造血器腫瘍診療ガイドライン

Ⅱ章 リンパ腫

Ⅱ リンパ腫

悪性リンパ腫 総論

 わが国における悪性リンパ腫の新規罹患者者は,2005 年で16,991 人とされている。罹患率は,1985 年,1995 年,2005 年で人口10 万人あたりそれぞれ5.5 人,8.9 人,13.3 人と,年々増加傾向にある。男女比は約3:2 と男性に多く,65~74 歳が発症のピークである1)
 組織学的にホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma:HL)と非ホジキンリンパ腫(non Hodgkin lymphoma:NHL)に大別されるが大半がNHL であり,わが国におけるHL の頻度は全悪性リン パ腫のうち5~10%程度とされている。

1.診断に必要な事項
1)病歴
 問診により,既往症,治療中の疾患,合併症,初発症状,症状の出現時期,全身症状(発熱,体重減少,盗汗など)の有無,必要があれば出生地を記録する。

2)身体所見
 診察により以下の所見を記録する。 
・身長,体重,体温,血圧,脈拍
・Performance Status
・貧血,黄疸の有無,皮疹の有無,胸部・腹部の聴診・打診,腫大リンパ節の有無〔有りの場合,部位(リンパ節領域名,左右),個数,サイズ(最大長径とそれに直行する短径の二方向で測定し,単位はcm を用いる),性状(硬さ,可動性の有無など)〕,触知可能な肝腫大・脾腫大の有無,浮腫の有無
・運動神経麻痺・異常知覚・髄膜刺激症状の有無


3)一般検査
 以下の検査を行う。
・末梢血血球算定(白血球数,好中球数,リンパ球数,腫瘍細胞数,赤血球数,ヘモグロビン 値,血小板数,血液像)
・生化学検査(TP,Alb,ALT,AST,LDH,ALP,γ-GTP,Na,K,Cl,Ca,P,BUN,Cr,FBS,UA)
・血清学的検査(CRP,IgG,IgA,IgM,タンパク分画,可溶性IL-2R,β2 ミクログロブリン)
・ウイルス検査(HBs 抗原,HBs 抗体,HBc 抗体,HCV 抗体,HIV 抗体,HTLV-1 抗体)
・尿検査(糖,タンパク,潜血,沈渣)
・画像・その他の検査〔胸部X 線検査,十二誘導心電図,頸部・胸部・腹部・骨盤Computed Tomography(CT),(必要に応じ)上部・下部消化管内視鏡,骨髄穿刺・生検,心エコー,必要時にはPositron Emission Tomography(PET),頭部CT・Magnetic Resonance Imaging(MRI),髄液検査,動脈血ガス分析〕


4)病理組織診断
 悪性リンパ腫の診断のためには生検による組織病理検査は必須であり,治療前に適切な病変より生検を行う。鼠径リンパ節や腋窩リンパ節は反応性腫大をきたすことがあるため,全身にリンパ節腫脹が認められる場合には頸部リンパ節の生検を行うことが望ましい。開放生検が困難な場合を除いて,針生検のみの病理組織検査は診断には不十分である。
 生検により得られた検体はホルマリン固定パラフィンブロックから薄切標本を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行う。その他にも以下のような免疫組織化学検査を行う。
・CD3,細胞質内CD3ε,CD5,CD45
・CD20,CD79a,CD10,免疫グロブリン(細胞質内免疫グロブリン)
・CD56
・CD15,CD30,cyclin D1,bcl-2,bcl-6,MIB1(Ki-67),EBER など


5)その他の検査
 可能な限り検体より細胞を分離し,以下の検査を行う。
・フローサイトメトリー
・染色体分析
・遺伝子解析
in situ hybridization

2.病型分類
 悪性リンパ腫の分類としては,WHO 分類(2008)が広く用いられている。悪性リンパ腫が含まれるリンパ系腫瘍は以下の通りに分類されている2)

前駆リンパ系腫瘍
B 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫(B lymphoblastic leukemia/lymphoma)
T 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫(T lymphoblastic leukemia/lymphoma)


成熟B 細胞腫瘍
慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(Chronic lymphocytic leukemia/small lymphocytic lymphoma)
B 細胞前リンパ球性白血病(B-cell prolymphocytic leukemia)
脾B 細胞辺縁帯リンパ腫(Splenic B-cell marginal zone lymphoma)
有毛細胞白血病(Hairy cell leukemia)
リンパ形質細胞性リンパ腫(Lymphoplasmacytic lymphoma)
重鎖病(Heavy chain disease)
形質細胞腫瘍(Plasma cell neoplasms)
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫)(Extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue)
節性辺縁帯リンパ腫(Nodal marginal zone lymphoma)
濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma)
マントル細胞リンパ腫(Mantle cell lymphoma)
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma)
バーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma)


成熟T 細胞およびNK 細胞腫瘍
T 細胞前リンパ球性白血病(T-cell prolymphocytic leukemia)
T 細胞大顆粒リンパ球性白血病(T-cell large granular lymphocytic leukemia)
アグレッシブNK 細胞白血病(Aggressive NK-cell leukemia)
成人T 細胞白血病/ リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma)
節外性鼻型NK/T 細胞リンパ腫(Extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type)
腸管症関連T 細胞リンパ腫(Enteropathy-associated T-cell lymphoma)
肝脾T 細胞リンパ腫(Hepatosplenic T-cell lymphoma)
皮下脂肪組織炎様T 細胞リンパ腫(Subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphoma)
菌状息肉症(Mycosis fungoides)
セザリー症候群(Sézary syndrome)
原発性皮膚CD30 陽性T 細胞リンパ増殖異常症(Primary cutaneous CD30 positive T-cell lymphoproliferative disorders)
原発性皮膚γδ細胞リンパ腫(Primary cutaneous gamma-delta T-cell lymphoma)
末梢性T 細胞リンパ腫,非特定型(Peripheral T-cell lymphoma, NOS)
血管免疫芽球性T 細胞リンパ腫(Angioimmunoblastic T-cell lymphoma)
未分化大細胞リンパ腫(Anaplastic large cell lymphoma)


ホジキンリンパ腫
結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(Nodular lymphocyte predominant Hodgkin lymphoma)
古典的ホジキンリンパ腫(Classical Hodgkin lymphoma)
結節性硬化型(Nodular sclerosis)
混合細胞型(Mixed cellularity)
リンパ球豊富型(Lymphocyte-rich)
リンパ球減少型(Lymphocyte depletion)

3.臨床分類
 1982 年に提唱されたWorking Formulation 分類では,病型分類の他にNHL の自然史に基づき,無治療での予後が年単位で進行する低悪性度,月単位で進行する中悪性度,週単位で進行する高悪性度というように悪性度による分類がなされた。1989 年にはアメリカのNational Cancer Instituteより,悪性度による分類に加えて疾患の悪性度,活動性や侵攻性といったaggressiveness の程度を考慮し,低悪性度をインドレント リンパ腫(indolent lymphoma),中悪性度をアグレッシブ リンパ腫(aggressive lymphoma),高悪性度を高度アグレッシブ リンパ腫(highly aggressive lymphoma)に分類した臨床分類が提唱され,この分類が臨床試験で広く用いられてきた。
 WHO 分類における臨床分類は,以下の通りとされている。また,5 年以上の生存が期待できる疾患群をインドレント リンパ腫,5 年以下の生存しか期待できない疾患群をアグレッシブ リンパ腫とする臨床分類も提唱されている3)

1)WHO 分類を基にした臨床分類

インドレント リンパ腫およびリンパ性白血病
B 細胞
慢性リンパ性白血病/ 小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
脾B 細胞辺縁帯リンパ腫
有毛細胞性白血病
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫(Grade 1, 2)
T 細胞 T 細胞大顆粒リンパ球性白血病
成人T 細胞白血病/リンパ腫(くすぶり型)
菌状息肉症/セザリー症候群

中等度アグレッシブ リンパ腫およびリンパ性白血病
B 細胞
B 細胞前リンパ球性白血病
マントル細胞リンパ腫
濾胞性リンパ腫(Grade 3)
T 細胞
T 細胞前リンパ球性白血病
成人T 細胞白血病/リンパ腫(慢性型)
節外性鼻型NK/T 細胞リンパ腫
血管免疫芽球性T 細胞リンパ腫

アグレッシブ リンパ腫
B 細胞
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫
T 細胞
末梢性T 細胞リンパ腫,非特定型
腸管症関連T 細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T 細胞リンパ腫

高度アグレッシブ リンパ腫およびリンパ性白血病
B 細胞
B 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
バーキットリンパ腫/白血病
T 細胞
T 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
成人T 細胞白血病/リンパ腫(急性型,リンパ腫型)
NK 細胞
(芽球性NK 細胞リンパ腫)
アグレッシブNK 細胞白血病

2)生存割合でインドレント/アグレッシブ リンパ腫とする臨床分類

インドレント リンパ腫
B 細胞
慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
B 細胞前リンパ球性白血病
脾B 細胞辺縁帯リンパ腫
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫(Grade 1, 2)
T 細胞
成人T 細胞性白血病/リンパ腫(くすぶり型)
菌状息肉症/セザリー症候群

アグレッシブ リンパ腫
B 細胞
マントル細胞リンパ腫
濾胞性リンパ腫(Grade 3)
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫
バーキットリンパ腫
B 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
T 細胞
末梢性T 細胞リンパ腫, 非特定型
腸管症関連T 細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T 細胞リンパ腫
T 細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫
成人T 細胞白血病/リンパ腫(急性型,リンパ腫型)
NK 細胞
(芽球性NK 細胞リンパ腫)
アグレッシブNK 細胞白血病

4.病期分類
 悪性リンパ腫の病変の広がりは治療選択,予後予測に大きく影響するため,病期を正確に把握することは極めて重要である。悪性リンパ腫に対する病期分類は,HL に対して開発されたAnnArbor 分類4)がNHL に対しても用いられている。悪性リンパ腫の基本的な病期決定には,病歴と理学所見,血球算定,生化学検査,胸部X 線検査,頸部・胸部・腹部・骨盤CT,(必要に応じ)上部・下部消化管内視鏡,骨髄穿刺または生検にて行う。

Ann Arbor 分類

Ⅰ期 単独リンパ節領域の病変(Ⅰ)。
またはリンパ節病変を欠く単独リンパ外臓器または部位の限局性病変(ⅠE)。
Ⅱ期 横隔膜の同側にある2 つ以上のリンパ節領域の病変(Ⅱ)。
または所属リンパ節病変と関連している単独リンパ外臓器または部位の限局性病変で,横隔膜の同側にあるその他のリンパ節領域の病変はあってもなくてもよい(ⅡE)。
病変のある領域の数は下付きで,例えばⅡ3 のように表してもよい。
Ⅲ期 横隔膜の両側にあるリンパ節領域の病変(Ⅲ)。それはさらに隣接するリンパ節病変と関連しているリンパ外進展を伴ったり(ⅢE),または脾臓病変を伴ったり(ⅢS),あるいはその両者(ⅢES)を伴ってもよい。
Ⅳ期 1 つ以上のリンパ外臓器のびまん性または播種性病変で,関連するリンパ節病変の有無を問わない。または隣接する所属リンパ節病変を欠く孤立したリンパ外臓器病変であるが,離れた部位の病変を併せ持つ場合。
A およびB 分類(症状)
各病期は以下のように定義される全身症状の有無に従って,A またはB のいずれかに分類される。
1)発熱:38℃より高い理由不明の発熱。
2) 寝汗:寝具(マットレス以外の掛け布団,シーツなどを含む,寝間着は含まない)を変えなければならない程のずぶ濡れになる汗。
3)体重減少:診断前の6 カ月以内に通常体重の10%を超す原因不明の体重減少。

Lugano 分類

Ⅰ期 消化管に限局した腫瘍
  単発または多発(非連続性)
Ⅱ期 消化管の原発部位から腫瘍が腹腔へ進展
リンパ節浸潤 1:限局性(胃のリンパ腫の場合は胃周囲,腸管の場合は腸管周囲)
2:遠隔性(腸管原発の場合は腸間膜,その他では傍大静脈,傍大静脈,骨盤,鼠径)
ⅡE期 近接の臓器または組織へ進展する漿膜の浸潤(実際の浸潤部位。例:ⅡE[膵臓]ⅡE[大腸]ⅡE[後腹膜]
リンパ節浸潤と近接臓器へ浸潤する進展の両方がある場合は,病期は下付きの1 または2 とE の両方が記載されるべきである。例:1E[膵臓]
Ⅳ期 リンパ外への播種性浸潤または消化管病変に横隔膜を越えたリンパ節病変を伴う。

 かつては悪性リンパ腫の病期診断にガリウムシンチが用いられていたが,近年,FDG-PET が感度,特異度とも勝っていることより,ガリウムシンチに代わる検査となった。FDG uptake の程度は悪性リンパ腫の組織型により異なるため,FDG-PET を治療の効果判定に用いる場合には,より正確に判定するために治療前の病期診断時にもFDG-PET を,可能であれば病変の意義をより正確に評価するためにPET-CT を行うことが望ましい。
 消化管原発の悪性リンパ腫は節外病変が主病変であるため,Ann Arbor 分類では病期の進展と乖離することが多い。よって,消化管原発の悪性リンパ腫では,Ann Arbor 分類に加えて国際悪性リンパ腫会議で作成された,いわゆるLugano 分類5)が病期分類として用いられている。

5.予後因子
 悪性リンパ腫は,その組織型により低悪性度,中~高悪性度と大きく二つの予後グループに分けられる。組織学的な予後の分類の他にも,分子遺伝学的な区別や,病期や全身状態などの患者個々の状態によるさまざまな因子が知られている。アグレッシブ リンパ腫における予後予測モデルとしては国際予後指標(International Prognostic Index:IPI)6)が,濾胞性リンパ腫では濾胞性リンパ腫国際予後指標(Follicular Lymphoma International Prognostic Index:FLIPI)7),進行期のホジキンリンパ腫に対しては国際予後スコア(International Prognostic Score:IPS)8)が用いられている。

アグレッシブ リンパ腫

IPI

IPI での予後因子 予後不良因子
年齢
血清LDH
Performance Status
病期
節外病変数
61 歳以上
正常上限を越える
2~4
ⅢまたはⅣ期
二つ以上

年齢調整IPI

年齢調整IPI での予後因子 予後不良因子
血清LDH
Performance Status
病期
正常上限を越える
2~4
ⅢまたはⅣ期

IPI,年齢調整IPI とも予後因子の数によって以下の4 つのリスクグループに分類する。
・IPI
予後因子0 または1:低リスク(Low risk)
予後因子2:低中間リスク(Low-Intermediate risk)
予後因子3:高中間リスク(High-Intermediate risk)
予後因子4 または5:高リスク(High risk)
・年齢調整IPI
予後因子0:低リスク(Low risk)
予後因子1:低中間リスク(Low-Intermediate risk)
予後因子2:高中間リスク(High-Intermediate risk)
予後因子3:高リスク(High risk)
※ 年齢調整IPI は,自家造血幹細胞移植のように,若年者のみで高齢者は対象とならない治療や,高齢者のみを対象とした治療の臨床研究への適応に用いられている。

濾胞性リンパ腫

FLIPI

FLIPI での予後因子 予後不良因子
年齢
血清LDH
ヘモグロビン値
節性病変領域数
病期
61 歳以上
正常上限を越える
12 g/dL 未満
5 領域以上
ⅢまたはⅣ期

予後因子の数により,以下の3 つのリスクグループに分類する。
予後因子数0 または1:低リスク(Low risk)
予後因子2:中間リスク(Intermediate risk)
予後因子3 以上:高リスク(Poor risk)

 FLIPI は,リツキシマブ(R)が導入される以前の時代の,後方視的な検討に基づいて作成された予後予測モデルであった。その後,R 時代に行われた前方視的試験の対象を基にFLIPI2 が作成された9)

FLIPI2

FLIPI2 での予後因子 予後不良因子
年齢
β2 ミクログロブリン値
ヘモグロビン値
最大のリンパ節病変の長径
骨髄浸潤
61 歳以上
正常上限を越える
12 g/dL 未満
6 cm を超える
あり

予後因子の数により,以下の3 つのリスクグループに分類する。
予後因子数0:低リスク(Low risk)
予後因子1 または2:中間リスク(Intermediate risk)
予後因子3 以上:高リスク(High risk)

進行期ホジキンリンパ腫

IPS

IPS での予後因子 予後不良因子
血清アルブミン値
ヘモグロビン値
性別
年齢
病期
白血球数
リンパ球
4 g/dL 未満
10.5 g/dL 未満
男性
45 歳以上
Ⅳ期
15000/mm3 以上
600/mm3 未満,または白血球分画で8%未満

5 年の予測無増悪割合(freedom from progression of disease)割合は,予後因子の数が0 個で84%,1 個で77%,2 個で67%,3 個で60%,4 個で51%,5 個以上で42%とされている。

6.効果判定規準
 悪性リンパ腫に対する治療の効果判定には,1999 年に公表された「NHL の効果判定規準の標準化国際ワークショップレポート」10)が広く用いられている。効果判定には通常はCT が用いられるが,近年のFDG-PET の普及度と有用性を示唆する検討結果を受けて,効果判定へFDG-PET を導入した「改訂版NHL の効果判定規準の標準化国際ワークショップレポート」が2007 年に公表された11)。これらの効果判定規準は臨床試験の評価を国際的に統一する目的で作成されたものであるが,FDG-PET を用いた効果判定はCT のみで行う効果判定よりも正確に治療効果を反映している12)ため,日常診療における治療の効果判定にも有用である。

7.治療後の追跡
 治療後の追跡・評価の方法は,病型や,臨床試験のもとの診療か日常診療かなどにより異なる。血球算定,生化学検査や画像検査を適切に行い,注意深い病歴の聴取や診察を行うことが,適切な臨床的な判断に重要である。
 追跡の頻度,期間に関する明確な指標を示すエビデンスは存在しないが,ホジキンリンパ腫や治癒の可能性があるアグレッシブ リンパ腫では,完全奏効が得られた場合は治療後の2 年間は2~3カ月毎,その後は最低でも3~6 カ月毎の追跡を3 年間は行うことが推奨される。治癒が困難と考えられるインドレント リンパ腫では,治療後の1 年間は2~3 カ月,その後は3~6 カ月毎の追跡が推奨される。

効果判定規準
[CT のみ,PET は加味しないもの]

総合
効果
標的病変の正常化
ならびにSPD
非標的病変 肝腫大
脾腫
腎腫大
腫瘍関連
症状と
腫瘍関連
検査値異常
骨髄浸潤 新病変
節性 節外性 節性 節外性
CR 正常 消失 正常 消失 消失 正常 陰性 なし
CRu 正常 消失 正常 消失 消失 正常 不確定 なし
75%以上縮小 正常 消失 消失 正常 陰性or
不確定
なし
PR 75%以上縮小 正常 消失 消失 正常 陽性 なし
50%以上縮小 正常or
非増大
消失or
非増大
消失or
非増悪
正常 問わない
(未検可)
なし
SD 50%未満の縮小
かつ
50%未満の増大
正常or
非増大
消失or
非増大
消失or
非増悪
正常or
非増悪
問わない
(未検可)
なし
PD 50%
以上増大
50%
以上増大
増大 増大 増悪 増悪 陰性化後
の陽性
あり
RD 再腫大 再腫大 再出現 再出現 再出現

CT:Computed Tomography, PET:Positron Emission Tomography, SPD:Sum of the Products of the Greatest Diameters, CR:Complete Response, CRu:Complete Response/unconfirmed, PR:Partial Response, SD:Stable Disease, PD:Progressive Disease, RD:Relapsed Disease

[PET を加味したもの]

総合効果 標的病変のSPD 非標的病変 骨髄浸潤 PET 新病変
節性 節外性 節性 節外性
CR SPD の変化は問わない(未検は不可) 陰性 陰性 なし
PR SPDの変化は問わない(未検は不可) 陽性 陰性 なし
50%以上縮小 正常or 非増大 消失or 非増大 問わない
(未検可)
陽性 なし
SD 50%未満の縮小
かつ
50%未満の増大
正常or 非増大 消失or 非増大 問わない
(未検可)
陽性 なし
PD 50%以上増大 増大 増大 陽性化 陽性 あり
RD 再腫大 再出現 再腫大 再出現

CT:Computed Tomography, PET:Positron Emission Tomography, SPD:Sum of the Products of the Greatest Diameters, CR:Complete Response, CRu:Complete Response/unconfirmed, PR:Partial Response, SD:Stable Disease, PD:Progressive Disease, RD:Relapsed Disease

 悪性リンパ腫の再発は,8 割以上が臨床症状の出現により発見されるとされている13)14)。定期的にCT を行うことで臨床症状が出現する前に再発が発見される場合もあるが,早期発見が予後改善につながるかは明確ではない15)。よって定期的なCT による追跡は,コストを含めた患者利益を十分に検討した上で行うことが望ましい。定期的なPET による追跡は有用性を示す根拠はなく,推奨されない16)17)


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