Pacific が開催され、日本血液学会からの派遣により参加いたしました。貴重な機会をいただきましたことを心より感謝申し上げます。本レポートでは、今回の経験についてご報告いたします。
1. 参加の経緯 ~ 参加日まで
私は血液内科専攻医3年目で、これまで国際学会に参加したことがありませんでした。以前から国際学会への参加を希望しており、上司からこの派遣プログラムについて教えていただいた際、ASHの著名なエキスパートやアジア各国の血液内科医との交流を深める絶好の機会だと考え、応募しました。日本開催で移動の負担が少なかったことも、応募を後押しする要因となりました。
採択の通知を受けた際は大変光栄に思うと同時に、英語でのコミュニケーションへの不安もありました。忙しい臨床業務の合間に準備を進めましたが、十分とは言えず、事前に各血液疾患の最新研究(特に臨床データ)を整理しておけば、より充実した学びが得られたと感じています。
2. Clinical Research Trainee Day (CRTD)
会期前日に開催された Clinical Research Trainee Day (CRTD) では、臨床研究の立案、データ解析、論文執筆のコツなど、実践的なスキルを学ぶことができました。特に印象に残ったのは、「良いMentorとMenteeの関係の築き方」 に関する講義でした。良いMentorを見つける方法や、Menteeとしての姿勢についての講義は、今後の研究生活において非常に参考になりました。
また、CRTDでは約2時間のワークショップがあり、7〜8人の少人数グループに統計家や血液内科のエキスパートが2人ずつ付き、臨床研究の構築プロセスを実践的に学ぶ 貴重な機会となりました。英語でのディスカッションを通じて、各国の血液内科事情を知ることができたのも興味深かったです。初めは緊張しましたが、エキスパートの先生方がファシリテーターとしてサポートしてくださり、有意義で楽しい時間となりました。
ワークショップ終了後、同じテーブルの参加者と WhatsAppグループ を作成し、血液診療に関する情報共有を行うことになりました。国際学会ならではのネットワーキングの醍醐味を実感しました。
CRTDの後、日本の著名な血液内科の先生方からお食事に誘っていただきました。緊張のあまり食事や飲み物の味は覚えていませんが(笑)、海外留学、研究室選び、研究テーマの決め方 などについて貴重な助言をいただき、大変勉強になりました。
3. HOA本会議
本会議では、2025年の ASH年次総会のハイライト を各分野のエキスパートが厳選した Abstractを解説 し、最新の知見を効率よく学ぶことができました。私は今回、「1日1回、必ず質疑応答に参加する」という目標を掲げていました。初めは緊張しましたが、Panel Discussionの時間が十分に設けられており、エキスパートと直接対話する機会が豊富だったため、思い切って質問することができました。各国の血液内科の現状や課題を共有しながら、最新知見について意見を交わすことができたのは、非常に貴重な経験 でした。
また、昼食時には "Lunch with Expert" が開催され、エキスパートと少人数でディスカッションできる機会がありました。私もAMLのエキスパートの隣に座り、質問をすることができました。特に印象に残ったのは、インドの血液内科のエキスパートが、「新しいエビデンスや遺伝子治療の技術が登場する中で、医療資源が限られた環境でどのように最適な診療を行うかを議論すべき」と話されていたことです。国や地域による医療資源の違いについて改めて考えさせられる機会となりました。
4. 参加を通じて感じたこと
月並みな感想ですが、英語でのディスカッションにもっと慣れる必要がある と痛感しました。各国の先生方が、質疑応答やディスカッションで物怖じせず積極的に発言している姿が非常に印象的でした。
また、人とのつながりの大切さ を実感しました。国際学会では、さまざまなコミュニティに参加することができ、多くの刺激を受けることができます。今後も積極的に国際学会に参加し、知識のアップデートだけでなく、人脈の形成にも努めたいと強く感じました。さらに、現在取り組んでいる小さな臨床研究を何とか形にし、次回は発表者として学会に参加したいという目標ができました。
5. 謝辞
今回のHOA 2025への参加にあたり、ご一緒させていただいた先生方、活発な議論を交わしてくださった皆様に心より感謝申し上げます。また、このような貴重な機会を提供してくださった 日本血液学会、米国血液学会、関係者の皆様、ならびに推薦くださった 水本先生、高折先生、多忙の中で送り出してくださった 京都大学医学部附属病院の先生方 に厚く御礼申し上げます。
最後に、家族の支えがあってこそ、このような機会を得ることができました。小さな子供たちを残しての参加には後ろ髪を引かれる思いもありましたが、「たくさん学んできなさい」と快く送り出してくれた愛する妻に、この場を借りて深く感謝申し上げます。