造血器腫瘍診療ガイドライン

第Ⅰ章 白血病

Ⅰ 白血病

1 急性骨髄性白血病
総論

1.AMLの病態と治療
 急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は分化・成熟能が障害された幼若骨髄系細胞のクローナルな自律性増殖を特徴とする多様性に富む血液腫瘍である。骨髄における白血病細胞の異常な増殖の結果,正常な造血機能は著しく阻害され,白血球減少,貧血,血小板減少に伴うさまざまな症状を呈する。適切な治療がなされない場合は,感染症や出血により短期間で致死的となる重篤な疾患である。
 初発AMLに対する基本的な治療戦略は治癒を目指した強力な化学療法であり,多剤併用療法が基本となる。しかし,その適応は化学療法による臓器毒性や合併症に耐えられるかを年齢,臓器機能,全身状態などによって慎重かつ厳密に判断する必要がある(表1)1)2)。AMLに対する化学療法は寛解導入療法と,寛解が得られた後に行う寛解後療法からなる。化学療法のみでは良好な長期予後が得られない症例に対しては,第一寛解期で同種造血幹細胞移植が適応となる。
 寛解導入療法に対する不応例や,完全寛解(complete remission:CR)に到達したものの,その後再発をきたした症例は,再発・難治例として救援療法が必要となる。しかし,再発・難治例においては化学療法のみでの治癒は期待しがたいため,可能な症例では同種造血幹細胞移植が適応となる。
 高齢者AMLでは,臓器機能などの患者側要因により,若年成人と同等の治療強度を持つ化学療法を一律に実施することは困難である。全身状態や臓器機能が充分に保たれている場合には化学療法の適応となるが,一般的に高齢者AMLに対する化学療法は治療関連合併症の頻度・程度が高く,強力化学療法の適応は慎重に判断しなければならない。

表1 強力化学療法適応規準1)2)

項目 基準
年齢 65 歳未満
心機能 左室駆出率(LVEF)50%以上
肺機能 PaO2 60Torr 以上またはSpO2 90%以上(room air)
肝機能 血清ビリルビン2.0 mg/dL 以下
腎機能 血清クレアチニン施設基準値の上限の1.5 倍以下
感染症 制御不能の感染症の合併なし

JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)における臨床第Ⅲ相試験で定める適格規準などを参考に強力化学療法を行うにあたり上記規準が目安となるが,患者の全身状態やその他の合併症を考慮して総合的に判断する必要がある。

表2 AML のWHO 分類(2008)3)

Acute myeloid leukemia with recurrent genetic abnormalities
・AML with t(8;21)(q22;q22); RUNX1-RUNX1T1
・AML with inv(16)(p13.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22); CBFB-MYH11
・APL with t(15;17)(q22;q12); PML-RARA
   Variant RARA translocations
・AML with t(9;11)(p22;q23); MLLT3-MLL
   Variant MLL translocations
・AML with t(6;9)(p23;q34); DEK-NUP214
・AML with inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2); RPN1-EVI1
・AML(megakaryoblastic) with t(1;22)(p13;q13); RBM15-MKL1
・Provisional entity: AML with mutated NPM1
・Provisional entity: AML with mutated CEBPA
Acute myeloid leukemia with myelodysplasia-related changes
Therapy-related myeloid neoplasms
Acute myeloid leukemia, not otherwise specified
・AML with minimal differentiation( FAB: M0)
・AML without maturation(FAB: M1)
・AML with maturation(FAB: M2)
・Acute myelomonocytic leukemia(FAB: M4)
・Acute monoblastic/monocytic leukemia(FAB: M5)
・Acute erythroid leukemia(FAB: M6)
   Pure erythroid leukemia
   Erythroleukemia, erythroid/myeloid
・Acute megakaryoblastic leukemia(FAB: M7)
・Acute basophilic leukemia
・Acute panmyelosis with myelofibrosis
Myeloid sarcoma
Myeloid proliferations related to Down syndrome
Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasms

2.AMLの診断と病型分類
AMLの診断は,①骨髄における白血病細胞の存在(WHO分類では20%以上,FAB分類では30%以上),②白血病細胞が骨髄系起源であること,③白血病細胞の染色体核型・遺伝子変異解析によって行われ,その後WHO分類(2008)によって病型分類される(表2)3)。従来汎用されてきたFAB分類はde novo AMLのみを対象としてきたが,WHO分類では治療関連AMLと骨髄異形成に関連した変化を有するAMLおよびAML関連前駆細胞性腫瘍(骨髄肉腫,芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍)を含むとともに,反復遺伝子異常を有するAMLとダウン症に伴う骨髄増殖症を一つのカテゴリーとして定義している。WHO分類ではこれらカテゴリーに該当しない症例を分類不能のAML(AML, not otherwise specified)としているが,その細分類にはFAB分類における形態学的・免疫組織学的診断が用いられる4)

表3 AML における予後層別化因子2)5)~ 7)

層別化因子 良好となる因子 不良となる因子
年齢 50 歳以下 60 歳以上
全身状態(PS) PS 2 以下 PS 3 以上
発症様式 de novo 二次性
染色体核型 t(8;21)(q22;q22)
inv(16)(p13.1q22)
t(16;16)(P13.1;q22)
t(15;17)(q22;q21)
3q異常[inv(3)(q21q26.2),
t(3;3)(q21;q26.2)など]
5 番・7 番染色体の欠失または長碗欠失
t(6;9)(p23;q34)複雑核型
遺伝子変異 NPM1 変異
CEBPA 変異
FLT3-ITD 変異
寛解までに要した治療回数 1 回 2 回以上

表4 European LeukemiaNet による分子異常に基づく層別化 8)

ELN Genetic Risk Group Subsets
Favorable ・t(8;21)(q22;q22); RUNX1-RUNX1T1
・inv(16)(p13.1q22) or t(16;16)(p13.1;q22); CBFB-MYH11
・Mutated NPM1 without FLT3-ITD(normal karyotype)
・Mutated CEBPA(normal karyotype)
Intermediate-I ・Mutated NPM1 and FLT3-ITD(normal karyotype)
・Wt-NPM1 and FLT3-ITD(normal karyotype)
・Wt-NPM1 without FLT3-ITD(normal karyotype)
Intermediate-II ・t(9;11)(p22;q23); MLLT3-MLL
・Cytogenetic abnormalities not classified as favorable or adverse
Adverse ・inv(3)(q21q26.2) or t(3;3)(q21;q26.2); RPN1-EVI1
・t(6;9)(p23;q34); DEK-NUP214
・t(v;11)(v;q23); MLL rearranged
・-5 or del(5q)
・-7
・abnl(17p)
・complex karyotype

3.AMLの予後因子
 標準的な化学療法を受けた若年成人AML全体では,70~80%のCRと40%前後の5年無再発生存が得られるが,種々の予後因子により予後良好群,中間群,不良群の3種類に区別される。
 AMLの予後には患者側要因と白血病細胞側要因の双方が関係するとともに,治療反応性も長期予後に影響を及ぼす因子となる(表3)2)5)~7)
 患者側要因として,年齢(60歳以上),全身状態(Performance Status:PS 3および4),合併症の存在(感染症など)が予後不良因子として重要である。
 白血病細胞側要因として,染色体核型,発症様式(de novoまたは二次性),初診時白血球数,細胞形態(異形成の有無,FAB病型,myeloperoxidase:MPO染色陽性率)が予後因子となる。
 近年,染色体異常のみならず,種々の遺伝子変異が予後因子として重要であることが報告されており,特にAMLの約1/4に認められる正常染色体核型(予後中間群)の予後を細分化する因子として注目されている。NPM1遺伝子変異陽性例は寛解導入率に対して良好な因子である。CEBPA遺伝子変異は寛解導入と長期予後に対する良好な因子として知られる。一方,FLT3-ITD遺伝子変異は長期予後に対する不良因子として重要である。これら遺伝子変異と従来の染色体核型に基づく予後因子を組み合わせた,新たな予後層別化システムがEuropean LeukemiaNetより提唱されている(表4)8)

[参考文献]

1) Ohtake S, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117(8) : 2358-65. (1iiDiv)
2) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Acute Myeloid Leukemia. Version 2. 2012.(ガイドライン)
【第1.2版修正】
2) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Acute Myeloid Leukemia. Version 1. 2015.(ガイドライン)
3) Swerdlow SH, et al. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ; 2008.
4) Bennett JM, et al. Proposed revised criteria for the classification of acute myeloid leukemia. A report of the French-American-British Cooperative Group. Ann Intern Med. 1985 ; 103 (4) : 620-5.
5) Grimwade D, et al. The importance of diagnostic cytogenetics on outcome in AML : analysis of 1,612 patients entered into the MRC AML 10 trial. The Medical Research Council Adult and Children’s Leukaemia Working Parties. Blood. 1998 ; 92 (7) : 2322-33. (3iiiD)
6) 日本血液学会.日本リンパ網内系学会編.造血器腫瘍取扱い規約 第1版.2010年3月.(ガイドライン)
7) Kuriyama K, et al. Trial to extract prognostic factors prior to the start of induction chemotherapy for adult AML. Berlin : Springer. 1998 ; pp901-5.
8) Dohner H, et al. Diagnosis and management of acute myeloid leukemia in adults : recommendations from an international expert panel, on behalf of the European LeukemiaNet. Blood. 2010 ; 115 (3) : 453-74. (レビュー)

アルゴリズム

1.若年者AML
 AMLと診断された場合は上記のアルゴリズムに従うことが推奨される。若年AMLに対する標準的寛解導入療法はアントラサイクリン+標準量シタラビン(AraC)(CQ2)である。その際のアントラサイクリン系薬剤の至適な種類と投与量は一つに限定されないが,高用量ダウノルビシン(DNR)またはイダルビシン(IDR)(常用量)の使用が推奨される(CQ2)。1コース目の寛解導入療法で非寛解症例に対しては同一レジメンが繰り返されることが多く(CQ5),2コース目の治療でも寛解が得られない場合は,大量あるいは中等量Aracを含む救援療法が行われる。
 地固め療法は染色体などの予後因子により層別化して行われる。予後良好群に対しては,AraC大量療法(CQ6, 7)が,予後中間群,不良群に対しては同種造血幹細胞移植が推奨されるが(CQ9),適切なドナーが不在の場合は,非交差耐性のアントラサイクリン系薬剤を含んだレジメンが実施される(CQ8)。維持療法の有用性は明らかではない。

2.高齢者AML
 高齢者の定義は定かではないが,わが国では65歳以上とすることが多い。標準的な治療が可能かどうかは,PSや合併症,さらには染色体分析の結果を参考に担当医師により判断される。治療可能と判断された症例に対してはDNR+AraCまたはDNR+エノシタビン(BHAC)が推奨される(CQ4)。高齢者AMLに対する標準的寛解後療法は確立されてないが,わが国では,非交差耐性のアントラサイクリン系薬剤を含む多剤併用レジメンが実施されることが多い。最近では,予後不良の症例には寛解後療法として骨髄非破壊的前処置による同種造血幹細胞移植も行われることがある。標準治療は困難だが,治療は可能と判断された症例には,低用量AraCや新規薬剤による治療が行われる。

CQ 1 AMLの診断時に必要な遺伝子検査は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

染色体核型検査は病型分類,予後予測,治療法選択において必須である。WHO分類では染色体正常核型の症例においてはFLT3,NPM1,CEBPA遺伝子変異の解析を行うことが推奨されている。

[解説]

 AML細胞の染色体核型は,寛解導入療法に対する反応性および生存に対する最も強い予後因子であり,WHO分類における病型診断,さらには治療法の選択においても重要な情報となる。
 若年成人においては,染色体核型に基づき,予後良好群,中間群,不良群の3群に分類される1)2)NCCNガイドラインでは,t(8;21)(q22;q22),inv(16)(p13.1q22)またはt(16;16)(p13.1;q22)が予後良好な染色体核型,inv(3)(q21q26.2)またはt(3;3)(q21;q26.2),-5またはdel(5q),-7またはdel(7q),t(6;9)(p23;q34),複雑核型が予後不良染色体核型とされ,それ以外の核型は予後中間群に分類される。MLL遺伝子(11q23)を含む染色体転座は予後不良群とされていたが,t(9;11)(p22;q23)については予後中間群に分類される。MRC AML-11試験の結果によると,高齢者AMLにおいてもこれらの染色体核型に基づく層別化が該当することが示されている3)
 一方,予後良好群として分類されているt(8;21)(q22;q22),inv(16)(p13.1q22)またはt(16;16)(p13.1;q22)核型を有する症例においても,KIT,FLT3遺伝子変異を併せ持つ症例は予後不良である可能性があることや,染色体正常核型を中心とする予後中間群においては,FLT3,NPM1,CEBPA遺伝子などをはじめとする多くの遺伝子変異の存在の有無により,その長期予後が異なる可能性が示唆されている4)。WHO分類(2008)においてもNPM1,CEBPA遺伝子変異を有する症例はAML with recurrent genetic abnormalities中の暫定的な一病型(provisional entity)として記載されているとともに,染色体正常核型の症例においてはFLT3,NPM1,CEBPA遺伝子変異の解析を行うことが推奨されている5)
 本邦においてはこれら遺伝子変異検索の保険適用が得られておらず,また多くの遺伝子変異解析は研究室レベルでのみ実施可能である。
 European LeukemiaNetは,FLT3,NPM1,CEBPA遺伝子変異の解析は臨床試験においては行うべきであるが,日常臨床においては,染色体正常核型の場合に解析を推奨するとしている6)

[参考文献]

1) Grimwade D, et al. The importance of diagnostic cytogenetics on outcome in AML : analysis of 1,612 patients entered into the MRC AML 10 trial. The Medical Research Council Adult and Children’s Leukaemia Working Parties. Blood. 1998 ; 92 (7) : 2322-33. (3iiiD)
2) Slovak ML, et al. Karyotypic analysis predicts outcome of preremission and postremission therapy in adult acute myeloid leukemia : a Southwest Oncology Group/Eastern Cooperative Oncology Group Study. Blood. 2000 ; 96 (13) : 4075-83.(3iiiD)
3) Grimwade D, et al. The predictive value of hierarchical cytogenetic classification in older adults with acute myeloid leukemia (AML) : analysis of 1065 patients entered into the United Kingdom Medical Research Council AML11 trial. Blood. 2001 ; 98 (5) : 1312-20. (3iiiD)
4) Marcucci G, et al. Molecular genetics of adult acute myeloid leukemia : prognostic and therapeutic implications. J Clin Oncol. 2011 ; 29 (5) : 475-86.(レビュー)
5) Swerdlow SH, et al. eds. WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, IARC ; 2008.
6) Döhner H, et al. Diagnosis and management of acute myeloid leukemia in adults : recommendations from an international expert panel, on behalf of the European LeukemiaNet. Blood. 2010 ; 115 (3) : 453-74. (レビュー)

CQ 2 若年者de novo AMLに対する標準的寛解導入療法としてどのレジメンが勧められるか
推奨グレード
カテゴリー1

若年成人de novo AMLに対する標準的寛解導入療法はアントラサイクリン(イダルビシンまたは高用量ダウノルビシン)+ 標準量シタラビンである。

[解 説]

 従来,60歳未満の若年成人de novo AMLに対する標準的寛解導入療法は,ダウノルビシン(DNR)45~60mg/m2 3日間+シタラビン(AraC)100mg/m2または200mg/m2 7日間持続投与の“3+7”療法であったが,イダルビシン(IDR)+AraCとDNR+AraCとの比較試験およびメタアナリシスの結果,IDR+AraCのDNR+AraCに対する優越性が報告された1)。しかし,従来のDNR投与量(45~60mg/m2)はIDR投与量(12mg/m2)と比較して,生物学的に少ないことが指摘された。
 Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)では,60歳未満のde novo AMLに対し増量DNR(90mg/m2)3日間+AraC(100mg/m2)7日間と従来のDNR(45mg/m2)3日間+AraC(100mg/m2)7日間とのランダム化比較試験を実施し,寛解率,生存割合ともに高用量DNR(90mg/m2)群が有意に優れていたことから,DNR+AraC“3+7”療法におけるDNR至適投与量は90mg/m2 3日間であることが示された2)
 DNR(90mg/m2)+AraCとIDR+AraCとの比較試験は行われていないが,Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)で実施されたDNR(50mg/m2)5日間+AraCとIDR+AraCとのランダム化比較試験(AML 201 stydy)の結果では,寛解率および生存割合ともに同等性が示されている3)
 その他のアントラサイクリン系薬剤として,ミトキサントロン(MIT)(12mg/m2)とDNR(45mg/m2)との比較試験が行われているが,生存割合に有意差は認められていない4)
したがって,若年成人de novo AMLに対する標準的寛解導入療法は,IDR+AraCまたは高用量DNR+AraCである。ただし,高用量DNRの投与法として,DNR(90mg/m2)3日間とDNR(50mg/m2)5日間の比較試験は実施されていない。

[参考文献]

1) A systematic collaborative overview of randomized trials comparing idarubicin with daunorubicin (or other anthracyclines) as induction therapy for acute myeloid leukaemia. The AML Collaborative Group. Br J Haematol. 1998 ; 103 (1) : 100-9.(1iiA)
2) Fernandez HF, et al. Anthracycline dose intensification in acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2009 ; 361 (13) : 1249-59. (1iiDiv)
3) Ohtake S, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117 (8) : 2358-65. (1iiDiv)
4) Arlin Z, et al. Randomized multicenter trial of cytosine arabinoside with mitoxantrone or daunorubicin in previously untreated adult patients with acute nonlymphocytic leukemia (ANLL). Lederle Cooperative Group. Leukemia. 1990 ; 4 (3) : 177-83. (1iiA)

CQ 3 若年者de novo AMLの寛解導入療法(アントラサイクリン+標準量シタラビン)に他の薬剤の追加やシタラビン大量療法の組み込みは有効か
推奨グレード
カテゴリー3

標準的寛解導入療法であるアントラサイクリン(イダルビシンまたはダウノルビシン)+標準量シタラビン療法に他剤を追加した場合の優越性は認められていない。また,シタラビン大量療法を組み入れた場合の優越性のエビデンスは乏しく,有害事象の危険性が増すため推奨されない。

[解 説]

 アントラサイクリン[イダルビシン(IDR)またはダウノルビシン(DNR)]3日間+標準量シタラビン(AraC)7日間による寛解導入療法にチオグアニンやエトポシド(ETP)を加えた場合の優越性に関するエビデンスは乏しい。Australian Leukemia Study Group(ALSG)では,DNR(50mg/m2)3日間+AraC(100mg/m2)7日間とDNR(50mg/m2)3日間+AraC(100mg/m2)7日間+ETP(75mg/m2)7日間とのランダム化比較試験が行われた。寛解期間中央値はエトポシド追加群で有意に長期であった(18カ月vs 12カ月)が,寛解率,生存割合では両群間に有意差を認めていない1)
 寛解導入療法におけるAraC大量療法(HiDAC)の意義については,ALSGとSouthwestern Oncology Group(SWOG)でランダム化比較試験が実施されている。
 ALSGではDNR(50mg/m2)3日間+ETP(75mg/m2)7日間+AraC(100mg/m2)7日間とDNR(50mg/m2)3日間+ETP(75mg/m2)7日間+AraC(3g/m2)12時間毎4日間のランダム化比較試験が実施された。5年無再発生存割合(RFS)はHiDAC群が有意に優れていた(48% vs 25%)が,生存割合,寛解率では有意差を認めていない2)
 SWOGではDNR(45mg/m2)3日間+AraC(200mg/m2)7日間とDNR(45mg/m2)3日間+AraC(2g/m2)12時間毎6日間のランダム化比較試験が実施された。4年RFSはHiDAC群が優れていた(33% vs 21%,p=0.049)が,生存割合,寛解率では有意差を認めていない。また,HiDAC群では有意に治療関連死亡(TRM)と神経毒性が高頻度に認められている3)
 HiDACと高用量DNRまたはIDR併用療法に関するエビデンスはない。
 標準的寛解導入療法であるアントラサイクリン(DNRまたはIDR)+標準量AraC療法に他剤の追加した場合,およびHiDAC療法を組み入れた場合の優越性に関するエビデンスは乏しい。また,HiDACを組み入れた場合にはTRM,神経毒性などの有害事象の危険性が増すため,HiDACの組み入れは推奨されない。

[参考文献]

1) Bishop JF, et al. Etoposide in acute nonlymphocytic leukemia. Australian Leukemia Study Group. Blood. 1990 ; 75 (1) : 27-32. (1iiDiv)
2) Bishop JF, et al. A randomized study of high-dose cytarabine in induction in acute myeloid leukemia. Blood. 1996 ; 87 (5) : 1710-7. (1iiA)
3) Weick JK, et al. A randomized investigation of high-dose versus standard-dose cytosine arabinoside with daunorubicin in patients with previously untreated acute myeloid leukemia : a Southwest Oncology Group study. Blood. 1996 ; 88 (8) : 2841-51. (1iiA)

CQ 4 高齢者AMLに対して推奨される寛解導入療法は何か
推奨グレード
カテゴリー2A

60歳から65歳までの高齢者AMLにおいては,若年成人と同等の寛解導入療法を実施した方が良好な寛解率と生存割合が期待できる。しかし,高齢者AMLでは全身状態(PS),併存症などの程度により,治療強度の軽減やbest supportive careの選択を検討することが必要である。

[解 説]

 高齢者の定義は明確ではないが,一般的に60歳以上のAML患者では,暦年齢だけではなく,全身状態(performans status:PS)や併存症ならびにAMLの特性(染色体核型や発症様式)によって治療法の選択を行うべきである。
 高齢者AMLに対する寛解導入療法で若年者と同様に標準的寛解導入化学療法を行う場合と,低用量の治療ないしbest supportive careを比較する前方向視的試験では,標準的寛解導入療法群は寛解率・生存割合ともに成績が勝ることが示されている1)。しかし,高齢者AMLにおいてはPS,合併症が治療成績に及ぼす影響が強いことに留意する必要がある。
 合併症がなく良好な全身状態(PS 0~1)であり,予後良好な染色体核型を有する高齢者AMLでは,年齢に関係なく標準的なアントラサイクリン3日間+標準量シタラビン(AraC)7日間からなる寛解導入療法の恩恵を受けることができる可能性がある。しかし,75歳以上,あるいは60~74歳までの患者であっても重篤な併存症やPS 3以上の場合には,治療関連死亡(TRM)の危険性が高いため,他の治療強度の低い治療法またはbest supportive careを選択すべきである2)。MRC AML14試験では,低用量AraC(20mg/m2皮下注1日2回)療法においても,30日以内のTRMは26%に認めている3)
 Dutch-Belgian Hemato-Oncology Cooperative Group(HOVON)/Swiss Group for Clinical Cancer Research(SAKK)/German AML Study Group(AMLSG)では,60歳以上の高齢者AMLに対し,標準量のダウノルビシン(DNR)(45mg/m2)+AraCと高用量DNR(90mg/m2)+AraC療法のランダム化比較試験が実施された。高用量DNR(90mg/m2)群は標準量のDNR群に比較して有意に高い寛解率を示したが,生存割合に有意差を認めていない。年齢別に解析した場合,60~65歳までの症例においてのみ,高用量DNR(90mg/m2)群は標準量のDNR群に比較して有意に高い寛解率と生存割合を示している4)。Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)においては,65歳未満のAMLは同じ治療強度が選択されているが重篤な有害事象は報告されていない5)
 年齢,PS,合併症などに基づく高齢者AMLに対する治療強度の減弱規準に関しての明確なエビデンスはない。JALSG GML200試験では,65~69歳までの症例に対してはDNR(40mg/m2)3日間+エノシタビン(BHAC)(200mg/m2)8日間,70~79歳の症例に対してはDNR(30mg/m2)3日間+BHAC(200mg/m2)8日間による寛解導入療法が実施されており,年齢に基づくDNR投与量の目安になると思われる6)


[参考文献]

1) Löwenberg B, et al. On the value of intensive remission-induction chemotherapy in elderly patients of 65+years with acute myeloid leukemia : a randomized phase Ⅲ study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Leukemia Group. J Clin Oncol. 1989 ; 7 (9) : 1268-74. (1iiA)
2) Döhner H, et al. Diagnosis and management of acute myeloid leukemia in adults : recommendations from an international expert panel, on behalf of the European LeukemiaNet. Blood. 2010 ; 115 (3) : 453-74. (レビュー)
3) Burnett AK, et al. A comparison of low-dose citarabine and hydroxyurea with or without all-trans retinoic acid for acute myeloid leukemia and high-risk myelodysplastic syndrome in patients not considered fit for intensive treatment. Cancer. 2007 ; 109 (6) : 1114-24. (1iiA)
4) Löwenberg B, et al. High-dose daunorubicin in older patients with acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2009 ; 361 (13) : 1235-48. (1iiA)
5) Ohtake S, et al. Randomized study of induction therapy comparing standard-dose idarubicin with high-dose daunorubicin in adult patients with previously untreated acute myeloid leukemia : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117 (8) : 2358-65. (1iiDiv)
6) Wakita A, et al. Randomized comparison of fixed-schedule versus response-oriented individualized induction therapy and use of ubenimex during and after consolidation therapy for elderly patients with acute myeloid leukemia : the JALSG GML200 Study. Int J Hematol. 2012 ; 96 (1) : 84-93. (1iiiDiv)

CQ 51回の寛解導入療法で完全寛解が得られない場合,どのような治療法を選択すべきか
推奨グレード
カテゴリー2B

同一の寛解導入療法をもう一度繰り返すべきか,治療法を変えるべきかのエビデンスは存在しない。しかし,一定度の寛解が得られることから,同一の寛解導入療法を再度繰り返すことは妥当と考えられる。

[解 説]

 わが国におけるAMLの寛解導入療法はJapan Adult Leukemia Study Group(JALSG)のプロトコールで行われることが多い。JALSGではこれまでAML87,89,92,95,97,201の研究を終了し,現在AML209研究を実施している。いずれのプロトコールでも1コース目で寛解しなかった場合は,もう1コース同じ治療を繰り返すことになっている。これらの成績では1コースでの寛解率は57~72%と差があるものの,いずれの研究でも寛解率はおしなべて80%前後である1)~5)。1コースで寛解しなかった症例では1コース目の抗白血病剤に抵抗性である場合が多く,同じ治療法を用いた場合の2コース目の寛解率は低く,治療薬を代えることの理由にはなる。しかし,2コース目の治療を替えたことにより,寛解率あるいは全生存割合(OS)が向上するというエビデンスはない。


[参考文献]

1) Ohno R, et al. Randomized study of individualized induction therapy with or without vincristine, and of maintenance-intensification therapy between 4 or 12 courses in adult acute myeloid leukemia. AML-87 Study of the Japan Adult Leukemia Study Group. Cancer. 1993 ; 71 (12) : 3888-95.(1iiDiv/3iDiv)
2) Kobayashi T, et al. Randomized trials between behenoyl cytarabine and cytarabine in combination induction and consolidation therapy, and with or without ubenimex after maintenance/intensification therapy in adult acute myeloid leukemia. The Japan Leukemia Study Group. J Clin Oncol. 1996 ; 14 (1) : 204-13. (1iiDiv/3iDiv)
3) Miyawaki S, et al. No beneficial effect from addition of etoposide to daunorubicin, cytarabine, and 6-mercaptopurine in individualized induction therapy of adult acute myeloid leukemia : the JALSG-AML92 study. Japan Adult Leukemia Study Group. Int J Hematol. 1999 ; 70 (2) : 97-104. (1iiDiv/3iDiv)
4) Ohtake S, et al. Randomized trial of response-oriented individualized versus fixed-schedule induction chemotherapy with idarubicin and cytarabine in adult acute myeloid leukemia : the JALSG AML95 study. Int J Hematol. 2010 ; 91 (2) : 276-83.(1iiDiv/3iDiv)
5) Miyawaki S, et al. A randomized, postremission comparison of four courses of standard-dose consolidation therapy without maintenance therapy versus three courses of standard-dose consolidation with maintenance therapy in adults with acute myeloid leukemia : the Japan Adult Leukemia Study Group AML 97 Study. Cancer. 2005 ; 104 (12) : 2726-34.(1iiDii/3iDiv)

CQ 6シタラビン大量療法はすべてのAMLの寛解後療法として行うべきか
推奨グレード
カテゴリー2A

AMLの寛解後療法としては60歳以下のCBF白血病に対してシタラビン大量療法は無病生存期間の延長が期待でき推奨される。

[解 説]

 Cancer and Leukemia Study Group B(CALGB)はAML寛解後療法としてシタラビン(AraC)通常量(100mg/m2/day,5日間持続),中等量(400mg/m2/day,5日間持続)およびAraC大量療法(3g/m2,1日2回3時間で静注,day1,3,5に投与)の3群を前方視的に比較した。その結果,60歳以下でAraC大量療法の有効性が確認された1)
 CALGBはこの研究でさらに解析を行い,core binding factor(CBF)白血病ではAraC大量療法が最も効果が高く,正常核型でも効果を認めたが,その他の核型では効果が乏しかった2)。また,CALGBの後方視的な解析でもt(8;21)AMLに対して3コース以上のAraC大量療法が有効であることが示されている3)。わが国で行われた前方視的試験では,2g/m2,1日2回,5日とこれまでの多剤併用療法と比較して両群に無病生存期間(DFS),全生存期間(OS)ともに差がなかったが,CBF白血病ではAraC大量療法群でDFSの改善傾向が認められた4)。近年,ドイツのグループからもAraC 36g/m2と12g/m2の前方視的比較試験の成績が報告されたが,両群間でDFS/OSに差がなく,染色体によるサブグループ解析でも差がなかった5)

[参考文献]

1) Mayer RJ, et al. Intensive postremission chemotherapy in adults with acute myeloid leukemia. Cancer and Leukemia Group B. N Engl J Med. 1994 ; 331 (14) : 896-903.(1iiA)
2) Bloomfield CD, et al. Frequency of prolonged remission duration after high-dose cytarabine intensification in acute myeloid leukemia varies by cytogenetic subtype. Cancer Res. 1998 ; 58 (18) : 4173-9. (2Dii)
3) Byrd JC, et al. Patients with t (8;21)(q22;q22) and acute myeloid leukemia have superior failure-free and overall survival when repetitive cycles of high-dose cytarabine are administered. J Clin Oncol. 1999 ; 17 (12) : 3767-75. (3iiiDii)
4) Miyawaki S, et al. A randomized comparison of 4 courses of standard-dose multiagent chemotherapy versus 3 courses of high-dose cytarabine alone in postremission therapy for acute myeloid leukemia in adults : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117 (8) : 2366-72.(1iiDii)
5) Schaich M, et al. Cytarabine dose of 36g/m (2) compared with 12 g/m (2) within first consolidation in acute myeloid leukemia : results of patients enrolled onto the prospective randomized AML96 study. J Clin Oncol. 2011 ; 29 (19) : 2696-702.(1iiA)

CQ 7寛解後療法としてのシタラビン大量療法の投与量,標準的回数および期間は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー3

シタラビン大量療法の標準的回数と期間に関して明確な基準は存在しない。CBF白血病ではシタラビン大量療法は3コース以上が推奨される。

[解 説]

 シタラビン(AraC)大量療法は,AMLの寛解後療法として欧米では標準治療となっている。そのランドマークとなった研究は1994年にCancer and Leukemia Study Group B(CALGB)から報告された研究である1)。この研究では寛解症例に対してAraC 3g/m2 6回を4コース繰り返した方が,400mg/m2/日または100mg/m2持続点滴5日間を4回繰り返した治療よりも有意に無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)が良好であった。しかし,この研究ではどのくらいAraCを繰り返せば良いのかは示されていない。CALGBはさらに9222研究で,3コースのAraC大量療法(3g/m2 5日間で6回投与)と1コースのAraC大量療法の後,2コースの多剤併用化学療法を行う群とで比較試験を行ったが,両群間でDFS/OSとも統計学的な有意差は認めなかった2)。AraC大量療法の標準的な回数や期間に関する前方視的試験はなく,また,AraC大量療法とアントラサイクリンを含む多剤併用療法の比較試験でも優位性は示されていない3)~5)。一方,t(8;21)AMLでは3コース以上のAraC大量療法は1コースのAraC大量療法より成績は良好である6)。欧米でのAraC大量療法は1回投与量が3g/m2であることが多いが,この方法では中枢神経系合併症が多いとされており,わが国では保険上認められている用量は2g/m2である。これらの事情を考慮して治療を選択する必要がある。


[参考文献]

1) Mayer RJ, et al. Intensive postremission chemotherapy in adults with acute myeloid leukemia. Cancer and Leukemia Group B. N Engl J Med. 1994 ; 331 (14) : 896-903. (1iiA)
2) Moore JO, et al. Sequential multiagent chemotherapy is not superior to high-dose cytarabine alone as postremission intensification therapy for acute myeloid leukemia in adults under 60 years of age : Cancer and Leukemia Group B Study 9222. Blood. 2005 ; 105 (9) : 3420-7. (1iiDii)
3) Bradstock KF, et al. A randomized trial of high-versus conventional-dose cytarabine in consolidation chemotherapy for adult de novo acute myeloid leukemia in first remission after induction therapy containing high-dose cytarabine. Blood. 2005 ; 105 (2) : 481-8. (1iiDii)
4) Schaich M, et al. Cytarabine dose of 36g/m (2) compared with 12 g/m(2) within first consolidation in acute myeloid leukemia : results of patients enrolled onto the prospective randomized AML96 study. J Clin Oncol. 2011 ; 29 (19) : 2696-702. (1iiA)
5) Miyawaki S, et al. A randomized comparison of 4 courses of standard-dose multiagent chemotherapy versus 3 courses of high-dose cytarabine alone in postremission therapy for acute myeloid leukemia in adults : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117 (8) : 2366-72. (1iiDii)
6) Byrd JC, et al. Patients with t(8;21)(q22;q22) and acute myeloid leukemia have superior failure-free and overall survival when repetitive cycles of high-dose cytarabine are administered. J Clin Oncol. 1999 ; 17 (12) : 3767-75. (3iiiDii)


CQ 8シタラビン大量療法以外のAML地固め療法は何が勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2B

AML第一寛解期の地固め療法を非交差耐性のアントラサイクリン系薬剤を用いて施行する場合は,4回の治療が推奨される。

[解 説]

 AMLでは寛解後地固め療法を行わないと再発が必至であり,寛解を維持するための種々の寛解後療法が試されてきた。早くから欧米ではシタラビン(AraC)大量療法が地固め療法の主流であったが,わが国では保険上の制約からAraC大量療法が行えなかった時期が長く,非交差耐性のアントラサイクリン系薬剤とAraC標準量を用いた寛解後療法が行われてきた経緯がある。65歳以下のAML寛解症例に対してはJapan Adult Leukemia Study Group(JALSG)がAML97において従来の3回の地固め療法+6回の維持療法対4回の地固め療法を行い,維持療法は行わない治療とのランダム化比較試験を実施した。この結果では,両者に無病生存割合(DFS)にも全生存割合(OS)にも全く差を認めなかった1)。すなわち,4回の地固め療法を行うことで維持療法を行わなくても同等の治療効果が期待できる。さらにJALSGでは4回の地固め療法と3回のAraC大量療法とのランダム化比較試験を行い,両治療法にDFS,OSに有意差を認めなかった2)。また,Cancer and Leukemia Study Group B(CALGB)は3コースのAraC大量療法(3g/m2 5日間で6回投与)と1コースのAraC大量療法+2コースの多剤併用化学療法を行う群との比較試験を行ったが,DFS/OSともに全く差を認めなかった3)としているが,両群ともにAraC大量療法が入っており,純粋な治療法の回数の比較は難しい。

[参考文献]

1) Miyawaki S, et al. A randomized, postremission comparison of four courses of standard-dose consolidation therapy without maintenance therapy versus three courses of standard-dose consolidation with maintenance therapy in adults with acute myeloid leukemia : the Japan Adult Leukemia Study Group AML 97 Study. Cancer. 2005 ; 104 (12) : 2726-34. (1iiDii)
2) Miyawaki S, et al. A randomized comparison of 4 courses of standard-dose multiagent chemotherapy versus 3 courses of high-dose cytarabine alone in postremission therapy for acute myeloid leukemia in adults : the JALSG AML201 Study. Blood. 2011 ; 117 (8) : 2366-72. (1iiDii)
3) Moore JO, et al. Sequential multiagent chemotherapy is not superior to high-dose cytarabine alone as postremission intensification therapy for acute myeloid leukemia in adults under 60 years of age : Cancer and Leukemia Group B Study 9222. Blood. 2005 ; 105 (9) : 3420-7. (1iiDii)

CQ 9若年者AMLの第一寛解期に同種造血幹細胞移植の適応はどのように決定すべきか
推奨グレード
カテゴリー1

現時点では初診時の染色体異常による患者層別化が重要である。予後良好な染色体異常を有するgood-riskの患者では造血幹細胞移植の有用性は示されていない。それ以外のAMLにおいては,HLA適合血縁者間同種造血幹細胞移植が勧められる。

[解 説]

 これまで,第一寛解期における同種造血幹細胞移植と寛解後化学療法を比較した多数のランダム化比較試験が施行されたが,結果は一定でなく無病生存割合(DFS)で移植群の有効性を示す研究はあるものの,ほとんどの研究は全生存割合(OS)での有効性を示すことができなかった。また,化学療法の予後不良因子から両者を比較する検討も十分な統計学的power(症例数)がなく結論を導き出すことはできなかった。しかし,24の臨床研究(症例数3,638)を対象としたメタアナリシスの結果では,AML第一寛解期では,予後不良および中間染色体異常のある症例では,移植による生存割合が有意に勝るが,予後良好染色体異常のある症例では移植の優位性は確認できなかった1)。この結果からは,染色体異常の有無と種類によって第一寛解期には移植適応を決定することが標準的と言える。民族遺伝学的背景の異なるわが国に欧米のデータを外挿することの妥当性は十分に検証されていないが,わが国で施行されたランダム化比較試験でも同様な結果が得られている。しかし,予後因子の定義が異なる(染色体異常のみではない)ことに加えて,症例が少なくコンプライアンスも低く,臨床試験としての質は高くない2)。最近では,遺伝子変異の有無も予後因子として注目されている。一つのランダム化比較試験のサブグループ解析では,正常核型AML第一寛解期においてNPM1の遺伝子変異がありFLT3-ITDのない症例を除いた症例群では,HLA適合血縁者間移植後の無再発生存割合(RFS)が有意に勝ることが確認されている3)CEBPAの遺伝子変異に関してのデータはない。また,予後良好染色体群におけるKITの遺伝子異常に関してもデータはない。臨床では非血縁者間移植も染色体異常を指標として選択されているのが現状であるが,血縁者間移植と同等のエビデンスは確立されていない。

[参考文献]

1) Koreth J, et al. Allogeneic stem cell transplantation for acute myeloid leukemia in first complete remission : a systematic review and meta-analysis of prospective clinical trial. JAMA. 2009 ; 30 (22) : 2349-61.(1iiA)
2) Sakamaki H, et al. Allogeneic stem cell transplantation versus chemotherapy as post-remission therapy for intermediate or poor risk adult acute myeloid leukemia : results of the JALSG AML97 study. Int J Hematol. 2010 ; 91 (2) : 284-92. (1iiDi)
3) Schlenk RF, et al. Mutations and treatment outcome in cytogenetically normal acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2008 ; 358 (18) : 1909-18. (2Diii)

CQ 10移植適応のない高齢者AMLに寛解後療法を施行するメリットはあるか
推奨グレード
カテゴリー2B

移植適応のない高齢者AMLに対する寛解後療法のメリットは明らかにされていないが,一部の症例では寛解後療法を行うことの有用性が示唆されている。

[解 説]

 Cancer and Leukemia Study Group B(CALGB)は寛解後療法としてシタラビン大量投与(AraC 3g/m2 6回を4コース繰り返す)の有用性を検討し,60歳以上の症例におけるAraC大量投与はその標準量投与と比較して無病生存率(DFS)を改善しないことを明らかにした1)。高齢者AMLを対象としたMRC-AML 11試験も1回の強化療法後に同様の化学療法を繰り返しても再発率,DFS,OSに有意差はみられないことを示している2)。一方,AML HD98-B試験は寛解達成後の強化療法によって,予後良好染色体異常を持つ高齢者AMLの20~30%に長期生存が得られることを示しており3),同様の傾向はMRC-AML11試験においても確認されている。これらの研究からは,一部の高齢者AMLでは寛解後療法を施行するメリットがあることが示唆される。しかし,染色体異常以外の患者選択に関する指標(年齢,併存症など)は明確にされていない。至適な寛解後療法に関しても確立したエビデンスはないが,Acute Leukemia French Association(ALFA)9803試験は強力な化学療法1回と外来での化学療法6回を比較し,後者で寛解後2年のOSが優れ,再発には差がないものの,治療関連死亡(TRM)は外来化学療法で少なかったと報告している4)

[参考文献]

1) Mayer RJ, et al. Intensive postremission chemotherapy in adults with acute myeloid leukemia. Cancer and Leukemia Group B. N Engl J Med. 1994 ; 331 (14) : 896-903. (1iiA)
2) Goldstone AH, et al. Attempts to improve treatment outcomes in acute myeloid leukemia (AML) in older patients : the results of the United Kingdom Medical Research Council AML 11 trial. Blood. 2001 ; 98 (5) : 1302-11. (1iiA)
3) Frohling S, et al. Cytogenetics and age are major determinants of outcome in intensively treated acute myeloid leukemia patients older than 60 years : results from AMLSG trial AMD HD98-B. Blood. 2006 ; 108 (10) : 3280-8. (2A)
4) Gardin C, et al. Postremission treatment of elderly patients with acute myeloid leukemia in first complete remission after intensive induction chemotherapy : results of the multicenter randomized Acute Leukemia French Association (ALFA) 9803 trial. Blood. 2007 ; 109 (12) : 5129-35. (1iiA)

CQ 11非寛解期AMLに対する同種造血幹細胞移植の適応に関する指標はあるか
推奨グレード
カテゴリー3

非寛解期AMLに対する移植適応を決定する明確な指標は確立されていない。現時点では後方視的解析に基づく予後因子と移植に関連する因子(ドナーソースなど)を総合的に評価し,患者とのshared-decision makingで移植適応を決めることが勧められる。非寛解期AMLにおいて移植前に化学療法を施行することのメリットがある症例を予測する指標は確立していない。

[解 説]

 初回再発期において同種造血幹細胞移植と化学療法の有用性を前方視的に比較検討した報告はない。Breemsらは15~60歳の初回再発AMLの移植成績を後方視的に解析し,4つの予後因子(第一寛解の期間,診断時の染色体異常,初回再発時の年齢,初回再発前の造血幹細胞移植の有無)を同定し,これを基に初回再発期を3つの予後グループに分類している(favorable,intermediate,unfavorable)。第二寛解期が達成できた症例に限定して移植と化学療法を比較した検討では,いずれの群においても5年全生存割合(OS)で移植の優位性が示されている1)。日本の初回再発期AMLの移植成績の後方視的解析で,第二寛解期を達成することで3年OSは有意に改善することが報告されている2)。一方,芽球の割合の少ない初回再発期に同種移植を行うことで第二寛解期と同等の生存割合が得られるとの報告もあるが,そのエビデンスレベルは低い3)。非寛解期AMLに対する同種造血幹細胞移植の成績は散見されるが,すべてが少数例での報告が多いことと患者のselection biasにより,その移植適応の指標を導き出すことは難しい。しかしthe Center for International Blood and Marrow Transplant Research(CIBMTR)はAML非寛解期移植1,673例を解析し,第一寛解期の期間,末梢血中の芽球割合,ドナーの種類,PS,染色体異常の有無から,移植後の3年OS 42%の予後良好群から6%の予後不良群までの患者の層別化がある程度可能であることを報告している4)

[参考文献]

1) Breems DA, et al. Prognostic index for adults patients with acute myeloid leukemia in first relapse. J Clin Oncol. 2005 ; 23 (9) : 1969-78. (2A)
2) Kurosawa S, et al. Prognostic factors and outcomes of adults patients with acute myeloid leukemia after first relapse. Hematologica. 2010 ; 95 (11) : 1857-64. (3iA)
3) Clift RA, et al. Allogeneic marrow transplantation during untreated first relapse of acute myeloid leukemia. J Clin Oncol. 1992 ; 10 (11) : 1723-9. (3iiA)
4) Duval M, et al. Hematopoietic stem-cell transplantation for acute leukemia in relapse or primary induction failure. J Clin Oncol. 2010 ; 28 (23) : 3730-8. (3iA)

CQ 12AMLにおいて治療後の好中球減少期にG-CSFを使用するのは有用か
推奨グレード
カテゴリー2B(寛解導入療法)
カテゴリー2A(寛解後療法)

AMLの寛解導入療法,寛解後療法時におけるG-CSF投与は,好中球減少期間の短縮やQOLの改善が期待でき,高齢者や重症感染症を併発した症例では検討しても良い。

[解 説]

 AML治療は,寛解導入療法,寛解後療法ともに強化され,寛解率は80%,5年全生存割合(OS)は50%前後と向上している。この治療の強化は,骨髄抑制による出血や易感染性の対策の向上により可能になった。
このAMLの寛解導入療法や地固め療法後に出現する感染症を予防できるかどうか,これまでにいくつかのG-CSF投与の第Ⅲ相試験が実施された。
 若年成人AMLを対象とした第Ⅲ相試験では,好中球数減少期間,発熱期間,非経口抗生剤の投与期間さらには入院期間の短縮が示されている1)。わが国で行われた研究でも,好中球数減少期間,発熱期間の短縮が観察されている2)
骨髄抑制が高度となる高齢者AMLを対象にした試験でも,好中球数減少期間,発熱期間,非経口抗生剤の投与期間の短縮が認められている3)4)。また,死亡率は減少しなかったが,寛解率は向上したとの報告もある5)
 AML細胞は,G-CSF受容体を発現することから,AMLへのG-CSFの投与は問題視されているが,再発率の増加はみられず,長期観察においても生存期間に悪影響を与えていないと報告されている6)
 AMLの寛解導入,地固め療法時においては,G-CSF投与により好中球減少期間は短縮するものの,重症感染症の発症率や死亡率は減少せず,生存期間の延長も認められていない。したがって,European LeukemiaNetの勧告やNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドラインでは高齢者や重症感染症を併発した症例以外のAML症例へのG-CSFの投与は推奨していない。しかし,American Society of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインでは寛解導入療法後のG-CSF投与は妥当,地固め療法後は推奨できるとしている7)
 一方,治療後の好中球減少期に顆粒球を輸注することによる感染症発症予防の試験が実施され,少数例の検討ではその有効性が示された8)。しかし,多数例の検討では細菌性の敗血症の減少のみで,その他の感染症の発症は減少せず,有害事象の頻度が高かったとの報告9)があり,その評価は一定しない。

[参考文献]

1) Heil G, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled, phase Ⅲ study of filgrastim in remission induction and consolidation therapy for adults with de novo acute myeloid leukemia. The International Acute Myeloid Leukemia Study Group. Blood. 1997 ; 90 (12) : 4710-8. (1iD)
2) Usuki K, et al. Efficacy of granulocyte colony-stimulating factor in the treatment of acute myelogenous leukemia : multicentre randomized study. Br J Haematol. 2002 ; 116 (1) : 103-12. (1iiD)
3) Growin JE, et al. A double-blind placebo-controlled trial of granulocyte colony-stimulating factor in elderly patients with previously untreated acute myeloid leukemia. : A Southwest Oncology Group Study (9031). Blood. 1998 ; 91 (10) : 3607-15. (1iD)
4) Amadori S, et al. Use of glycosylated recombinant human G-CSF (lenograstim) during and/or after induction chemotherapy in patients 61 years of age and older with acute myeloid leukemia : final results of AML-13. A randomized phase-3 study. Blood. 2005 ; 106(1) : 27-34. (1iiD)
5) Dombret H, et al A controlled study of recombinant human granulocyte colony-stimulating factor in elderly patients after treatment for acute myelogenous leukemia. N Eng J Med. 1995 ; 332 (25) : 1678-83. (1iiD)
6) Heil G, et al. Long-term survival data from a phase 3 study of Filgrastim as an adjunct to chemotherapy in adults with de novo acute myeloid leukemia. Leukemia. 2006 ; 20 (3) : 404-9. (1iD)
7) Smith TJ, et al. 2006 update of recommendations for the use of white blood cell growth factor : an evidence-based clinical practice guide line. J Clin Oncol. 2006 ; 24 (19) : 3187-205. (ガイドライン)
8) Gomez-Villagran JL, et al. A controlled trial of prophylactic granulocyte transfusions during induction chemotherapy for acute nonlymphoblastic leukemia. Cancer. 1984 ; 54 (4) : 734-8. (3iD)
9) Strauss RG, et al. A controlled trial of prophylactic granulocyte transfusions during initial induction chemotherapy for acute myelogenous leukemia. N Eng J Med. 1981 ; 305 (11) : 597-603. (1iiD)

CQ 13AMLの化学療法において,どのような場合に腫瘍崩壊症候群の予防を実施すべきか
推奨グレード
カテゴリー2A

AMLの化学療法時,末梢白血球数が高値*あるいは急増し,尿酸値や血清クレアチニン値が上昇している症例に対しては腫瘍崩壊症候群の予防が推奨される。

[解 説]

 腫瘍崩壊症候群は腫瘍細胞の破壊により尿酸,リン酸,カリウムなどが血液中に一気に放出され,高尿酸血症,高リン血症,高カリウム血症状態となり,急性腎不全や呼吸不全,場合によっては心停止が引き起こされる症候群である。したがって,大量の腫瘍細胞が短時間で破壊される場合に,腫瘍崩壊症候群発症のリスクが高くなる。血液悪性腫瘍では,増殖スピードが早く,抗腫瘍薬に感受性の高いリンパ系腫瘍の治療に際して発症する確率が高い。
 尿酸値や血清クレアチニン値が上昇している症例の寛解導入療法の時期には特に注意が必要である1)2)
腫瘍崩壊症候群を予防するためには,増加した白血病細胞を緩やかに減少させることが有効で,内服薬のヒドロキシウレアでの治療が勧められている。また,水分補給や尿酸の生成を減らすべくアロプリノールも投与される。機械的に白血病細胞を除去するアフェレーシスも勧められているが,その効果は一時的で,早期死亡は減少させるが長期予後は改善しないと報告されている3)4)。また,腫瘍崩壊症候群のハイリスク症例には尿酸を分解し水溶性のアラントインにするラスブリカーゼの使用5)がNCCNガイドラインやEuropean LeukemiaNetの勧告,日本臨床腫瘍学会の腫瘍崩壊症候群(TLS)診療ガイダンスにも記載されている。

 *白血球著増(hyperleukeocytosis)は,一般に>10万/μLと定義される。

[参考文献]

1) Seftel MD, et al. Fulminant tumor lysis syndrome in acute myelogenous leukaemia with inv(16)(p13;q22). Eur J Haematol. 2002 ; 69(4) : 193-9. (3iD)
2) Montesinos P, et al. Tumor lysis syndrome in patients with acute myeloid leukemia : identification of risk factors and development of a predictive model. Haematologica. 2008 ; 93(1) : 67-74. (3iD)
3) Bug G, et al. Impact of leukapheresis on early death rate in adult acute myeloid leukemia presenting with hyperleukocytosis. Transfusion. 2007 ; 47(10) : 1843-50. (3iiiD)
4) Giles FJ, et al. Leukapheresis reduces early mortality in patients with acute myeloid leukemia with high white cell counts but does not improve long-term survival. Leuk Lymphoma. 2001 ; 42(1-2) : 67-73. (3iiiB)
5) Wang LY, et al. Recombinant urate oxidase (Rasburicase) for the prevention and patients with hematologic malignacies. Acta Haematol. 2006 ; 115(1-2) : 35-8. (2D)

CQ 14AMLにおいて中枢神経系白血病の予防は勧められるか
推奨グレード
カテゴリー2A

AMLは中枢神経系白血病の発症頻度が低く,すべての症例に対して抗がん剤の髄腔内投与による予防は推奨されていないが,FAB分類でのM4,M5,biphenotypeや末梢血中白血球が10万/μLを超える症例では予防治療が推奨される。

【第1.2版修正】
AMLは中枢神経系白血病の発症頻度が低く,すべての症例に対して抗がん剤の髄腔内投与による予防は推奨されていないが、単球系への分化を示す症例、mixed phenotype、末梢白血球数が4万/μLを超える症例では寛解に到達した時点で腰椎穿刺によるスクリーニングを考慮すべきと考えられる。

[解 説]

 中枢神経系白血病は,白血病細胞が脳軟膜に浸潤し,通常髄膜白血病として発症する。しかし,稀には脳,脊髄実質に浸潤し腫瘤を形成することもある。診断は,脳脊髄液中に白血病細胞を確認することでなされ,脳脊髄圧の上昇に起因する頭痛,嘔吐,乳頭浮腫,項部硬直など髄膜刺激症状,脳神経麻痺などが主な症状である。発症時期は白血病の発症と同時期のこともあるが,骨髄では白血病が再発していない寛解期に発症することが多い。そのような症例でも,中枢神経系白血病の発症後,数カ月以内に骨髄再発が認められる。中枢神経系白血病のAMLでの発症頻度は5%以下と報告され1)~4),寛解後療法として,AraC大量療法や同種造血幹細胞移植が行われた場合は,その発症頻度はさらに低下することが示されている4)。その中枢神経系白血病の予防治療の前方視的研究は1986年のthe Medical Research Council(MRC)1)から報告されたものと1992年the Southwest Oncology Group(SWOG)5)からの2報のみである。前者ではAraCとMTX,後者ではAraCの髄腔内投与が行われたが,その有効性は明らかではなかった。このようにAMLでは中枢神経系白血病の発症頻度は低く,予防治療の有効性も確認されていない。NCCNガイドラインでも中枢神経系白血病の予防治療は推奨していないが,発症頻度の高い,FAB分類でのM4,M5,biphenotypeや末梢白血球数が10万/μLを超える症例は例外としている。
【第1.2版修正】
NCCNガイドラインでも中枢神経系白血病の予防治療は推奨していないが,単球系への分化を示す症例、mixed phenotype、末梢白血球数が4万/μLを超える症例では寛解に到達した時点で腰椎穿刺によるスクリーニングを考慮すべきとしている。

 中枢神経系白血病が発症した場合の治療は,European LeukemiaNetではAraC 40~50mgの週2~3回髄腔内投与が推奨されている。また,薬剤性の軟膜炎を予防するためステロイドの投与も記載されている。

[参考文献]

1) Rees JK, et al. Principal results of the medical research council’s 8th acute myeloid leukemia trial. Lancet. 1986 ; 2 (8518) : 1236-41. (1iiD)
2) Castagnola C, et al. The value of combination therapy in adult acute myeloid leukemia with central nervous system involvement. Haematokogica. 1997 ; 82 (5) : 577-80. (3iD)
3) Shihadeh F, et al. Cytogenetic profile of patients with acute myeloid leukemia and central nervous system disease. Cancer. 2012 ; 118 (1) : 112-7. (3iiiD)
4) Martínez-Cuadrón D, et al. Central nervous system involvement at first relapse in patients with acute myeloid leukemia. Haematologica. 2011 ; 96 (9) : 1375-9. (3iD)
5) Morrison FS, et al. Late intensification with POMP chemotherapy prolongs survival in acute myelogenous leukemia-Results of a Southwest Oncology Group study of rubidazone versus adriamycin for remission induction, prophylactic intrathecal therapy late intensification, and levamisole maintenance. Leukemia. 1992 ; 6 (7) : 708-14. (1iiD)

CQ 15腫瘤形成性AMLに対して通常の寛解導入療法を行うのは妥当か
推奨グレード
カテゴリー2B

腫瘤形成性AMLに対しては単独発症の場合であっても通常の寛解導入療法が考慮される。

[解 説]

 腫瘤形成性AMLの腫瘤は骨髄球系の白血病細胞により構成され,緑色を呈することから緑色種(chloroma)と称され,myeloblastoma,monoblastomaとも記述されていたが,WHO分類では骨髄肉腫(myeloid sarcoma)と記載されている。腫瘤形成性AMLの発症頻度は3%程度1)で,腫瘤は,皮膚,リンパ節,消化管,骨,腎臓,軟部組織,神経組織,卵巣,精巣など体のあらゆる部位に出現する。腫瘤の出現は白血病の発症時のことが多いが,白血病の発症や再発の前駆症状として出現することもある。また,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS),骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms:MPN)あるいはMDS/MPNの急性転化時にも認められる。
 腫瘤形成性AMLは発症頻度も低いことから,治療法についての前方視的研究は行われておらず,症例報告を取りまとめたものがほとんどである。1986年にEshghabadi らは1例の自験例に文献考察を加えて併用化学療法を勧めている2)。2002年には山内と安田が,2例の自験例を含めた74例の腫瘤形成性AMLの治療成績を検討し,化学療法の有効性を報告している3)。MDアンダーソンがんセンターでの研究では,腫瘤形成性AML 23例のうち通常の化学療法を受けた16例と通常のAML 1,720例とを比較し,寛解率,2年の無イベント生存割合(EFS),全生存割合(OS)に差がなかったことを示し,白血病の発症に先行した腫瘤形成性AMLに対する早期の化学療法の実施を勧めている4)。また,NCCNガイドラインやEuropean LeukemiaNetにおいても腫瘤形成性AMLに対して化学療法が推奨されている。

[参考文献]

1) Muss HB, et al. Chloroma and other myeloblastic tumors. Blood. 1973 ; 42 (5) : 721-8. (3iD)
2) Eshghabadi M, et al. Isolated granulocytic sarcoma : report of a case and review of the literature. J Clin Oncol. 1986 ; 4 (6) : 912-7. (3iiiD)
3) Yamauchi K, et al. Comparison in treatments of nonleukemic granulocytic sarcoma : report of two cases and a review of 72 cases in the literature. Cancer. 2002 ; 94 (6) : 1739-46. (3iiiD)
4) Tsimberidou AM, et al. Myeloid sarcoma is associated with superior event-free survival and overall survival compared with acute myeloid leukemia. Cancer. 2008 ; 113 (6) : 1370-8. (3iiiD)