アクトヒブ(R) 販売停止に伴う成人高リスク患者へのHibワクチン接種について
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アクトヒブ(R) 販売停止に伴う成人高リスク患者へのHibワクチン接種について
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会員各位
平素より本学会の活動にご協力いただき、誠にありがとうございます。
乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)であるアクトヒブ(R)につきまして、販売会社より、2026年10月16日に使用期限を迎える製品をもって販売停止となる旨の案内がありました。
本通知は、アクトヒブ(R)販売停止に伴い、ペグセタコプラン又はイプタコパン塩酸塩水和物を投与する患者を除く成人高リスク患者(造血細胞移植後患者、脾摘後患者等)におけるHibワクチン接種の実務上の選択肢が大きく制限される可能性があることを注意喚起し、現時点での考え方と留意点を周知するものです。成人高リスク患者に対するHibワクチン接種の必要性を否定するものではありません。
Hibワクチンは、造血細胞移植後患者、脾摘後患者など、インフルエンザ菌b型感染症のリスクが高い成人患者においても接種が検討されてきました。成人高リスク患者へのHibワクチン接種は、国内では多くの場合、定期接種や保険診療ではなく、任意接種・自費接種として実施されてきました。一方で、国内承認ワクチンを使用する場合には、保険給付の有無とは別に、薬事承認上の範囲を確認する必要があります(※1)。
本学会診療委員会では、アクトヒブ(R)販売停止に伴う成人高リスク患者への影響を懸念し、代替選択肢の確保について関係企業と情報共有・協議を行ってきました。しかし、現時点では、造血細胞移植後患者や脾摘後患者を広く対象とする明確な代替製剤は確保されていません。
アクトヒブ(R)販売停止後のHib含有ワクチンとして、現時点において国内で使用可能な製剤には、小児定期接種で使用されている5種混合ワクチン(クイントバック(R)、ゴービック(R))と、補体阻害薬(ペグセタコプラン又はイプタコパン塩酸塩水和物)を投与する患者を対象として販売開始された5種混合ワクチンであるヒブトロバック(R)があります。しかし、いずれも成人高リスク患者へ広く使用するうえでは、添付文書上または供給体制上の制約があります(※2)。
したがって、アクトヒブ(R)の使用期限終了後、ヒブトロバック(R)の対象となる患者を除く成人高リスク患者、すなわち造血細胞移植後患者や脾摘後患者等に対して、添付文書に沿って広く使用できるHib含有ワクチンは、現時点では確保されていません。
Hib含有ワクチンの接種を検討する場合には、各製剤の添付文書、薬事承認上の位置づけ、供給体制等を確認してください。任意接種として実施する場合も、承認範囲外の使用に該当するかを確認し、該当する場合には、医学的妥当性、利益とリスク、代替手段、費用負担、健康被害救済制度上の取扱い等について十分に説明し同意を得たうえで、各医療機関の手続きに従い個別に判断してください。
本件は、脾摘後患者、造血細胞移植後患者など成人高リスク患者の感染症予防に関わる重要な課題です。本学会としても、関係学会および関係企業と情報共有を行い、成人高リスク患者に対するHibワクチン接種の選択肢確保について、今後も検討してまいります。
注
※1 添付文書上、「4. 効能又は効果」および「6. 用法及び用量」は、承認された効能・効果および用法・用量を示す項目です。この部分に「小児に通常」などの年齢上の限定が記載されている場合、成人への接種は薬事承認上の用法・用量の範囲外、すなわち適応外使用に相当します。なお、「5. 効能又は効果に関連する注意」および「7. 用法及び用量に関連する注意」の記載も、適正使用上重要な情報です。
※2 従来使用されてきたアクトヒブ(R)では、「4. 効能又は効果」および「6. 用法及び用量」の本文に「小児に限る」との記載はありませんが、「7.1 接種対象者・接種時期」には、通常、本剤の接種は2か月齢以上5歳未満の者に行う旨が記載されています。クイントバック(R)およびゴービック(R)は、「6. 用法及び用量」に「小児に通常」と記載されており、成人への接種は薬事承認上の用法・用量の範囲外となります。ヒブトロバック(R)は、「4. 効能又は効果」および「6. 用法及び用量」に成人を除外する年齢上の記載はありません。一方、「6. 用法及び用量」では「0.5 mLを1回皮下又は筋肉内に接種する」とされており、移植後再接種として3回接種する場合には、承認された用法・用量の範囲外となります。また、「5. 効能又は効果に関連する注意」において、ペグセタコプラン又はイプタコパン塩酸塩水和物を投与する患者に対してのみ使用することと記載されており、現時点では当該患者を対象とした供給体制となっています。
日本血液学会
診療委員会委員長 神田善伸
広報委員会委員長 中島秀明