第79回日本血液学会学術集会

会長挨拶

第79回日本血液学会学術集会の開催にあたって

第79回日本血液学会学術集会
会長 木崎 昌弘
埼玉医科大学総合医療センター血液内科

 第79回日本血液学会学術集会は、平成29年10月20日(金)より22日(日)までの3日間、東京国際フォーラムにて開催いたします。
 日本血液学会学術集会の東京での開催は、日本血液学会と日本臨床血液学会が統合する前の平成11年第61回日本血液学会学術集会まで遡ります。したがって、この度の首都東京での開催は18年ぶりとなります。この18年間の血液学の進歩は目覚ましいものがあります。分子生物学を主体とした基礎研究の進歩により、多くの血液疾患の分子病態が明らかになり、それらを基盤とした新たな治療法の導入により血液疾患の診療は大きく変動いたしました。このような血液学の潮流に呼応するかのように、東京は2020年の東京オリンピック開催に向けダイナミックに変動しており、躍動する血液学を進化する都市東京で開催することには大きな意味があると思います。

 今回の学術集会のテーマは、”Innovation and Creation: Advances in Hematology for the Next Generation”としました。“刷新と創造”、血液学の発展のために今求められている重要な課題です。そして、次世代の若い人材をいかに育成していくかもわが国の血液学の発展にとって重要な課題です。また、これまでと同様に学会の国際化も重要な課題です。第79回日本血液学会学術集会は、このようなコンセプトのもとに新しい企画も含めプログラムを準備しています。特別講演は、私のメンターで多くの日本人の血液医を育てたH. Phillip Koeffler先生(UCLA/National University of Singapore)とASH会長のK. C. Anderson先生 (Dana-Farber Cancer Institute)、EHA会長のP. Sonneveld先生 (Erasmus University)にお願いしております。シンポジウムは10テーマ準備いたしました。さらに、会長シンポジウムとしては、”Young Japanese Hematologists in the World”と題し、PI (Principal Investigator)として自らのラボを持ち、世界を舞台に活躍する若き日本人研究者5名による白血病の分子病態と白血病幹細胞に関するシンポジウムを企画いたしました。また、新しい試みとして会長企画シンポジウムSHI (Socio-Hematology Issues)を4企画行います。(1)専門医制度、(2) 臨床研究のあり方と研究倫理、(3) 女性医師のキャリアアップ、(4) 造血器腫瘍の在宅、緩和医療を取りあげ、シンポジウム形式でエキスパートと議論してみたいと考えています。
 これまで日本血液学会は、アジア各国との関係を大切にしてまいりました。今回もAsian Joint Panel Discussionとして、”MDS/MPN: Progress of Basic and Clinical Research in Asia”をテーマに中国、台湾、韓国、タイ、シンガポール、インドより演者をお招きし、アジアにおけるMDS/MPN診療や研究について議論する予定です。

 学会参加にあたり最も重要なことは、単に聴衆の一員になることではなく、自ら発表し議論に加わる姿勢かと思います。そのような意味で、一般口演やポスターセッションの充実も重要と考えております。若い先生方には是非演題を持っての参加をお願いしたいと思います。若手の演題で最も多いのが日々の診療の中で経験される症例報告です。貴重な症例のドキュメントは血液診療の発展に必須であり、その中から重要な真理が見出されることもあります。また、恒例になりましたASHのご協力によるSETP (Scientific Exchange Training Program)も継続して行います。大学院生、研修医、ポスドクなど若い先生方の日頃の研究成果の発表と参加をお待ちしております。

 昨今は、研究に対する倫理規定が厳しく定められています。特に「人を対象とした臨床研究」に対する倫理規定をしっかりと遵守する姿勢が学会にも求められています。日本血液学会の基本方針としては「自己申告による自己責任」のポリシーで臨みたいと考えています。例年、問題となるのが薬剤の「適応外使用」と「症例報告」です。倫理委員会あるいは施設の承認が必要な演題かどうかは自己で判断いただきますが、その指針は毎月発刊される「日血ニュース」や各地区の地方会にて繰り返しアナウンスしてまいりますので、倫理面での配慮をよろしくお願いいたします。

 日本血液学会学術集会は年々参加者が増え、最近では約6,000名が参加する大きな学会となりました。医師、基礎研究者、薬剤師、検査技師、製薬企業の方々、そして患者さんなど様々な領域の方々が参加されます。また、海外からも招待演者に加え、最近では主にアジアの各国からの一般参加も徐々に増えております。このような多様な方々との交流の場として日本血液学会が果たす役割は大きなものがあると自覚しております。

 今後の診療や研究に役立つような学問的にも充実し、かつ楽しい学会にすべく精一杯努力したいと考えております。会員の皆様のご支援とご協力をよろしくお願いいたします。多くの皆様のご参加を心より歓迎したいと思います。

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