第82回日本血液学会学術集会

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会長挨拶

宮﨑 泰司
(長崎大学原爆後障害医療研究所 原爆・ヒバクシャ医療部門
血液内科学研究分野(原研内科)教授)

 第82回日本血液学会学術集会の会長を拝命いたしました長崎大学の宮﨑泰司です。2020年は64年ぶりに東京でオリンピック・パラリンピックが開催される年で、7月から9月までは様々な種目の選手、関係者や観客の皆様が世界中から日本に集まってこられるでしょう。多くの関連イベントの開催も予定されており、日本が世界から最も注目される年になると思います。こうした記念すべき年に学術集会会長を務められることを大変光栄に存じます。華やかで友好ムードが盛り上がる世界最高のスポーツの祭典に続いて、2020年10月9日(金曜日)、10日(土曜日)、11日(日曜日)の3日間、国立京都国際会館と隣接するグランドプリンスホテル京都において学術集会を開催いたします。
 学術集会のメインテーマは「血液学 — 多様性の追求」といたしました。血液学では基礎研究から臨床までが垣根なく続いており、新たな基礎研究成果がすぐに臨床現場に還元されるとともに、患者さんを前にして分からないことが重要な基礎研究テーマとなるなど、まさしく“Bed to Bench, Bench to Bed”が実践されている領域であると思います。色々な立場の方が、基礎研究者として、臨床家として、あるいは時に立場を変えながら血液学の進歩と診療の発展に貢献され、これまでの血液学が作り上げられました。多様なテーマに対して国内にとどまらず色々な方がチャレンジすることが、今後の血液領域の更なる発展に欠かせないと思います。
 長崎は日本鎖国の時代に唯一、海外との交流が続けられた世界への窓口でした。そのため長崎ではヨーロッパやアジアの文化が身近にあり、日本文化と混じり合って「和華蘭」と呼ばれる独特の文化・風土が生み出されました。まさしく多様性が作り出したものといえるでしょう。本学術集会にも医師の道を歩み始めたばかりの研修医からエキスパートまで、基礎研究者から病院で活躍される臨床医、アカデミアに勤務される方、行政関連や企業で働く方などなど、多くの方に参加頂き、新たな出会いと交流の場となることを期待しています。
 本学術集会においても日本血液学会が取り組む国際化を一層推進し、ASH会長、EHA会長による特別講演、ASH、EHAと日本血液学会との合同シンポジウム、アジアの様々な血液学会とのAsian Joint Panel Discussionを予定しています。ASHとのJoint Symposiumでは骨髄異形成症候群に関して、EHAとのJoint Symposiumは血球分化をテーマとすることになっています。また、Asian Joint Panel DiscussionではAML/MDSについて議論したいと考えています。例年のようにシンポジウムはほとんどが英語化されておりますが、一般演題においても海外から多くの登録、ご参加を受け付けたいと考えています。 二つの会長シンポジウムでは、造血器腫瘍の発症に関連する話題、そして長崎など九州地区がendemic areaとなっているHTLV-1/ATLを取り上げます。それぞれ“Etiological aspects of leukemia and myeloid neoplasms”、“HTLV-1/ATLの最前線”というテーマで議論頂く予定です。
 教育講演では、重要疾患についての日常診療の基本となる情報をまとめてお伝えするようなセッションはもちろん、幅広いテーマで準備したいと考えています。特に、医師となられたばかりで血液を専攻する前の研修医の皆さんを対象とする初学者向けの症例ベースのセッションをいくつか準備しています。例えば、内科関連の学会に初めて参加する方にも血液学の一端をご理解頂けるようにできればと考えています。
 2012年に小澤敬也先生が会長として第74回日本血液学会学術集会を京都で開催なさいました。今回は8年ぶりに京都での開催となります。日本独特の歴史、文化をもつ京都は、国内はもちろん海外からご参加頂く皆様にとっても魅力に溢れた都市です。学術集会とともに京都の街、日本文化にも直接触れてお楽しみ頂ければ幸いです。
 この学術集会が参加頂く皆様にとって役立つものとなりますよう、プログラム企画委員会、学会事務局、運営事務局を中心に準備を進めています。学術集会に向けて皆様のご協力をお願いするとともに、多くの方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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