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2024 HOA 派遣レポート 大屋周期

更新日時:2024年3月8日

2024年2月15日から17日の3日間、シドニーにおいてHighlight of ASH(HOA)in Asia-Pacificが開催されました。現地での体験をここに報告させていただきます。この報告文を読んでくださっている先生の中には、少なからずHOAに興味がある方がいらっしゃるのではないかと思います。HOAでの具体的な体験談は同じく参加した他の先生方の報告に委ね、私の報告では専ら、「英語が苦手だけど参加して良いものか」と思っている先生方に対して、今回の経験をもとに一意見を述べさせていただければと思います。

多くの医学書は日本語に翻訳し出版され、AI翻訳が進化した現代において、積極的に英語を学ぼうとしなければ身につかない状況になってきているのは言うまでもなく、私にとっても正直なところ耳が痛いです。海外の学会に参加したことがある先生であれば、イメージがつきやすいと思いますが、その場における英語の理解度はその場の「状況」に大きく依存します。交されている英語の内容が自分にとって精通している分野か否か、また、目の前に理解を手助けする情報が存在するか否か、です。海外の学会で多く経験する目の前にスライドが提示され、英語話者の先生の講演を聞くことは、「目の前に理解を手助けする情報が存在する状況」を指します。

一方、今回のTrainee Day を含むHOAにおける特徴として、Free Discussionの場が設けられ、「目の前に理解を手助けする情報がない状況」が存在します。確かに、英語を苦手とする私にとっては、この状況には窮する部分もありました。しかし、Discussion における内容が自分にとって精通しており知識が備わっている場合には、それが英語能力のビハインドを大きく補完するものであったことをここに強調します。HOAの昼食の時間にはLunch with Expert という企画が設けられており、自分の興味のある領域のエキスパートの先生とテーブルを囲んで、昼食を食べながら質問し放題という時間が存在します。私はMRDを用いたAML治療の最適化に興味があり、今回この企画のAMLエキスパートを担当した Dr. Andrew Wei はまさしくその分野における第一人者で、参加しない手はないと勇んで昼食テーブルの隣の席を確保しました。私の拙い英語に対して、丁寧に返答してくださり、極めて貴重な経験が出来た事は言うまでもありません。エキスパートの先生の話を聞けることに興奮し、昼食にはほとんど手を付けず、内容を理解しようと必死になりました。しかし、背景となる知識が備わっていたこともありDiscussion の内容をほとんど理解し、たくさん質問をすることもできました。まさに、知識が英語力を補完した経験でした。もっと英語能力が高ければという後悔は勿論ありますが、HOA ではそれに勝る経験が得られます。知識を携えて挑めば英語が苦手でもなんとかなります。もし、この報告を読んでいただき、興味を持っていただけたなら、まずは2025年2月14日・15日に日本(横浜)で開催されるHOA に是非ご参加ください。

最後に、Trainee として一緒に参加した寺尾先生、戒能先生、前垣先生、柳谷先生、そして昨年に引き続いて参加された高橋先生、楽しかったです。ありがとうございました。この繋がりはいつか大きなものに成り得ると信じています。そして、今回のHOA参加にあたって、サポートしてくださった日本血液学会、米国血液学会の関係者様、推薦いただいた長藤 宏司先生を含む久留米大学 血液・腫瘍内科の先生方、そして家族に心より感謝を申し上げます。
 

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