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2023 HOA 派遣レポート 齋藤健貴

更新日時:2023年4月28日

 

 2023年3月9日から11日までベトナム・ハノイで開催されました2023 Highlights of ASH (HOA)in Asia-Pacificに、学会推薦の形で参加させていただきましたので、簡単ではありますがこの場で報告させていただきます。 
私にとっては久々の海外渡航で、かつ初ベトナムでありました。会期中は数え切れないほどのバイク、そして鳴り止まないクラクションに圧倒されました。私を含むJSHのサポート組は、学会会場であるJW Mariott Hanoiから道を隔ててすぐのホテルを確保いただいたのですが、学会における最初の課題は、途切れないバイクの列の中を事故なく横断することでした(図1)。事前に周囲にアドバイスいただいた通りに、両方向を確認しながら一定の速度で歩くことで、この難局を乗り切ることができました。 
 さて、HOAに先立ち、Clinical Research Trainee Day (CRTD)が開かれました。これは、研究に携わる若手向けの少人数ワークショップで、臨床計画の立案やデータ管理等をテーマにした講義と、Facultyを囲んでの研究に関するグループセッションからなるものでした。特にグループセッションは、参加者それぞれの研究に関わる疑問を相談する場で、白熱したものとなりました。私も研究で困っていることを提示させていただき、解決につながるヒントをいくつかいただくことが出来ました。 
 続く2日間のHOAでは、昨年末のASHの発表内容をベースとした、文字通りのハイライト講演が行われました。講演内容も血液悪性腫瘍、凝固止血系、サラセミアなど多岐にわたりました。講演スライドはASHのアプリで適宜参照可能なほか、講演中にオンラインで回答可能な4択クイズが出題されるなど、インタラクティブなものでした。特に印象に残ったのは造血幹細胞移植前の治療強度の問題や、中心静脈カテーテル挿入中に生じた血栓症に対する抗凝固療法、後天性血友病に対するemicizumabなどでした。どの講演も新薬の話題が多かったですが、帰国後すぐに活かせるTipsも多く、ためになりました。 
 今回の出張を通じて痛感したのは自分の英語の拙さでありました。かれこれ年単位でオンライン英会話を続けておりますが、参加者の幅広いイントネーションや、堂々としたネイティブ話者の話すスピードの前には無力でありました。加えて、感染対策として着用が求められたマスクも、聞き取りの難易度を格段に上げました。今回いくつかの講演で質問させていただきましたが、強度の高い運動後か?と思うくらいの動悸が半端なく、筋道だった質問をすることも、応答を十分に理解することも叶いませんでした。悔しい思いをすることも多かったですが、英語でのコミュニケーションには度胸や他者に対する積極性が必要なこと、加えて自分の専門領域の背景知識・経験もそれと同等以上に重要だということを学ぶことができたという意味でも今回HOAに参加する意義が十分にあったと思います。 
 また、会期中は他の参加者6名(図2)、ならびにCRTDにJunior facultyとして参加された藤本亜弓先生にも大変お世話になりました。普段血栓止血分野という、極めてコミュニティの狭い分野にいることもあり、他施設の研究・臨床の話はとても貴重でした。加えて、現地の情報収集や旅行の手続きのあれこれなど、参加者同士で助け合い、大きなトラブルなく、そして何より楽しく過ごすことができました。 
 以上のように、今回の派遣期間はHOAの内外を問わず非常に充実したものでしたが、ほかの参加者と話していて、この会の存在があまり周知されていないのでは?と感じました。血液分野のアップデートや国内外の同業者との密な交流ももちろんですが、何より交通費・宿泊費・参加費の補助や各種手配もいただけたので、スケジュールが合えば応募しない手はないと思います。帰国後早々、周囲にこの会を宣伝させていただきました。 
 最後になりますが、このような貴重な機会を与えていただいた日本血液学会ならびに米国血液学会の関係者の皆様、推薦いただいた奈良医大血液内科・輸血部の松本雅則教授、そして快く送り出していただいた職場のスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。
 
 
 
 
 
 

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