2026 HOA 派遣レポート 太根美聡

2026年4月10日から12日にかけて、マレーシア・クアラルンプールで開催されたHighlights of ASH in Asia-Pacific(HOA)ならびにClinical Research Trainee Day(CRTD)に参加しました。まず、このような貴重な機会を与えてくださった日本血液学会の皆様に心より感謝申し上げます。
4月10日、11日はHOA本会、12日はCRTDが開催されました。HOAでは、各分野のエキスパートの先生方がASH 2025における主要トピックを分かりやすくまとめてレクチャーしてくださいました。各講演後には約30分間の質疑応答の時間が設けられており、ASH本会と比較して質問しやすい構成となっていました。各国からの参加者が積極的に質問する中、私自身も国際的な場で直接質問する機会を得ることができ、大変貴重な経験となりました。
特に印象に残ったのは、AIをテーマとした講演です。AIが血液疾患診療にもたらす可能性や、その適切な活用法について学ぶことができました。実際にAIを活用することで、リンパ腫の病理診断の迅速化や、MPNにおける予後予測、血栓イベントのリスク評価の精度向上が期待される研究データが紹介されました。現時点では信頼性や精度に課題が残るものの、有用な補助ツールとして今後の発展が期待される分野であると感じました。
CRTDでは、リサーチクエスチョンを基盤とした研究デザインの構築方法、大規模データ解析におけるMachine LearningやAIの役割、Mentorshipの重要性についての講義が行われました。その後、各グループごとに設定されたテーマに基づき、少人数でのグループディスカッションが行われ、ファシリテーターの先生にキャリア形成や臨床上の疑問について直接質問する機会もありました。
グループごとに白血病、リンパ腫、血栓止血など異なる分野が設定されており、事前に自身の興味分野を選択することができました。私のグループでは、「多発性骨髄腫の寛解導入療法において二重特異性抗体を使用すべきか」というテーマをもとに、その問いを検証するための研究デザインについて議論しました。ファシリテーターはメルボルン大学のHang Quach先生であり、各メンバーが考案した研究デザインをPICOTに沿って整理し、プレゼンテーションを行いました。MRD negativityの設定や、研究資金獲得に向けた簡潔かつ効果的なプレゼンテーション方法までご指導いただき、大変実践的な学びとなりました。
また、ディスカッション後にはQuach先生への質問時間が設けられ、ASH 2025で先生が発表された演題について直接質問することができました。ASH本会では得難いこのような機会は非常に贅沢であり、加えて先生ご自身の臨床研究についてのお話から、「研究はその国や地域に根差したものであることが重要である」という言葉が特に印象に残りました。
CRTD最後の交流会では、各国からの参加者と交流する機会がありました。普段、国内外を問わず他施設の血液内科医と交流する機会は限られているため、自分と同じ志を持つ仲間が世界中にいることを実感し、大きな励みとなりました。
日本からのTraineeは、日本血液学会派遣生5名に加え、Clinical Research Training Institute(CRTI)参加者1名を含む計6名でした。他大学の先生方と研究テーマや診療、将来の目標について意見交換することができ、大きな刺激を受けました。さらに、夜の自由時間には共にマレーシア料理を楽しみ、観光も行うなど、非常に充実した時間を過ごすことができました。
最後になりますが、Traineeとして共に参加された中島貴裕先生、川村俊人先生、大砂光正先生、美馬風花先生、原健太朗先生の皆様、3日間本当にありがとうございました。また、高折晃史先生、鈴木憲史先生には会期中大変お世話になりました。お食事をご一緒しながら貴重なお話を伺うことができ、非常に有意義な機会となりました。
このような貴重な経験を与えてくださった先生方ならびに関係者の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。

