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2024 HOA 派遣レポート 戒能 明

更新日時:2024年3月22日

2024年2月にシドニーで開催された2024 Highlights of ASH in Asia-Pacificに参加させて頂きましたので、その様子を報告致します。私は小児科医で、且つまだ医師5年目ですが、レベルの高い場所に飛び込んでみようと決意し、派遣事業に応募しました。派遣して下さった日本血液学学会の皆さまに感謝申し上げます。

Highlights of ASHは3日間の構成で、1日目がClinical Research Trainee Day、2-3日目が学術集会です。学会全体のイメージは「合宿」に近い印象です。Clinical Research Trainee Dayは各国の若手医師が集まり(約80人、約10か国)、主に臨床研究について、中規模教室で朝から夕方までレッスンを受けます。講義で臨床研究の計画の立て方やレジストリの作り方、論文投稿のコツ、メンターとの接し方など様々なトピックについて、概念的なところから実践的なところまで教えて頂いたうえで、1グループ7人trainees + 2人 lecturersずつに分かれて、自分の研究や今後のキャリアについて講師と参加者とで話し合い、アドバイスを頂きました。講義は講師が双方向的になるように工夫しており、参加者からは各国の医療状況に応じた質問も飛び交い、勉強になりました。グループワークは2時間連続で行われます。下の写真の私は疲労困憊で顔が歪んでいますが、大変充実した2時間でした。自分の仕事や考え方をプレゼンすることで、自分自身の整理にもなり、そのことを講師の先生や他国の方からアドバイスを頂けるということはなかなかないものだと思います。
2-3日目は学会本体ですが、これも合宿に近いイメージです。各テーマを前年のASHの優れた演題を使って、最新の状況を解説していくという、大変贅沢な「授業」を受けることが出来ます。大ホール1会場のみなので全ての講演を落ち着いて聞くことが出来ます。リンパ腫や造血幹細胞移植などの血液学の王道テーマから、小児のカテーテル留置による血栓症やcross-sex ホルモン治療によるtransgender 患者に生じる問題など他ではなかなか聞けないけど重要なテーマも扱っていました。1テーマ30分1演者で行い、2演題の後に、2演者+座長が一緒に前に座り質疑に応えるという形式でした。講演は、症例提示と聴衆への質問を混ぜながらabstractを使って解説するという形式が多く、1演題30分ですが、自分でも考えながら聞くことが出来、双方向性を意識していると感じました。質疑応答は2演者と座長が一緒に座るので、質問を機に、その場でディスカッションを始めることもあり、そこから得られる情報も大変有意義でした。

学会の内容自体は以上になりますが、私が今回最も楽しく、勉強になったのはin personで色々な人と交流できたことです。2-3日目の学会ではlunch with expertsがあり、各テーブルに各ジャンルのエキスパート2名がいて、8人程度の参加者が一緒にランチをすることが出来ます。文字通りのエキスパートに自分の日頃の質問をすることが出来る贅沢な1時間でした。

また日本の血液内科の先生方、台湾のメンバーたちと仲良くなれたことは一生の財産です。血液内科の先生たちとの何気ない会話が、onlineでは経験できない非常に刺激的な時間でした。台湾の人たちとは医療のこと、血液学のこと、お国のことなどを楽しく話す機会を得ました。しかも2人も小児血液がんの医師が来ていていました。台湾の人たちは「JSHは普通に行くようにしている」と言っていて日本人として嬉しく思いました。10月の日血、来年2月のHOA@横浜での再会を誓って、皆様とお別れしました。このようなご縁を大切にしていきたいです。

最後になりましたが、一緒に学会に参加して下さった大屋先生、寺尾先生、柳谷先生、前垣先生、髙橋先生、学会を運営して下さったアメリカ血液学学会、オーストラリア・ニュージーランド血液学学会の皆さま、本事業に推薦して下さった東北大学小児科の笹原洋二先生と血液腫瘍グループの先生方に深くお礼を申し上げます。有難う御座いました。

 

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