造血器腫瘍診療ガイドライン

Ⅱ章 リンパ腫

Ⅱ リンパ腫

8 成人T 細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)
総論

 成人T 細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma:ATL)は,九州・沖縄地方を主とする西南日本に多発するT 細胞腫瘍として,1977 年内山,高月らによって提唱された疾患概念である1)。1980 年代のはじめには原因ウイルスとしてhuman T-lymphotropic virus type-I(HTLV-1)が発見された2)~5)。WHO 分類(2008)においてATL は,高度の核異型を伴ったリンパ球よりなる,HTLV-1 によって引き起こされる末梢性T 細胞腫瘍と定義されている6)
 Flower cell と呼ばれる異常リンパ球の増多を主体とした白血球増多,リンパ節腫脹,皮膚病変,ATL 細胞の浸潤による多臓器障害,高LDH 血症,高Ca 血症,日和見感染症などが高率に出現する。日本以外では中央アフリカおよび中南米出身者に比較的高頻度に発生している。HTLV-1 キャリアは現在日本には西南日本沿岸部を主に110 万人程度存在し,キャリアからATL の発症率は年間1,000 人に0.6~0.7 人とされる7)8)。HTLV-1 の感染は感染細胞が正常リンパ球に直接接触して成立する。感染経路として輸血,性交,母乳が知られているが,ATL 発症につながる重要な感染経路は母乳である。いくつかの多発地域ではHTLV-1 母子感染予防対策が行われており,6 カ月以上の長期授乳による母子感染率20.5%であるのに対して人工栄養による母子感染率は2.4%と報告され、日本全国の妊婦健診においてHTLV-1抗体検査が公費負担となった9)
 ATL 発症は20 歳代までは極めて稀で,その後増加し,60 歳頃をピークにして以降徐々に減少する。1 人のHTLV-1 キャリアが,生涯でATL を発症する確率は約5%である。HTLV-1 キャリアにおけるATL 発症の危険因子としては,多変量解析で,母子感染,高齢者,末梢血中の高ウイルス量,ATL の家族歴,他の疾患の治療中に初めて抗HTLV-1 抗体検査を受け陽性が判明した症例10)が報告されている。近年,HTLV-1 キャリアとATL 患者の高齢化が進んでいる11)12)
 1991 年にJapan Clinical Oncology Group(JCOG)リンパ腫グループ(LSG)による813 例のATL 患者の全国実態調査をもとに,多変量解析による予後因子として,年齢,全身状態(performance status:PS),総病変数,高Ca 血症,高LDH 血症が同定された13)~16)。そして予後因子解析と臨床病態の特徴から「急性型」,「リンパ腫型」,「慢性型」,「くすぶり型」の4 臨床病型分類が提唱された17)(表1)。これらの相対頻度は急性型57%,リンパ腫型19%,慢性型19%,くすぶり型6%であった。急性型,リンパ腫型,予後不良因子(LDH,アルブミン,BUN のいずれか1 つ以上が異常値)を持つ慢性型ATL は急速な経過をたどることが多く,それぞれの生存期間中央値(MST)は6 カ月,10 カ月,15 カ月であることから一括してアグレッシブATL と呼ばれる。一方、くすぶり型および予後不良因子を有していない慢性型ATL は比較的緩徐な経過を辿り,それぞれの4 年生存割合は約63%と約70%である18)ことから,インドレントATL と呼ばれる。
 JCOG-LSG がアグレッシブATL を対象とし,継続して臨床試験を行ってきたことから,化学療法における反応性の評価では,JCOG 治療効果判定規準が広く使用されてきた14)19)。近年では非ホジキンリンパ腫と慢性リンパ性白血病に対する効果判定規準20)21)をもとに改変した修正版ATL に対するJCOG 治療効果判定規準22) が用いられている(表2)。

表1 ATL 臨床病型の診断規準(文献17)を改変)

評価項目 くすぶり型 慢性型*1 リンパ腫型*1 急性型*1
抗HTLV-1 抗体*2
リンパ球数(×103/mm3*3 < 4 ≧ 4 < 4
異常リンパ球数*4 ≧ 5%*7 *8 ≦ 1% *8
Flower cell *5 *5 no
LDH ≦1.5N ≦2N
補正Ca 値(mg/dL)*6 <11.0 <11.0
組織学的に腫瘍病変が確認されたリンパ節腫大 No
腫瘍病変 皮膚 *7
*7
リンパ節 no yes
肝腫大 no
脾腫大 no
中枢神経 no no
no no
胸水 no no
腹水 no no
消化管 no no

空欄は他の病型で規定される条件以外の制約はないことを示す。
N:正常値上限
*1 予後不良因子を有する慢性型:BUN>施設基準値上限,LDH>施設基準値上限,血清アルブミン<施設基準値下限の1 つでも満たす場合
*2 PA 法あるいはELISA 法やWestern blot 法のいずれかで陽性であること。
Immunofluorescence 法やWestern blot 法により,陽性反応が確認されていることが望ましい。測定可能な施設では,Southern blot 法により,HTLV-1 provirus のATL 細胞への組み込みを確認する。
*3 正常リンパ球と異常リンパ球を含むリンパ球様細胞の実数の和
*4 形態学的に明らかなATL 細胞
*5 ATL に特徴的なflower cell が認められてもよい。
*6 補正Ca 値は以下の式で求める。
血清アルブミン値≧4.0(g/dL)の場合:補正カルシウム値(mg/dL)=総カルシウム値(mg/dL)
血清アルブミン値<4.0(g/dL)の場合:補正カルシウム値(mg/dL)=総カルシウム値(mg/dL)-0.8 [アルブミン(g/dL)-4]
*7 末梢血中の異常リンパ球が5%未満でくすぶり型と診断されるには,皮膚あるいは肺に組織学的に腫瘍病変が確認されることが必要である。
*8 末梢血中の異常リンパ球が5%未満で慢性型または急性型と診断されるには,組織学的に腫瘍病変が確認されることが必要である。

表2 JCOG 版ATL に対する治療効果判定規準22)
【ベースラインで標的病変が存在する場合】

総合効果 評価項目
標的病変 非標的病変 骨髄浸潤 末梢血病変
(異常
リンパ球)
皮膚病変 新病変
節性 節外性 節性 節外性
CR 正常 消失 正常 消失 陰性 正常 正常 なし
PR SPD の50%以上の縮小 正常
or
非増大
消失
or
非増大
問わない
(未検可)
正常
or
減少
正常
or
縮小
なし
SD CR,PR,PD のいずれにも判定されない
PD 以下のいずれか1 項目でも満たした場合にPD と判定する
SPD の50%以上の増大
or
節性標的病変の再腫大
or
節外性標的病変の再出現
増大
or
再腫大
増大
or
再出現
陽性化 増加 増大
or
再出現
あり

上記の項目のいずれかでも評価不能であれば総合評価は「評価不能not evaluable(NE)」とする。

【ベースラインで標的病変が存在しない場合】

総合効果 評価項目
非標的病変 骨髄浸潤 末梢血病変
(異常リンパ球)
皮膚病変 新病変
節性 節外性
CR 正常 消失 陰性 正常 正常 なし
PR 正常
or
非増大
消失
or
非増大
問わない
(未検可)
正常
or
減少
正常
or
縮小
なし
SD CR,PR,PD のいずれにも判定されない
PD 以下のいずれか1 項目でも満たした場合にPD と判定する
増大
or
再腫大
増大
or
再出現
陽性化 増加 増大
or
再出現
あり

上記の項目のいずれかでも評価不能であれば総合評価は「評価不能not evaluable(NE)」とする。
CR の規準を満たす場合,総合効果はCR とする。


[参考文献]

1) Uchiyama T, et al : Adult T-cell leukemia : clinical and hematologic features of 16 cases. Blood. 1977 ; 50( 3): 481-92.
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3) Hinuma Y, et al : Adult T-cell leukemia : antigen in an ATL cell line and detection of antibodies to the antigen in human sera. Proc Natl Acad Sci USA. 1981 ; 78( 10) : 6476-80.
4)Yoshida M, et al ; Monoclonal integration of human T-cell leukemia provirus in all primary tumors of adult T-cell leukemia suggests causative role of human T-cell leukemia virus in the disease. Proc Natl Acad Sci USA. 1984 ; 81( 8) : 2534-7.
5) Miyoshi I, et al : Type C virus particles in a cord T-cell line derived by co-cultivating normal human cord leukocytes and human leukaemic T cells. Nature. 1981 ; 294(5843) : 770-1.
6) Oshima K, et al. Adult T-cell leukaemia/lymphoma. Swerdlow SH, et al. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ; 2008 : pp281-4.
7) Tajima K : Epidemiology of HTLV-Ⅰ/Ⅱ in Japan and the world. Gann Monograph on Cancer Research 1992 ; 39 ; 129-49.
8) Blattner WA, et al : Epidemiology of HTLV-Ⅰ and HTLV-Ⅱ infection. In : Takatsuki K, ed. Adult T-cell Leukemia. New York, NY : Oxford University Press ; 1994 : 45-90.
9) 長崎県ATL ウイルス母子感染防止研究協力事業連絡協議会編:長崎県ATL ウイルス母子感染防止研究協力事業報告書.1998 年3 月
10) Iwanaga M, et al : Human T-cell leukemia virus typeⅠ(HTLV-1) proviral load and disease progression in asymptomatic HTLV-1 carriers : a nationwide prospective study in Japan. Blood. 2010 ; 116( 8) : 1211- 9.
11) Satake M, et al : Current prevalence of HTLV-1 in Japan as determined by screening of blood donors. J Med Virol. 2012 ; 84( 2) : 327-35.
12) Yamada Y, et al : Nationwide survey of adult T-cell leukemia/lymphoma (ATL) in Japan. Rinsho Ketsueki. 2011 ; 52( 11) : 1765-71.
13) Lymphoma Study Group : Major prognostic factors of patients with adult T-cell leukemia-lymphoma : a cooperative study. Leuk Res. 1991 ; 15( 2-3) : 81-90
14) Takatsuki K : Adult T-cell leukemia. New York, NY, Oxford University Press, 1994.
15) Tobinai K, et al : Adult T-cell leukemia-lymphoma, in Abeloff MD, et al, editors. Clinical Oncology( ed 3). Philadelphia, PA, Elsevier Churchill Livingstone, 2004, pp3109-30.
16) International Agency for Research on Cancer Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans : Human immunodeficiency viruses and human T-cell lymphotropic viruses. International Agency for Research on Cancer Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. http://monographs. iarc.fr/ENG/Monographs/vol67/volume67.pdf
17) Shimoyama M and members of the Lymphoma Study Group( 1984-1987) : Diagnostic criteria and classification clinical subtypes of adult T-cell leukemia-lymphoma. Br J Haematol. 1991 ; 79( 3) : 428-37.
18) 山田恭暉ほか:第421 回日本臨床血液学会,シンポジウム5.悪性リンパ腫の治療戦略 高悪性度リンパ腫(成人T 細胞白血病).臨床血液.2001 ; 42(4) ; 293-8.(3iiiA)
19) Tsukasaki K, et al : VCAP-AMP-VECP compared with biweekly CHOP for adult T-cell leukemia-lymphoma : Japan Clinical Oncology Group Study JCOG9801. J Clin Oncol. 2007 ; 25(34) : 5458-64.(1iiA)
20) Cheson BD, et al. Report of an International Workshop to standardize response criteria for non-Hodgkin’s lymphomas. J Clin Oncol. 1999 ; 17(4): 1244.
21) Cheson BD, et al : National Cancer Institute-sponsored Working Group guidelines for chronic lymphocytic leukemia : revised guideline for diagnosis and treatiment. Blood. 1996 ; 87(12) : 4990-7.(ガイドライン)
22) Tsukasaki K, et al : Definition, prognostic factors, treatment, and response criteria of adult T-cell leukemia- lymphoma : a proposal from an international consensus meeting. J Clin Oncol. 2009 ; 27(3) : 453-9.


アルゴリズム

 急性型,リンパ腫型,予後不良因子(LDH,アルブミン,BUNのいずれか一つ以上が異常値)をもつ慢性型,すなわちアグレッシブATL に対しては多剤併用化学療法を施行する(CQ1)。そして治療反応性が得られ,年齢・全身状態・主要臓器機能に問題がなく,適切なドナーが見つかった場合は同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation : allo-HSCT,同種移植)を検討する(CQ2, CQ4)。
 くすぶり型,予後不良因子を有していない慢性型,すなわちインドレントATL に対してはアグレッシブATL へ進展するまで無治療経過観察する(CQ3, CQ5)。増悪した後は初発のアグレッシブATL と同様に抗腫瘍療法を開始する。


CQ 1初発アグレッシブATL に対して最も推奨される治療法は何か
推奨グレード
カテゴリー1

VCAP-AMP-VECP 療法が最も推奨される。

[解 説]

 1970 年代から1980 年代にかけて,JCOG-LSG による臨床試験ではATL に対し非ホジキンリンパ腫と同様の化学療法が行われ,その生存期間中央値(MST)は約8 ヵ月と極めて予後不良であった1)~3)。1991 年にJCOG-LSG よりATL の臨床病型分類が提唱された後,アグレッシブATL を対象とした臨床試験が継続的に行われてきた。まず1991 年から,単剤で再発・再燃ATL に対して治療反応性がみられたペントスタチンを組み入れた化学療法の第Ⅱ相試験が行われたが,従来の治療成績を上回らなかった5)。1994 年から行われた8 つの抗がん剤を用い,G-CSF を用いて治療強度を高め,メトトレキサート(MTX)とプレドニゾロン(PSL)の髄注を併用したLSG15 療法の第Ⅱ相試験では,それまでのATL の治療成績と比較して良好な成績が得られた6)。そして1998 年からVCAP(VCR, CPA, DXR, PSL)-AMP(DXR, MCNU, PSL)-VECP(VDS, ETP, CBDCA, PSL)(modifi ed LSG15)療法と,非ホジキンリンパ腫の標準治療の一つと当時みなされていたCHOP-14 療法とを比較する第Ⅲ相試験(JCOG9801)が行われ,VCAP-AMP-VECP 療法は血液毒性は高いもののCHOP-14 療法よりも完全奏効割合と全生存割合に優れており,ATL に対する標準治療と考えられる7)。ただ,この臨床試験は70 歳未満を対象としたため,高齢者への適用の可能性に関しては不明である。

【第1.2版追記】

 ケモカイン受容体のCCR4ATL90%以上で発現しており、予後不良因子である。初発アグレッシブATLを対象としたヒト化抗CCR4抗体(モガムリズマブ)をVCAP-AMP-VECP療法に併用療法するランダム化第Ⅱ相比較試験で、併用療法は化学療法単独より完全奏効割合で上回った8)。この結果により201412月モガムリズマブは初発アグレッシブATLに対して適応拡大された。ただ併用療法により毒性が高まる可能性があり、全生存割合の改善への寄与についてさらに検討が必要である。


[参考文献]

1) Shimoyama M, et al. Chemotherapeutic results and prognostic factors of patients with advanced non- Hodgkin’s lymphoma treated with VEPA or VEPA-M. J Clin Oncol. 1988 ; 6( 1) : 128-41.(2A)
2) Shimoyama M, et al. Major prognostic factors of adult patients with advanced T-cell lymphoma/leukemia. J Clin Oncol. 1988 ; 6( 7) : 1088-97.(2A)
3) Tsukasaki K, et al. Lymphoma study group of JCOG. Jpn J Clin Oncol. 2012 ; 42( 2) : 85-95.(2A)
4) Tobinai K, et al. Phase I study of YK-176 (2’-deoxycoformycin) in patients with adult T-cell leukemialymphoma : the DCF Study Group. Jpn J Clin Oncol. 1992 ; 22( 3) : 164-71.(3iiiDiv)
5) Tsukasaki K, et al. Deoxycoformycin-containing combination chemotherapy for adult T-cell leukemialymphoma : Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG9109). Int J Hematol. 2003 ; 77 (2) : 164-70. (3iiiDiv)
6) Yamada Y, et al. A new G-CSF-supported combination chemotherapy, LSG15, for adult T-cell leukemialymphoma : Japan Clinical Oncology Group Study 9303. Br J Haematol. 2001 ; 113( 2) : 375-82.(3iiiDiv)
7) Tsukasaki K, et al. VCAP-AMP-VECP compared with biweekly CHOP for adult T-cell leukemia-lymphoma : Japan Clinical Oncology Group Study JCOG9801. J Clin Oncol. 2007 ; 25(34): 5458-64.(1iiA)
【第1.2版追記】
8) Ishida T, et al: Dose-intensified chemotherapy alone or in combination with mogamulizumab in newly diagnosed aggressive adult T-cell leukaemia-lymphoma: a randomized phase II study. Br J Haematol 2015;169(5):672-682. (1iiDiv)


CQ 2アグレッシブATL に対する同種造血幹細胞移植は有用か。
推奨グレード
カテゴリー2A

ATL に対する初回治療に反応性がみられた症例に対しては,HLA 一致血縁,非血縁ドナーが得られた場合,同種造血幹細胞移植は長期生存が期待できる治療法として推奨される。

[解 説]

 ATL に対する同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation : allo- HSCT)は,自家造血幹細胞移植併用大量化学療法では再発が極めて高率であるのに対し,当初単施設からの少数例の報告で化学療法では得難い長期生存例が確認された。その後に多施設後方視的解析の結果から,1 年全生存割合(OS)50~52%,3 年OS が45%と有望な成績が報告された1)~4)。そして大規模な後方視的調査として日本のデータベースを基に,allo-HSCT が施行されたATL386 例の3 年OS が33%と報告された5)
 これらはallo-HSCT を施行し得たという選択された一群に対してではあるが,化学療法単独と比較して有望な治療成績である。移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)合併症例において再発率が低いこと,移植後再発例において免疫抑制剤の減量・中止により再寛解に到達した症例があることなどから,移植片対ATL(graft-versus-ATL : GvATL)効果が有望な治療成績の要因の一つと考えられる。ATL に対する初回治療後に治療反応性がみられた症例には,HLA一致血縁ドナー,非血縁ドナーが得られた場合,allo-HSCT は長期生存,さらには治癒が期待できる治療法として推奨される。ただしいずれの報告でもGVHD,感染症などによる高い治療関連死亡(TRM)が示されており,化学療法後に長期奏効が得られる場合も稀にはあるため,患者へは十分な情報の提供が必要である。
 allo-HSCT で骨髄破壊的前処置もしくは骨髄非破壊的前処置のいずれを選択するかについて明確なデータはないが,年齢で分けることが一般的である。骨髄破壊的前処置の対象年齢の上限は55 歳,そして骨髄非破壊的前処置は50~70 歳(非血縁の場合は65 歳まで)を対象とすることが実臨床と臨床試験では行われている6)~8)。近年,血縁HTLV-1 キャリアドナーからのallo-HSCT施行後に,ドナーHTLV-1 感染細胞由来の再発例が報告された9)。その後,日本造血細胞移植学会から,血縁キャリアをドナーとする場合には末梢血を用いたHTLV-1 のサザンブロット解析でモノクローナル/オリゴクローナルでないこと,臨床的にATL くすぶり型でなくHTLV-1 キャリアに留まることを確認することが推奨されている10)
 ATL に対するallo-HSCT は,化学療法では得難い長期生存例が観察されており有効な治療法と言える。しかし,ドナーの選択,前処置法,高い移植関連死亡を減少させる感染症予防の方法などコンセンサスが得られていない課題も多い。現在日本で,アグレッシブATL に対するallo-HSCTの臨床試験が進行中である。


[参考文献]

1) Utsunomiya A, et al. Improved outcome of adult T-cell leukemia/lymphoma with allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Transplant. 2001 ; 27( 1) : 15-20.(3iiiA)
2) Kami M, et al. Allogeneic haematopoietic stem cell transplantation for the treatment of adult T-cell leukemia/ lymphoma. Br J Haematol. 2003 ; 120( 2) : 304-9.(3iiiA)
3) Fukushima T, et al. Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation provides sustained long-term survival for patients with adult T-cell leukemia/lymphoma. Leukemia 2005 ; 19( 5) : 829-34.(3iiiA)
4) Kato K, et al. Allogeneic bone marrow transplantation from unrelated human T-cell leukemia virus-1-negative donors for adult T-cell leukemia/lymphoma : retrospective analysis of data from the Japan Donor Program. Biol Blood Marrow Transplant. 2007 ; 13( 1) : 90-9.(3iiiA)
5) Hishizawa M, et al. Transplantation of allogeneic hematopoietic stem cells for adult T-cell leukemia : a nationwide retrospective study. Blood. 2010 ; 116( 8) : 1369-76.(3iiiA)
6) Okamura J, et al. Allogeneic stem-cell transplantation with reduced conditioning intensity as a novel immunotherapy and antiviral therapy for adult T-cell leukemia/lymphoma. Blood. 2005 ; 105 (10) : 4143-5. (2A)
7) Tanosaki R, et al. Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation using reduced-intensity conditioning for adult T-cell leukemia/lymphoma : impact of antithymocyte globulin on clinical outcome. Biol Blood Marrow Transplant. 2008 ; 14( 6) : 702-8.(3iiiA)
8) Choi I, et al. Long-term outcome after hematopoietic SCT for adult T-cell leukemia/lymphoma : results of prospective trials. Bone Marrow Transplant. 2011 ; 46(1) : 116-8.(3iiiA)
9) Tamaki H, et al. Donor-derived T-cell leukemia after bone marrow transplantation. N Engl Med. 2006 ; 354( 16) : 1758-9.
10) 血縁造血幹細胞(骨髄・末梢血) ドナー傷害保険加入適格基準(2011.3, Version 2.0),日本造血幹細胞移植学会 ドナー委員会


【第1.2版修正】

[解 説]

 ATLに対する同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: allo-HSCT)は,自家造血幹細胞移植併用大量化学療法では再発がきわめて高率であるのに対し,当初単施設からの少数例の報告で化学療法では得難い長期生存例が確認された。その後に多施設後方視的解析の結果から,1年全生存割合(OS)50~52%,3年OSが45%と有望な成績が報告された1)~4)。そして大規模な後方視的調査として日本のデータベースを基に,allo-HSCTが施行された ATL 386例の3年OSが33%と報告された5)
 これらはallo-HSCT を施行し得たという選択された一群に対してではあるが,化学療法単独と比較して有望な治療成績である。移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)合併症例において再発率が低いこと6),移植後再発例において免疫抑制剤の減量・中止により再寛解に到達した症例があることなどから,移植片対ATL(graft-versus-ATL : GvATL)効果が有望な治療成績の要因の一つと考えられる。ATL に対する初回治療後に治療反応性がみられた症例には,HLA一致血縁ドナー,非血縁ドナーが得られた場合,allo-HSCT は長期生存,さらには治癒が期待できる治療法として推奨される。ただしいずれの報告でもGVHD,感染症などによる高い治療関連死亡(TRM)が示されており,化学療法後に長期奏効が得られる場合も稀にはあるため,患者へは十分な情報の提供が必要である。
 allo-HSCTで骨髄破壊的前処置もしくは骨髄非破壊的前処置のいずれを選択するかについて明確なデータはないが,大規模な後方視的調査で両群間のOSに差はないことが報告された7)。ただ骨髄非破壊的前処置は骨髄破壊的前処置に比べTRMが低いものの再発割合が高く、現時点では年齢で前処置法を選択することが一般的である。骨髄破壊的前処置の対象年齢の上限は55歳,そして骨髄非破壊的前処置は50~70歳(非血縁の場合は65歳まで)を対象とすることが実臨床と臨床試験で行われている8)~10)。近年,血縁HTLV-1キャリアドナーからのallo-HSCT施行後に,ドナーHTLV-1感染細胞由来の再発例が報告された11)。その後,日本造血細胞移植学会から,血縁キャリアをドナーとする場合には末梢血を用いたHTLV-1のサザンブロット解析でモノクローナル/オリゴクローナルなHTLV-1感染細胞が検出されないこと,臨床的にATLくすぶり型でなくHTLV-1キャリアに留まることを確認することが推奨されている12)
 ATLに対するallo-HSCTは,化学療法では得難い長期生存例が観察されており有効な治療法と言える。しかし、ドナーの選択,前処置法,高いTRMを減少させる感染症予防の方法などコンセンサスが得られていない課題も多い。現在日本で,アグレッシブATLに対するallo-HSCTの検証的な臨床試験が進行中である。また臍帯血移植についても移植法の工夫により治療成績が改善する可能性が報告されており13),14)、臨床試験が進行中である。


[参考文献]

1) Utsunomiya A, et al: Improved outcome of adult T-cell leukemia/lymphoma with allogeneic hematopoietic stem cell transplantation. Bone Marrow Transplant. 2001;27(1):15-20.(3iiiA)
2) Kami M, et al; Allogeneic haematopoietic stem cell transplantation for the treatment of adult T-cell leukemia/lymphoma. Br J Haematol. 2003;120(2):304-9.(3iiiA)
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8) Okamura J, et al: Allogeneic stem-cell transplantation with reduced conditioning intensity as a novel immunotherapy and antiviral therapy for adult T-cell leukemia/lymphoma. Blood. 2005;105(10):4143-5.(2A)
9) Tanosaki R, et al: Allogeneic hematopoietic stem cell transplantation using reduced-intensity conditioning for adult T-cell leukemia/lymphoma: impact of antithymocyte globulin on clinical outcome. Biol Blood Marrow Transplant. 2008;14(6):702-8.(3iiiA)
10) Choi I, et al: Long-term outcome after hematopoietic SCT for adult T-cell leukemia/lymphoma: results of prospective trials. Bone Marrow Transplant. 2011;46(1):116-8.(3iiiA)
11)Tamaki H, et al: Donor-derived T-cell leukemia after bone marrow transplantation. N Engl Med. 2006;354(16):1758-9.
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13) Fukushima T, et al: Feasibility of cord blood transplantation in chemosensitive adult T-cell leukemia/lymphoma: a retrospective analysis of the Nagasaki Transplantation Network. Int J Hematol 2013;97(4):485-490 (3iiiA)
14) Kato K, et al: Treatment of patients with adult T-cell leukemia/lymphoma with cord blood transplantation: a Japanese nationwide retrospective survey. Biol Blood Marrow Transplant 2014;20(12):1968-1974 (3iiiA)


CQ 3インドレント(くすぶり型,予後不良因子を持たない慢性型)ATL の標準治療は無治療経過観察か
推奨グレード
カテゴリー2B

インドレントATL に対する化学療法は生存期間の延長にはつながらず,無治療経過観察が推奨される。

[解 説]

 九州および沖縄の40 施設におけるくすぶり型および慢性型ATL 337 例を対象とした後方視的解析では1),その生存期間中央値(MST)はそれぞれ5.2 年と3.6 年であった。そのサブグループ解析では,くすぶり型での無治療群と抗がん剤投与群との間で全生存期間(OS)に差はなかった。一方,慢性型では無治療群の方が抗がん剤投与群よりも有意に生存期間が長かった(MST 7.4 年vs 2.0 年)。また,1988~1997 年に九州の多施設でくすぶり型ATL と診断された26 例のMST は7.3 年(観察期間中央値6.5 年)であった2)。また,単施設での後方視的研究報告によると,1974~2003 年にくすぶり型(25 例),慢性型(予後不良因子を持つ慢性型37 例,予後不良因子を持たない慢性型26 例,不明2 例)と診断され,増悪するまで無治療経過観察が行われた計90 例では,観察期間中央値が4.1 年の時点で12 人が10 年以上生存していた。しかし,2 年,5 年,10 年,15 年生存割合はそれぞれ約60%,47%,23%,13%と長期予後は不良であった3)。MST と無増悪MST はそれぞれ4.1 年と3.3 年であり,くすぶり型と慢性型の生存曲線がいずれもプラトーに到達せず下降したことから,増悪後のMST は約1 年と推定され,MST は長く長期生存例が一定の割合で存在するものの,増悪後の予後は不良であることが示唆される。
 以上のようにインドレントATL の長期予後は決して良好ではない。しかし,有効な治療法がまだ見出されていないため,急性転化まで無治療で経過観察することが,わが国では現在コンセンサスとして定着している。
 くすぶり型で皮膚病変のみを持つ症例の局所治療は,皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインの参照が推奨される。察が推奨される。


[参考文献]

1) 山田恭暉ほか:第421回日本臨床血液学会,シンポジウム5. 悪性リンパ腫の治療戦略 高悪性度リンパ腫(成人T細胞白血病).臨床血液 2001; 42(4); 293-8.(3iiiA)
2) Ishitsuka K, et al. Smoldering adult T-cell leukemia-lymphoma : a follow-up study in Kyushu. Br J Haematol.2008 ; 143(3) : 442-4.(3iiiA)
3) Takasaki Y, et al. Long-term study of indolent adult T-cell leukemia-lymphoma. Blood 2010 ; 115(22) :4337-43.(3iiiA)
4) 成人T 細胞白血病・リンパ腫(ATLL)(皮膚のみに病変を有する病型).科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインⅡ(第1 版).皮膚リンパ腫.日本皮膚科学会/日本皮膚悪性腫瘍学会編集,金原出版 2010, pp84-93.(ガイドライン)


CQ 4再発・難治アグレッシブATL に対する治療法は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2B

現時点で同種造血幹細胞移植が生存に寄与する唯一の救援療法である。モガムリズマブの有用性については現在評価中である。

[解 説]

 アグレッシブATLの再発・難治例に対してこれまでさまざまな化学療法レジメンが試みられてきたが,一旦治療効果が得られてもその持続期間は短く,その後は急速な経過を辿ることが多い。そのため臨床試験の遂行は困難で,単施設での少数例の報告がほとんどである。わが国におけるmodifi ed EPOCH 療法(ETP, DXR, CPA, VCR, PSL)1),ペントスタチン2),ソブゾキサン3),塩酸イリノテカンとシスプラチン併用4)などの小規模な第Ⅰ・Ⅱ相試験の結果が報告されている。いずれも奏効割合は30~40%であったが,効果持続期間は1~6 ヵ月であった。
 ケモカイン受容体のCCR4 はATL の90%以上で発現しており,予後不良因子でもある。ヒト化抗CCR4 抗体(モガムリズマブ)の第Ⅰ相試験では再発難治のアグレッシブATL 13 名中4 名に治療反応がみられ5),さらには至適投与量の単剤での第Ⅱ相試験で13/26 名(50%,うち8 名はCR)に奏効したことが報告された6)。2012 年5 月よりモガムリズマブは再発・難治性ATL に対して承認された。現在,初発のアグレッシブATL を対象としたモガムリズマブとVCAP-AMP-VECP療法[VCAP(VCR, CPA, DXR, PSL),AMP(DXR, MCNU, PSL),VECP(VDS, ETP, CBDCA, PSL)]との併用療法のランダム化第Ⅱ相比較試験が進行中であり,今後の評価が必要である。
【第1.2版修正】
モガムリズマブの第Ⅰ相試験では再発難治のアグレッシブATL13名中4名に治療反応がみられ5),さらには至適投与量の単剤での第Ⅱ相試験で13/26名(50%,うち8名はCR)に奏効したことが報告された6)。2012年5月に我が国においてモガムリズマブは再発・難治性ATLに対して承認された。
 CQ2 にあるように,同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation : allo-HSCT)は化学療法後の再発・難治アグレッシブATL の一部に長期生存をもたらすことが複数の報告で示されている。
 局所再発の場合,症状緩和を目的とした局所放射線療法を行ってもよい7)


[参考文献]

1) 小鶴三男ほか.再発・難治悪性リンパ腫に対するmodifi ed EPOCH 療法. 臨床と研究. 1998 ; 75(7) ; 1630-6.(3iiiA)
2) Tobinai K, et al. Phase I study of YK-176 (2’-deoxycoformycin) in patients with adult T-cell leukemialymphoma : the DCF Study Group. Jpn J Clin Oncol. 1992 ; 22(3) : 164-71.(3iiiDiv)
3) Ohno R, et al. Treatment of adult T-cell leukemia/lymphoma with MST-16, a new oral antitumor drug and a derivative of bis( 2,6-dioxopiperazine). The MST-16 Study Group. Cancer. 1993 ; 71(7) : 2217-21. (3iiiDiv)
4) 福島卓也ほか.治療難反応性成人T 細胞白血病・リンパ腫(ATL)に対する塩酸イリノテカン+シスプラ チンによるsalvage 療法の成績. 第5 回日本臨床腫瘍学会学術集会(2007).プログラム・抄録集 p.172 (3iiiDiv)
5) Yamamoto K, et al. Phase I study of KW-0761, a defucosylated humanized anti-CCR4 antibody, in relapsed patients with adult T-cell leukemia-lymphoma and peripheral T-cell lymphoma. J Clin Oncol. 2010 ; 28(9) : 1591-8.(3iiiDiv)
6) Ishida T, et al. Defucosylated anti-CCR4 monoclonal antibody( KW-0761) for relapsed adult T-cell leukemia- lymphoma : a multicenter phase II study. J Clin Oncol. 2012 ; 30(8) : 837-42.(3iiiDiv)
7) Simone II CB, et al. Radiation therapy for the management of patients with HTLV-1-associated adult Tcell leukemia/lymphoma. Blood 2012 ; 120(9) : 1816-9.( 3iiiDiv)


CQ 5ATL に対するインターフェロンαとジドブジンの併用療法は有用か
推奨グレード
カテゴリー3

ATL に対するインターフェロンα/ジドブジン療法は,一般診療としては推奨されない。

[解 説]

 ATL はCHOP 療法などのリンパ腫に対する標準治療では有効性が低く,HTLV-1 が関与することから,欧米ではインターフェロンα(IFNα)とジドブジン(AZT)の併用療法が検討され,1995年には2 つの小規模な臨床試験でアグレッシブATL に対する有望な奏効割合が報じられた1)2)。しかし,初発例に限るとその奏効割合と生存期間中央値(MST)は当時のJCOG-LSG による化学療法より下回っていたこともあって,日本でこの治療法は本格的に検討されなかった1)~3)。2010 年に,欧州と北中南米での後方視的併合解析において,リンパ腫型よりも白血化している急性型,慢性型,くすぶり型で本治療法が有用であったと報告された4)。これを受けてNCCN ガイドラインでは,リンパ腫型以外のATL に対してIFNα/AZT 療法を推奨している(NCCN ガイドライン:カテゴリー2A)。またこの報告では,IFNα/AZT 療法群での治療成績は白血化しているこれらの3 病型で化学療法群を上回っていた一方,急性型ATL に対する化学療法の治療成績は,日本での化学療法の成績を下回っていた。一方,慢性型とくすぶり型では,症例数は少ないものの観察期間中央値5 年で全例が生存しており,皮膚病変の改善にも有用と報告された4)。本併用療法は,長期にわたる治療が必要であり,倦怠感などの全身症状,造血障害など多様な有害事象を認めるものの,化学療法や同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation : allo- HSCT)に比べて毒性は低いと報告されている。
 以上よりIFNα/AZT 療法は,ATL に対して有望な治療法であるが,これまでの海外での小規模な臨床的検討と後方視的解析によるエビデンスが十分でないことから,一般診療としては推奨されない。なお,IFNα,AZT ともにATL は適応外である。現在わが国で,インドレントATL に対するIFNα/AZT 療法と無治療経過観察との比較試験が進行中である。


[参考文献]

1) Gill PS, et al. Treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with a combination of interferon alfa and zidovudine. N Engl J Med. 1995 ; 332( 26) : 1744-8.(3iiiDiv)
2) Hermine O, et al. Treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with zidovudine and interferon alfa. N Engl J Med. 1995 ; 332( 26) : 1749-51.(3iiiDiv)
3) Tobinai K, et al. Interferon alfa and zidovudine in adult T-cell leukemia-lymphoma (correspondence). N Engl J Med. 1995 ; 333( 19) : 1285-6.(3iiiDiv)
4) Bazarbachi A, et al. Meta-Analysis on the Use of Zidovudine and Interferon-Alfa in Adult T-Cell Leukemia/ Lymphoma Showing Improved Survival in the Leukemic Subtypes. J Clin Oncol. 2010 ; 28 (27) : 4177-83.(3iiiA)