造血器腫瘍診療ガイドライン

Ⅱ章 リンパ腫

Ⅱ リンパ腫

2 MALTリンパ腫/辺縁帯リンパ腫
総論

 MALT(Mucosa associated lymphoid tissue)リンパ腫/粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(節外性辺縁帯リンパ腫)は,WHO 分類(2008)によると,胚中心細胞類似細胞(centrocyte- like cell),単球様B 細胞(monocytoid B cell),小型リンパ球,および,大型芽球様細胞など形態的に多彩な細胞が混在し,主に濾胞辺縁帯(marginal zone)から濾胞間に浸潤・増殖するリンパ腫と定義される1)2)。一部は,形質細胞への分化を認めたり,上皮内に浸潤しlymphoepithelial lesion(LEL)を形成したりする。発生部位により,粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫),節性辺縁帯リンパ腫,脾B 細胞辺縁帯リンパ腫に分類される。また,MALT リンパ腫は,臨床的にgastric とnon-gastric とに分類する。
 辺縁帯リンパ腫の病因の一部には,感染症・炎症が関係していると考えられており3),胃MALT リンパ腫でHelicobacter pyloriの感染頻度は50~100%である4)。そのほかCampylobacter jejuni が小腸,Borrelia burgdorferi が皮膚,Chlamydia psittaci が眼附属器のMALT リンパ腫に関連していることが報告されている。脾B 細胞辺縁帯リンパ腫ではC 型肝炎ウイルスとの関連が示唆されている。唾液腺,甲状腺のMALT リンパ腫は自己免疫疾患に関係しており,それぞれシェーグレン症候群,橋本病などの自己免疫疾患に比較的高頻度に合併するMALT リンパ腫に認められる。特有な染色体異常として,t(11;18)(q21;q21),t(1;14)(p22;q32),t(14;18)(q32;q21),t(3;14)(p14.1;q32),6q23欠失が知られている。これらの責任遺伝子産物は,t(3;14)(p14.1;q32)を除いて,NF-κB の恒常的活性化につながっており,炎症がこの腫瘍の成因に関連している証左となっている。
 胃MALT リンパ腫は胃悪性リンパ腫の約40%を占める。病理組織学的検索と同時に多くの患者で認められるH. pylori の有無を調べることが重要である5)6)。病期決定のための頸部~鼠径部CT,骨髄検査などを必ず実施する。超音波内視鏡により病変の深達度,所属リンパ節への浸潤有無の診断が可能である。病期分類は,Lugano 病期分類が使用されることが多く,Ann Arbor 病期分類での病期Ⅲ期がなく,Ⅳ期と扱われる(悪性リンパ腫総論参照)。また,深達度などを明確にしたTNM 分類が欧米では用いられることがある。
 胃以外の節外臓器に発生するMALT リンパ腫は,大腸,肺,甲状腺,唾液腺,乳腺,眼科領域などに発生するものがある。これらは,低悪性度B 細胞リンパ腫に準じて治療方針が決定される。注意深い経過観察は,症状がなく,慎重に腫瘍の消長をみることができる部位であれば選択肢の一つとなり得る。
 節性辺縁帯リンパ腫は極めて稀であり,節外性辺縁帯リンパ腫(MALT リンパ腫)病変がないかどうかを慎重に評価する7)
 脾B 細胞辺縁帯リンパ腫はCD5 が陰性であること,CD20 が強陽性であることがCLL とは異なる。CD23 の発現程度はさまざまである。特徴的な絨毛が診断の契機となることがある。脾腫,汎血球減少が特徴的とされるが,認めないこともある8)。C 型肝炎合併例を認めることがあり,その場合には,C 型肝炎治療で奏効を得た報告例がある9)10)。脾摘は,脾腫による症状や汎血球減少がある場合に,診断を兼ねて行われる。


[参考文献]

1) Isaacson PG, et al. Extranodal marginal zone lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue (MALT lymphoma). Swerdlow SH, et al, eds. WHO Classifi cation of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid tissues, Lyon, IARC ; 2008 : pp214-9.
2) Campo E, et al. Nodal marginal zone lymphoma. Swerdlow SH, et al, eds. WHO Classifi cation of Tumours of Haematopoietic and Lmphoid Tissues, Lyon, IARC ; 2008 : pp218-9.
3) Guidoboni M, et al. Infectious agents in mucosa-associated lymphoid tissue-type lymphomas : pathogenic role and therapeutic perspectives. Clin Lymphoma Myeloma. 2006 ; 6( 4) : 289-300.(レビュー)
4) Asenjo LM, Gisbert JP. [Prevalence of Helicobacter pylori infection in gastric MALT lymphoma : a systematic review] Rev Esp Enferm Dig. 2007 ; 99( 7) : 398-404.(レビュー)
5) Wotherspoon AC, et al. Helicobacter pylori-associated gastritis and primary B-cell gastric lymphoma. Lancet. 1991 ; 338( 8776) : 1175-6.(レビュー)
6) Cohen SM, et al. Non-Hodgkin’s lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. Oncologist. 2006 ; 11 (10) : 1100-17.(レビュー)
7) Tsimberidou AM, et al. Outcomes in patients with splenic marginal zone lymphoma and marginal zone lymphoma treated with rituximab with or without chemotherapy or chemotherapy alone. Cancer. 2006 ; 107( 1) : 125-35.(3iiiA)
8) Franco V, et al. Splenic marginal zone lymphoma. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2464-72.(レビュー)
9) Weng WK, et al. Hepatitis C virus( HCV) and lymphomagenesis. Leuk Lymphoma. 2003 ; 44( 7) : 1113- 20.(レビュー)
10) Hermine O, et al. Regression of splenic lymphoma with villous lymphocytes after treatment of hepatitis C virus infection. N Engl J Med. 2002 ; 347( 2) : 89-94.(3iiiDiv)


アルゴリズム

アルゴリズム1


アルゴリズム2


アルゴリズム3


アルゴリズム4


アルゴリズム5



アルゴリズム1

 疾患の位置づけを示す。胃MALT リンパ腫はアルゴリズム2 で示し,進展期,無効の場合はアルゴリズム3 で示した。胃以外のMALT リンパ腫はアルゴリズム4 参照。節性辺縁帯リンパ腫はFL に準じる。脾B 細胞辺縁帯リンパ腫ではアルゴリズム5 を参照。

アルゴリズム2

 胃MALT リンパ腫の治療アルゴリズムを示す。H. pylori陽性例は50~100%と報告されており,除菌療法は,90%以上で成功する。除菌療法が成功すれば,MALT リンパ腫に対しても高率に奏効が得られ(50~80%)1),60~100%で長期完全奏効が得られる2)。完全奏効に至るまでの時間は数カ月から1 年の例もあり,長期に経過を観察することが重要である3)
 抗がん薬を追加するメリットは認められてない4)
一次除菌失敗例では,二次治療を実施する。除菌療法で奏効が得られない場合には,放射線療法が推奨される5)。厚生労働省がん研究助成金「消化管悪性リンパ腫に対する非外科的治療の適応と有効性の評価に関する研究班」によると,除菌療法無効例に対する放射線療法単独療法の第Ⅱ相試験では,90%以上で組織学的消失を認めている6)
 胃MALT リンパ腫のうち,H. pylori 陰性例は10~40%と報告されている7)H. pylori 陰性かつ限局期(Lugano 分類でII1 期以下)の場合には,放射線療法8)を検討する。リツキシマブ(R)単剤治療の報告もある9)H. pylori 陰性でも抗生物質を投与した場合に一定の割合で有効例が得られることが知られており,進行が緩徐であって胃に限局している場合には除菌療法を試みることがある10)

アルゴリズム3

 胃のMALT リンパ腫の進展期の場合は,まず,全身化学療法を直ちに実施すべきか否かを判断する。症状を有する場合,臓器障害(出血など)を認める場合,巨大腫瘤を有する場合,確実に進行を認める場合などが化学療法の適応となる。化学療法を行うのであれば,低悪性度B 細胞リンパ腫の代表的疾患である濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)に準じた治療が行われる。アントラサイクリンを含んだ併用療法を初回から行うことは少なく,トランスフォームした可能性のある場合やbulky disease に対しては考慮すべきである。
 再発時には,まず,その組織診断を実施することが必須である。初発診断時の病理組織が,必ずしも全体像を反映していなかった可能性[びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(diff use large B cell lymphoma:DLBCL)の混在]やトランスフォームする可能性があるため,再生検は必須である。再生検の結果,DLBCL と診断された場合には,胃原発DLBCL として治療する。留意すべきことは,経過観察中の患者で胃がんの発生が認められた例があることである。これは,放射線による直接的影響なのか,H. pylori 感染者では胃がん発症リスクが高いためなのかは明らかではない11)12)

アルゴリズム4

 胃以外のMALT リンパ腫で限局期の場合には,注意深い経過観察以外に,放射線療法や外科的摘出が考慮される。また,外科的に摘出された後で診断された場合には,完全に摘除されたか残存しているかの判定が重要である。残存があるようなら,放射線療法を考慮する。また,限局期再発の場合にも放射線療法は選択肢の一つとなる。
 進行期の場合は,注意深い経過観察に加えて,化学療法も考慮される。化学療法はFL に代表される低悪性度B 細胞リンパ腫に準じた治療方針が推奨される。大型細胞が混じる組織型の場合には,DLBCL に準じた治療方針が推奨される13)

アルゴリズム5

 C 型肝炎合併の場合,C 型肝炎治療で奏効を得た報告例がある14)。脾摘は,脾腫による症状や汎血球減少がある場合に,診断を兼ねて行われる。脾B 細胞辺縁帯リンパ腫の薬物療法を行う場合には,まずR 単剤治療を考慮する。これにより長期の奏効が得られた例がある。これらの治療でも進行,再燃した場合にFL に準じた治療が行われる。


[参考文献]

1) Cohen SM, et al. Non-Hodgkin’s lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. Oncologist, 2006 ; 11 (10) : 1100-17.(レビュー)
2) Nakamura S, et al. Helicobacter pylori-negative gastric mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma : a clinicopathologic and molecular study with reference to antibiotic treatment. Cancer. 2006 ; 107 (12) :2770-8.(3iiiDiv)
3) Fischbach W, et al. Most patients with minimal histological residuals of gastric MALT lymphoma after successful eradication of Helicobacter pylori can be managed safely by a watch and wait strategy : experience from a large international series. Gut. 2007 ; 56( 12) : 1685-7.(3iiiDiii)
4) Levy M, et al. Conservative treatment of primary gastric low-grade B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue : predictive factors of response and outcome. Am J Gastroenterol. 2002 ; 97( 2) : 292-7. (3iiiDiv)
5) Goda JS, et al. Long-term outcome in localized extranodal mucosa-associated lymphoid tissue lymphomas treated with radiotherapy. Cancer. 2010 ; 116( 16) : 3815-24.(3iiiA)
6) 大津 敦.消化管悪性リンパ腫に対する非外科的治療の適応と有効性の評価に関する研究.平成10 年厚生労働省がん研究助成金による報告書.1998425-456.(3iiiDiv)
7) Ye H, et al. High incidence of t(11;18)(q21;q21) in Helicobacter pylori-negative gastric MALT lymphoma. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2547-50.(3iiiDiii)
8) Schechter NR, et al. Treatment of mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the stomach with radiation alone. J Clin Oncol. 1998 ; 16( 5) : 1916-21.(3iiDi)
9) Martinelli G, et al. Clinical activity of rituximab in gastric marginal zone non-Hodgkin’s lymphoma resistant to or not eligible for anti-Helicobacter pylori therapy. J Clin Oncol. 2005 ; 23( 9) : 1979-83.(3iiiDiv)
10) Raderer M, et al. Successful antibiotic treatment of Helicobacter pylori negative gastric mucosa associated lymphoid tissue lymphomas. Gut. 2006 ; 55( 5) : 616-8.(3iiiDiv)
11) Suenaga M, et al. Colliding gastric and intestinal phenotype well-differentiated adenocarcinoma of the stomach developing in an area of MALT-type lymphoma. Gastric cancer : official journal of the International Gastric Cancer Association and the Japanese Gastric Cancer Association. 2003 ; 6 (4) : 270-6. (3iiiDiv)
12) Raderer M, et al. Early cancer of the stomach arising after successful treatment of gastric MALT lymphoma in patients with autoimmune disease. Scand J Gastroenterol. 2003 ; 38( 3) : 294-7.(3iiiDiv)
13) Ghesquières H, et al. Clinicopathologic characteristics and outcome of diffuse large B-cell lymphomas presenting with an associated low-grade component at diagnosis. J Clin Oncol. 2006 ; 24 (33) : 5234-41. (3iiDiii)
14) Hermine O, et al. Regression of splenic lymphoma with villous lymphocytes after treatment of hepatitis C virus infection. N Engl J Med. 2002 ; 347( 2) : 89-94.(3iiiDiv)


CQ 1H. pylori 陽性限局期胃MALT リンパ腫の初期治療方針は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

H. pylori 陽性限局期MALT リンパ腫には,H. pylori 除菌療法が推奨される。

[解 説]

 胃MALT リンパ腫患者におけるH. pylori の感染頻度は50~100%以上であると報告されている1)H. pylori 感染の有無の確認が治療方針の決定において重要である。H. pylori 陽性限局期MALTリンパ腫においては,H. pylori 除菌療法が,第一選択となる。除菌療法による奏効割合は50~80%で2)~4),90%以上の長期生存割合が得られている。除菌療法成功後,MALT リンパ腫が消失するまでの期間は中央値で数カ月であるが,数年かかることもある。除菌により奏効が得られた症例の再発割合は,3%である3)。一方,除菌失敗例のうち,リンパ腫の進展を認めた割合は27%である4)。したがって,リンパ腫病変が残存しても,除菌が成功した場合には,リンパ腫の進展がなければ,定期的な内視鏡検査と生検により経過観察を行う5)。t(11;18)/API2-MALT1を有する場合には,除菌療法の成功率は低い5)


[参考文献]

1) Asenjo LM, Gisbert JP. [Prevalence of Helicobacter pylori infection in gastric MALT lymphoma : a systematic review] Rev Esp Enferm Dig. 2007 ; 99( 7) : 398-404.(レビュー)
2) Bertoni F, et al. Molecular follow-up in gastric mucosa-associated lymphoid tissue lymphomas : early analysis of the LY03 cooperative trial. Blood. 2002 ; 99( 7) : 2541-4.(3iiDi)
3) Nakamura S, et al. Long-term clinical outcome of gastric MALT lymphoma after eradication of Helicobacter pylori : a multicentre cohort follow-up study of 420 patients in Japan. Gut. 2012 ; 61 (4) : 507-13. (3iiiA)
4) Thiede C, et al. Long-term persistence of monoclonal B cells after cure of Helicobacter pylori infection and complete histologic remission in gastric mucosa-associated lymphoid tissue B-cell lymphoma. J Clin Oncol. 2001 ; 19( 6) : 1600-9.(3iiiDiii)
5) Ye H, et al. High incidence of t(11;18)(q21;q21) in Helicobacter pylori-negative gastric MALT lymphoma. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2547-50.(3iiiDiii)


CQ 2 H. pylori 陽性限局期胃MALT リンパ腫で除菌失敗の時の治療法は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

H. pylori 陽性限局期MALT リンパ腫で除菌失敗の時は,再度の H.pylori 除菌療法が推奨される。

[解 説]

 わが国では,プロトンポンプ阻害薬+アモキシシリン+クラリスロマイシンを1 週間投与する3剤併用療法が一次除菌治療として行われる1)。80~90%の除菌率であり,除菌不成功の最大の原因はクラリスロマイシン耐性菌である。日本ヘリコバクター学会の耐性菌サーベイランス委員会の報告で2000 年には7%程度であったクラリスロマイシン耐性率が,2005 年には30%近くまで上昇している。一次除菌で不成功であった症例に対して,二次除菌として,クラリスロマイシンをメトロニダゾールに変えたレジメンで除菌を行う1)


[参考文献]

1) 浅香正博ほか. H. pylori 感染の診断と治療のガイドライン2009 年改訂版. Japanese Journal of Helicobacter Research. 2009 ; 10(Supple) : 1-25.(ガイドライン)


CQ 3除菌後にリンパ腫の残存がみられる場合の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2B

リンパ腫の残存がみられる場合には放射線療法またはリツキシマブ単剤か免疫化学療法を考慮する。

[解 説]

 リンパ腫が残存する場合やリンパ腫による症状を認める場合には,放射線療法1)~4)またはリツキシマブ(R)単剤5)か免疫化学療法を考慮する6)。ただし,免疫化学療法に比べて,放射線療法の奏効割合の方が高い 5)。t(11;18)/API2-MALT1 を有する症例は除菌療法に抵抗性であり7),除菌以外の治療を考慮する。いずれの場合でも,リンパ腫の残存が認められる場合には,MALT リンパ腫の残存のほか,DLBCL への進展を確認するため,繰り返し生検を実施することが重要である。DLBCL への進展は約3%で,再発または除菌失敗例に限れば,約25%であった8)。除菌により奏効が得られた場合に追加の化学療法をしても,再発は防止できないので,経過観察をする9)。除菌が成功し,胃MALT リンパ腫の奏効が得られても,遅発性再発が生じ得るため,長期の経過観察が必要である10)


[参考文献]

1) Fung CY, et al. Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the stomach : long term outcome after local treatment. Cancer. 1999 ; 85( 1) : 9-17.(3iiiA)
2) Tsang RW, et al. Localized mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma treated with radiation therapy has excellent clinical outcome. J Clin Oncol. 2003 ; 21( 22) : 4157-64.(3iiiA)
3) Vrieling C, et al. Long-term results of stomach-conserving therapy in gastric MALT lymphoma. Radiother Oncol. 2008 ; 87( 3) : 405-11.(3iiDi)
4) Schechter NR, et al. Treatment of mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the stomach with radiation alone. J Clin Oncol. 1998 ; 16( 5) : 1916-21.(3iiDi)
5) Raderer M, et al. Rituximab for treatment of advanced extranodal marginal zone B cell lymphoma of the mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma. Oncology. 2003 ; 65( 4) : 306-10.( 3iiiDiv)
6) Zullo A, et al. Treatment of low-grade gastric MALT-lymphoma unresponsive to Helicobacter pylori therapy : a pooled-data analysis. Med Oncol. 2010 ; 27( 2) : 291-5.(3iiiDiv)
7) Ye H, et al. High incidence of t(11;18)(q21;q21) in Helicobacter pylori-negative gastric MALT lymphoma. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2547-50.(3iiiDiii)
8) Thiede C, et al. Long-term persistence of monoclonal B cells after cure of Helicobacter pylori infection and complete histologic remission in gastric mucosa-associated lymphoid tissue B-cell lymphoma. J Clin Oncol. 2001 ; 19(6) : 1600-9.(3iiiDiii)
9) Hancock BW, et al. Chlorambucil versus observation after anti-Helicobacter therapy in gastric MALT lymphomas : results of the international randomised LY03 trial. Br J Haematol. 2009 ; 144 (3) : 367-75. (1iiDiii)
10) Wündisch T, et al. Long-term follow-up of gastric MALT lymphoma after Helicobacter pylori eradication. J Clin Oncol. 2005 ; 23(31) : 8018-24.(3iiiDiii)


CQ 4 H. pylori 陰性限局期胃MALT リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2B

H. pylori 陰性限局期胃MALT リンパ腫には,放射線療法が推奨される。

[解 説]

 MALT リンパ腫において,報告例をまとめると20%前後の症例が H. pylori の感染を認めない1)H. pylori陰性胃 MALT リンパ腫には,t(11;18)/API2-MALT1 の頻度が高い 2)。この転座の有無にかかわらずH. pylori 陰性限局期MALT リンパ腫においては,放射線療法を考慮する3)~5)。ごく少数例でのみ除菌療法での有効例がある6)


[参考文献]

1) Asenjo LM, Gisbert JP. [Prevalence of Helicobacter pylori infection in gastric MALT lymphoma : a systematic review] Rev Esp Enferm Dig. 2007 ; 99( 7) : 398-404.(レビュー)
2) Ye H, et al. High incidence of t(11;18)(q21;q21) in Helicobacter pylori-negative gastric MALT lymphoma. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2547-50.(3iiiDiii)
3) Fung CY, et al. Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the stomach : long term outcome after local treatment. Cancer. 1999 ; 85( 1) : 9-17.(3iiiA)
4) Tsang RW, et al. Localized mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma treated with radiation therapy has excellent clinical outcome. J Clin Oncol. 2003 ; 21( 22) : 4157-64.(3iiiA)
5) Vrieling C, et al. Long-term results of stomach-conserving therapy in gastric MALT lymphoma. Radiother Oncol. 2008 ; 87( 3) : 405-11.(3iiDi)
6) Raderer M, et al. Successful antibiotic treatment of Helicobacter pylori negative gastric mucosa associated lymphoid tissue lymphomas. Gut. 2006 ; 55( 5) : 616-8.(3iiiDiv)


CQ 5進行期胃MALT リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

進行期胃MALT リンパ腫では,低悪性度B 細胞リンパ腫(FL など)に準じて,リツキシマブ±化学療法もしくは慎重な経過観察が推奨される。

[解 説]

 進行期胃MALT リンパ腫は,診断時から進展している場合と限局期から進展する場合の両者が考えられる。いずれの場合も,疾患の頻度が低く大規模な臨床試験実施が困難であるため,至適な治療方針は未確立である。進行期の場合は,症状を有する場合,臓器障害(消化管出血など)を認める場合,巨大腫瘤を有する場合,確実に進行を認める場合,患者の希望などが化学療法の適応となる。シクロホスファミド(CPA)などのアルキル化剤単独療法1),フルダラビン(FLU)やクラドリビン(2-CdA)などのプリンアナログ剤単独療法2)3),リツキシマブ(R)単剤4)の有効性が報告されているが,いずれの治療法が優れているかを比較した臨床試験の報告はない。プリンアナログでの二次性造血器腫瘍発症リスクの増加の可能性に注意が必要である5)。アントラサイクリンを含んだ併用療法は,再発例でも有効であったとの報告がある6)
 疾患の頻度が低く大規模な臨床試験が困難であり,十分なエビデンスレベルは得られていないものの,低悪性度B 細胞リンパ腫(FL など)に準じた治療方針が選択されている6)7)


[参考文献]

1) Hammel P, et al. Effi cacy of single-agent chemotherapy in low-grade B-cell mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma with prominent gastric expression. J Clin Oncol. 1995 ; 13(10) : 2524-9.(3iiDii)
2) Zinzani PL, et al. Fludarabine-containing chemotherapy as frontline treatment of nongastrointestinal mucosa- associated lymphoid tissue lymphoma. Cancer. 2004 ; 100(10) : 2190-4.(3iiiA)
3) Jäger G, et al. Treatment of extranodal marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue type with cladribine : a phase Ⅱ study. J Clin Oncol. 2002 ; 20(18) : 3872-7.(3iiiDiv)
4) Martinelli G, et al. Clinical activity of rituximab in gastric marginal zone non-Hodgkin’s lymphoma resistant to or not eligible for anti-Helicobacter pylori therapy. J Clin Oncol. 2005 ; 23(9) : 1979-83.(3iiiDiv)
5) Jäger G, et al. Occurrence of a myelodysplastic syndrome (MDS) during first-line 2-chloro-deoxyadenosine( 2-CDA) treatment of a low-grade gastrointestinal MALT lymphoma. Case report and review of the literature. Haematologica. 2004 ; 89(4) : ECR01.(3iiiDiv)
6) Raderer M, et al. Activity of rituximab plus cyclophosphamide, doxorubicin/mitoxantrone, vincristine and prednisone in patients with relapsed MALT lymphoma. Oncology. 2006 ; 70(6) : 411-7.(3iiiDiv)
7) Kahl B, et al. Marginal zone lymphomas : management of nodal, splenic, and MALT NHL. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2008 : 359-64.(レビュー)


CQ 6胃原発以外のMALT リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2B

限局期の場合には,放射線治療,外科切除,慎重な経過観察などが推奨される。進行期の場合には,FL に準じて,リツキシマブ±化学療法や慎重な経過観察が推奨される。

[解 説]

 疾患の頻度が低く,大規模な臨床試験実施が困難であるため,胃原発以外の節外臓器に発生したMALT リンパ腫の至適治療方針は確立されていない。各患者の病変部位,病期,臨床症状を考慮して治療方針を決定する。治療方法として,放射線療法,外科切除,抗体療法を含めた化学療法などが考慮されるが,どの方法を選択しても,5 年全生存割合(OS)は90%,10 年OS は80%と良好な予後が報告されている1)2)。また,慎重な経過観察も選択肢の一つとなり得る。
 限局期の場合には,放射線療法1)~4),外科切除1)2)による局所治療が主体となる。MALT リンパ腫は放射線感受性が高く,35 Gy までの放射線療法で良好なコントロールが可能であり,大部分の眼付属器発症例では25 Gy で,その他の部位でも30 Gy でコントロールされていた3)。日本でもおおむね30 Gy でコントロールされることが確認された5)。診断を兼ねて切除された場合には,残存がなければ経過観察も許容され,残存がある場合には局所放射線治療を考慮する。症状がない場合には慎重な経過観察も選択肢の一つである。しかし,これらの優劣を比較した試験はない。
 一方,進行期として診断される患者は,約半数である6)。進行期に対しては,FL の治療方針に準じた方針が推奨される1)。すなわち,リツキシマブ(R)単剤治療,または,R 併用化学療法を考慮する。R 単剤治療の奏効割合は約75%である1)。症状がない場合には慎重な経過観察も選択肢の一つである。


[参考文献]

1) Thieblemont C. Clinical presentation and management of marginal zone lymphomas. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2005 : 307-13.(レビュー)
2) Zucca E, et al. Nongastric marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2489-95.(レビュー)
3) Goda JS, et al. Long-term outcome in localized extranodal mucosa-associated lymphoid tissue lymphomas treated with radiotherapy. Cancer. 2010 ; 116( 16) : 3815-24.(3iiiA)
4) Fung CY, et al. Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma of the stomach : long term outcome after local treatment. Cancer. 1999 ; 85( 1) : 9-17.(3iiiA)
5) Isobe K, et al. A Multicenter Phase Ⅱ Study of Local Radiation Therapy for Stage IEA Mucosa-Associated Lymphoid Tissue Lymphomas : A Preliminary Report From the Japan Radiation Oncology Group (JAROG). Int J Radiation Oncology Biol Physics 2007 ; 69( 4) : 1181-6.( 3iiA)
6) Thieblemont C, et al. Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma is a disseminated disease in one third of 158 patients analyzed. Blood. 2000 ; 95( 3) : 802-6.(3iiiDiii)


CQ 7DLBCLとの境界病変の場合の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

DLBCL に準じた治療方針が推奨される。

[解 説]

 従来,high grade MALT リンパ腫といわれたものが含まれる1)。臨床的経過もびまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(DLBCL)と同様と考えられている2)。疾患の頻度が低く大規模な臨床試験が実施困難であり,十分なエビデンスは得られていないものの,大型細胞成分のシート状または充実性増殖を認めるMALT リンパ腫,および大細胞型へ組織学的進展したMALT リンパ腫においては,DLBCL に準じた治療が行われた報告がある3)


[参考文献]

1) Conconi A, et al. Clinical activity of rituximab in extranodal marginal zone B-cell lymphoma of MALT type. Blood. 2003 ; 102(8) : 2741-5.(3iiDiv)
2) de Jong D, et al. Histological grading with clinical relevance in gastric mucosa-associated lymphoid tissue (MALT) lymphoma. Recent Results Cancer Res. 2000 ; 156 : 27-32.(3iiiDiii)
3) Ghesquières H, et al. Clinicopathologic characteristics and outcome of diff use large B-cell lymphomas presenting with an associated low-grade component at diagnosis. J Clin Oncol. 2006 ; 24(33) : 5234-41. (3iiDiii)


CQ 8節性辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

節性辺縁帯リンパ腫の治療方針は,FL に代表される低悪性度B 細胞リンパ腫の治療選択が推奨される。

[解 説]

 疾患の頻度が低く,節性辺縁帯リンパ腫に限定した大規模な臨床試験の実施が困難であり,十分なエビデンスは得られていない。一般的に,FL に代表される低悪性度B 細胞リンパ腫に準じた治療が推奨される1)2)
 限局期の場合には,注意深い経過観察や放射線療法が考慮される。進行期で症状がなく腫瘍量が少ない場合には,注意深い経過観察やリツキシマブ単剤治療を考慮する。症状がある場合,腫瘍による圧迫や浸潤による臓器障害を認める場合,もしくは腫瘍量が多い場合には,リツキシマブ(R)併用化学療法を考慮する。化学療法の内容としては,R-CVP 療法(R, CPA, VCR, PSL),R-CHOP 療法(R, CPA, DXR, VCR, PSL)が挙げられる。第Ⅱ相試験ではフルダラビン(FLU)などのプリンアナログも使用されている3)が,初発例に対しては本邦では保険適用外である。


[参考文献]

1) Thieblemont C. Clinical presentation and management of marginal zone lymphomas. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2005 : 307-13.(レビュー)
2) Zucca E, et al. Nongastric marginal zone B-cell lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue. Blood. 2003 ; 101( 7) : 2489-95.(レビュー)
3) Brown JR, et al. A phase 2 study of concurrent fl udarabine and rituximab for the treatment of marginal zone lymphomas. Br J Haematol. 2009 ; 145( 6) : 741-8.(3iiiDiv)


CQ 9C 型肝炎ウイルス陽性の場合の脾B 細胞辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

無症状の場合には経過観察を行う。C 型肝炎ウイルス(HCV)陽性で,治療適応があれば,HCV に対する抗ウイルス療法を考慮する。

[解 説]

 脾腫や血球減少などのない無症状のC 型肝炎ウイルス(HCV)陽性脾B 細胞辺縁帯リンパ腫では経過観察が行われる。治療を行わなくとも経過には影響しない1)~4)。HCV の治療の適応があれば,HCV の治療を行う。脾腫を認めるHCV 陽性脾B 細胞辺縁帯リンパ腫は,HCV の治療を実施する。HCV 陽性脾B 細胞辺縁帯リンパ腫をインターフェロンα(IFNα)±ribavirine の治療により,HCV-RNA が陰性化した後に,脾B 細胞辺縁帯リンパ腫の奏効が観察された5)。一方,HCV陰性の患者はIFNαに対する奏効を認めていない。


[参考文献]

1) Berger F, et al. Non-MALT marginal zone B-cell lymphomas : a description of clinical presentation and outcome in 124 patients. Blood. 2000 ; 95( 6) : 1950-6.(3iiiDiii)
2) Chacón JI, et al. Splenic marginal zone lymphoma : clinical characteristics and prognostic factors in a series of 60 patients. Blood. 2002 ; 100( 5) : 1648-54.(3iiiDiii)
3) Thieblemont C, et al. Treatment of splenic marginal zone B-cell lymphoma : an analysis of 81 patients. Clin Lymphoma. 2002 ; 3( 1) : 41-7.(3iiiDiii)
4) Troussard X, et al. Splenic lymphoma with villous lymphocytes : clinical presentation, biology and prognostic factors in a series of 100 patients. Groupe Francais d’Hematologie Cellulaire( GFHC). Br J Haematol. 1996 ; 93( 3) : 731-6.(3iiiDiii)
5) Hermine O, et al. Regression of splenic lymphoma with villous lymphocytes after treatment of hepatitis C virus infection. N Engl J Med. 2002 ; 347( 2) : 89-94.(3iiiDiv)


CQ 10HCV 陰性脾B 細胞辺縁帯リンパ腫の治療は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

症状を有する脾腫や血球減少などの症状を呈するHCV 陰性脾B 細胞辺縁帯リンパ腫は,脾摘またはリツキシマブ単剤による治療が推奨される。

[解 説]

 脾腫や血球減少などのない無症状の脾B 細胞辺縁帯リンパ腫では経過観察が行われる。治療を行わなくとも,経過には影響しない1)~4)。脾腫による圧迫症状や血球減少を認める場合には,治療を考慮する。治療は,脾摘またはリツキシマブ(R)単剤による治療を考慮する。脾摘は,治癒を目指すものではないが,症状と血球減少が軽快する。R は脾B 細胞辺縁帯リンパ腫に有効であり,小規模の第Ⅱ相試験であるが,高い奏効割合が報告されている5)。しかしながら,化学療法やR 併用化学療法と比較した試験はない。


[参考文献]

1) Berger F, et al. Non-MALT marginal zone B-cell lymphomas : a description of clinical presentation and outcome in 124 patients. Blood. 2000 ; 95( 6) : 1950-6.(3iiiDiii)
2) Chacón JI, et al. Splenic marginal zone lymphoma : clinical characteristics and prognostic factors in a series of 60 patients. Blood. 2002 ; 100( 5) : 1648-54.(3iiiDiii)
3) Thieblemont C, et al. Treatment of splenic marginal zone B-cell lymphoma : an analysis of 81 patients. Clin Lymphoma. 2002 ; 3( 1) : 41-7.(3iiiDiii)
4) Troussard X, et al. Splenic lymphoma with villous lymphocytes : clinical presentation, biology and prognostic factors in a series of 100 patients. Groupe Francais d’Hematologie Cellulaire( GFHC). Br J Haematol. 1996 ; 93( 3) : 731-6.(3iiiDiii)
5) Kalpadakis C, et al. Rituximab monotherapy is highly eff ective in splenic marginal zone lymphoma. Hematol Oncol. 2007 ; 25( 3) : 127-31.(3iiiDiii)