第83回日本血液学会学術集会

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会長挨拶

第83回日本血液学会学術集会の開催にあたって

第83回日本血液学会学術集会 会長
張替 秀郎
(東北大学大学院 医学系研究科 血液・免疫病学分野 教授)

 このたび、2021年9月23日(木曜日)~25日(土曜日)の3日間、第83回日本血液学会学術集会を仙台市で開催させていただくことになりました。仙台市での開催は日本臨床血液学会・日本血液学会いずれにおいても初となります。会員の皆様のご協力を得て、初の開催に全力を尽くしたいと存じます。
 血液細胞は、幹細胞から成熟細胞までの分化の系譜が美しく精緻に描かれる細胞であり、生体にとっては酸素運搬、感染防御、止血といった恒常性の根幹を担う必須の細胞です。血液学はこの系譜の理解を基本とし、系譜から逸脱し恒常性が失われた状態を血液疾患と定義づける理論的な学問です。その解析法は形態学から分子生物学へと常に先駆的に進化し、その成果は化学療法から分子標的療法、細胞療法と独創的な治療法につながっています。ただし、これらの治療法により血液疾患が治癒に至る基本は、今もなお造血の復元力です。本学会ではこの血液学の本質を考察することを目指し、テーマを「恒常性と復元力」といたしました。
 ただし、このテーマにはもう一つの思いが込められています。2021年は東日本大震災から10年の節目にあたります。2011年、東日本大震災により日本、特にこの東北は甚大な被害を受け、すべての恒常性が失われました。そして2020年、COVID-19感染症により世界はすべての恒常性を失いました。東日本大震災から10年、社会がその復元力により恒常性を取り戻したように、2021年には再び社会の復元力によって生活・科学・医療の恒常性が戻っていることを信じ、願い、「恒常性と復元力」というテーマを掲げました。
 このテーマに沿って、本学術集会では、最新の治療から基礎研究のトピックスまで幅広く血液学の情報が得られるプログラムを用意しました。それぞれの領域において、さまざまな血液学の本質を考察していただければと思います。また、ポストコロナの社会変容をテーマにした特別シンポジウムも予定しています。
 仙台の9月はまだ少し紅葉には早いものの、さわやかで過ごしやすい季節です。会期を土曜日までとしましたので、緑豊かな仙台だけでなく、少し足を延ばして東北の秋と味覚を楽しんでいただければと思います。仙台での初開催をさらに盛り上げるために、多くの会員の皆様にご参加いただくことを心よりお待ちしております。

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