構造化抄録
第Ⅱ章 リンパ腫
Ⅱ リンパ腫
5 びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-1） |
| 文献ID | PMID：8075046 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | Report on a workshop convened to discuss the pathological and staging classifications of gastrointestinal tract lymphoma |
| Evidence level | |
| 著書名 | Rohatiner A, d'Amore F, Coiffier B, et al |
| 雑誌名，巻：出版年 | Ann Oncol 2004； 5:397-400 |
| 目的 | 消化管リンパ腫の病理組織学的、および病期分類に関するワークショップレポート |
| 研究デザイン | ミーティングレポート |
| 研究施設、組織 | |
| 研究期間 | |
| 対象患者 | 学会推奨：Isaacson histological classificationを適応する 消化管リンパ腫のすべての患者は同じように研究されるべき 提唱された予後予測因子を記録する staging classificationを用いる |
| 介入 | |
| 主要評価項目 | |
| 結果 | |
| 結論 | |
| 作成者 | |
| コメント |
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-2） |
| 文献ID | PMID：15213617 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | The role of surgery in primary gastric lymphoma: results of a controlled clinical trial |
| Evidence level | 1A |
| 著書名 | Aviles, A. Nambo, M. J. Neri, N. Huerta-Guzman, J. Cuadra, I. Alvarado, I. Castaneda, C. Fernandez, R. Gonzalez, M. |
| 雑誌名，巻：出版年 | Ann Surg 2004；240:44-50 |
| 目的 | 限局期（IE,II1)胃DLBCLにおける、手術(S)、手術+放射線療法（SRT）、手術+化学療法（SCT）と化学療法（CT）の有効性と毒性を評価するための比較試験 |
| 研究デザイン | ランダム化比較試験 |
| 研究施設、組織 | National Medical Center, IMSS, Mexico |
| 研究期間 | 1985.06 -1996.12 |
| 対象患者 | 589例、原発性gastic lymphoma、DLBCL、18-70歳、初発、ステージIEからII PS 2未満 |
| 介入 | S（148例）、SR（138例）、SCT（153例）、CT（150例） RT: 40Gy、CT: CHOP |
| 主要評価項目 | |
| 結果 | CR割合は4群で同等だった。10年EFSは、S 28%, SRT 23%, SCT 82%, CT 92% で、S/SRTとSCT/CT間で有意差を認めた(p<0.001）。10年OSはS 54%, SRT 53%, SCT 91%, CT 96%であり、S/SRTとSCT/CT間で有意差を認めた(p<0.001）。遅発毒性は手術を受けた群でより頻繁かつ重篤だった |
| 結論 | 原発性胃DLBCLにおいて、SCTは限局期症例に対して良好な治療効果が得られたが、重篤な合併症による死亡例が認められた。この試験結果からはこれら患者に対する治療としては化学療法が推奨される。 |
| 作成者 | 木下 |
| コメント | 大規模な試験であり、手術の問題点と化学療法の有用性を示す成績だが、限局期DLBCLに対する標準療法の一つである化学療法と放射線治療の併用療法が含まれていないことが問題である。 |
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-3） |
| 文献ID | PMID：15958057 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | Japanese multicenter phase II study of CHOP followed by radiotherapy in stage I-II, diffuse large B-cell lymphoma of the stomach |
| Evidence level | 2A |
| 著書名 | Ishikura, S. Tobinai, K. Ohtsu, A. Nakamura, S. Yoshino, T. Oda, I. Takagi, T. Mera, K. Kagami, Y. Itoh, K. Tamaki, Y. Suzumiya, J. Taniwaki, M. Yamamoto, S. |
| 雑誌名，巻：出版年 | Cancer Sci 2005；96:349-52 |
| 目的 | 限局期胃DLBCLに対するCHOP3コースと放射線治療の併用療法（CHOP×3＋IF-RT）からなる胃温存療法の認容性と有効性の評価 |
| 研究デザイン | 多施設共同第II相試験 |
| 研究施設、組織 | 日本、多施設共同研究 |
| 研究期間 | 1999.12～2003.2 |
| 対象患者 | 胃原発性DLBCL、病期I/II1、20～75歳、PS 0-1、臓器機能正常、登録55名 |
| 介入 | CHOP療法を3コース施行後、放射線療法40.5Gy |
| 主要評価項目 | 忍容性 |
| 結果 | 55例が登録されて54例で治療が完遂した。重篤な合併症はなし。CR割合は92%、3例がPDとなった。観察期間の中央値28ヶ月での2年PFSは88%、2年OSは94%だった。 |
| 結論 | CHOPと放射線療法からなる胃温存療法は、限局期胃DLBCLに対する安全で有効な治療法であり、極めて合理的な治療オプションとなる。 |
| 作成者 | 木下 |
| コメント | 比較的少数例の試験だが、前方向試験において限局期DLBCLに対する標準療法が胃原発例に対しても優れた治療法となることを示した。 |
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-4） |
| 文献ID | PMID：16129843 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | Treatment results in localized primary gastric lymphoma: data of patients registered within the German multicenter study (GIT NHL 02/96) |
| Evidence level | 2A |
| 著書名 | Koch, P. Probst, A. Berdel, W. E. Willich, N. A. Reinartz, G. Brockmann, J. Liersch, R. del Valle, F. Clasen, H. Hirt, C. Breitsprecher, R. Schmits, R. Freund, M. Fietkau, R. Ketterer, P. Freitag, E. M. Hinkelbein, M. Heinecke, A. Parwaresch, R. Tiemann, M. |
| 雑誌名，巻：出版年 | J Clin Oncol 2005；23:7050-9 |
| 目的 | 胃原発NHLに対する非手術療法の非劣性の検討 |
| 研究デザイン | 非ランダム化プロスペクティブ試験 |
| 研究施設、組織 | ドイツ 多施設共同 (GIT NHL 02/96試験） |
| 研究期間 | 1995.12 -2004.01 |
| 対象患者 | 18歳以上、限局期胃原発NHL 393例 |
| 介入 | 手術を行うかどうかは参加施設毎の判断に従った。Aggressive lymphomaではCHOP-14療法を６コース施行した後、IF-RT(40Gy)を施行した。Indolent lymphoma (ピロリ菌除去不応例を含む）ではextended-field radiotherapy, 30Gy後ブースト10Gyを行った。 |
| 主要評価項目 | |
| 結果 | 747例の胃原発NHLが登録されて、393例が限局期胃原発NHLだった。限局期胃NHLでは、42か月OSは手術ありで86%に対して手術なしで91％だった。 |
| 結論 | 胃温存療法によって良好な治療結果が得られ、その不利益は示されなかった。 |
| 作成者 | 木下 |
| コメント | 多数例のデータに基づく胃原発NHLに対する胃温存療法の有用性を示す成績だが、低悪性度から高悪性度まで含まれるなど対象が不均一である。治療法も不均一で、手術療法の有無が施設判断にゆだねられてランダム化されていないため、手術療法療法を含めた治療戦略の有用性に関する正確な評価は困難である。 |
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-5） |
| 文献ID | PMID：15205203 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | Rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine and prednisone (R-CHOP) for treatment of early-stage gastric diffuse large B-cell lymphoma |
| Evidence level | 3iiiA |
| 著書名 | Wohrer, S. Puspok, A. Drach, J. Hejna, M. Chott, A. Raderer, M. |
| 雑誌名，巻：出版年 | Ann Oncol 2004；15:1086-90 |
| 目的 | 限局期胃DLBCLに対するR-CHOP治療の有用性に関する後方視的研究 |
| 研究デザイン | |
| 研究施設、組織 | オーストリア ウイーン大学 |
| 研究期間 | |
| 対象患者 | 15例、限局期胃DLBCLで初期治療としてR-CHOPを施行した患者 |
| 介入 | 非介入 観察研究 |
| 主要評価項目 | |
| 結果 | 15例が合計79コースのR-CHOPを実施され、CRが13例、PRが2例と前例で奏効が得られた。観察期間中央値15か月で、CR 13例中リンパ腫によらない死亡1例を除いて全例がCRを維持していた。リツキシマブによる副作用の増加はみられなかった。 |
| 結論 | R-CHOP療法は限局期胃DLBCLにおいて効果的な治療法である。 |
| 作成者 | 木下 |
| コメント | 少数例の後方視的研究という限界があるが、胃原発DLBCLに対するR-CHOPの有用性を示唆する成績である。 |
| 分類 | DLBCL |
|---|---|
| 番号 | CQ11-6） |
| 文献ID | PMID：21822617 |
| 文献ﾀｲﾄﾙ | Retrospective analysis of primary gastric diffuse large B cell lymphoma in the rituximab era: a multicenter study of 95 patients in Japan |
| Evidence level | 3iiiA |
| 著書名 | Tanaka, T. Shimada, K. Yamamoto, K. Hirooka, Y. Niwa, Y. Sugiura, I. Kitamura, K. Kosugi, H. Kinoshita, T. Goto, H. Nakamura, S. |
| 雑誌名，巻：出版年 | Ann Hematol 2012；91:383-90 |
| 目的 | 原発性胃DLBCL）に対するリツキシマブ治療の後方視的研究 |
| 研究デザイン | 後方視的解析 |
| 研究施設、組織 | 日本、多施設共同研究 |
| 研究期間 | 1995.01 -2009.01 |
| 対象患者 | 95例、初発、原発性gastic ＤＬＢＣＬ |
| 介入 | 非介入 観察研究 |
| 主要評価項目 | |
| 結果 | 限局期胃DLBCL 58例のうち、R-CHOP 6コースを受けた症例の3年PFSは91%、3年OSは91%、R-CHOP 3～4コース後IF-RTを受けた症例の3年PFSは92%、3年OSは95%と有意差を認めなかった(PFS: p=0.595, OS: 0.278)。進行期 37例でR-CHOPで治療された症例の3年PFSは43%、 3年OSは64%だった。 |
| 結論 | Rituximab時代における胃原発DLBCLの治療成績は、限局期では極めて良好だったが、進行期においては不十分である。 |
| 作成者 | 木下 |
| コメント | 後方視的研究だが、rituximab時代の比較的まとまった成績である。限局期胃DLBCLに対してはR-CHOP 6コースとR-CHOP 3～4コース＋IF-RTがともに良好な効果を示すことを示唆するデータである。 |
