構造化抄録

Ⅰ章 白血病

Ⅰ 白血病

2 急性前骨髄球性白血病
分類 APL
番号 CQ10-1)
文献ID PMID:3162101
文献タイトル Retinoic acid embryopathy.
Evidence level 3iiiC 
著書名 Lammer EJ, Chen DT, Hoar RM, Agnish ND, Benke PJ, Braun JT, Curry CJ, Fernhoff PM, Grix AW Jr, Lott IT, et al.
雑誌名,巻:出版年 N Engl J Med 1985; 313: 837-841.
目的 レチノイン酸の催奇性についてのレビュー
研究デザイン ケースレビュー
研究施設、組織  
研究期間  
対象患者  
介入  
主要評価項目  
結果 妊娠中にイソトレチノインが内服されていた154例のうち95例が人工中絶、26例が正常児出産、12例が自然流産、21例が奇形児出産。前方向的に観察しえた36例では8例が自然流産、23例が正常児出産、5例が奇形児出産であった(相対危険度:25.6)。奇形として、頭顔面・心臓・胸腺・中枢神経系の異常がみられた。
結論 レチノイン酸には強い催奇性がある。
作成者 藤田浩之
コメント 1980年代の論文であるが、レチノイン酸の催奇性について網羅的にまとまっている。

分類 APL
番号 CQ10-2)
文献ID PMID:9644328
文献タイトル Developmental and reproductive toxicity of inorganic arsenic: animal studies and human concerns.
Evidence level レビュー
著書名 Golub MS, Macintosh MS, Baumrind N.
雑誌名,巻:出版年 J Toxicol Environ Health B Crit Rev. 1998; 1: 199-241.
目的 ヒ素の発育・生殖への毒性についてのレビュー
研究デザイン レビュー
研究施設、組織  
研究期間  
対象患者  
介入  
主要評価項目  
結果 多数の動物実験により、ヒ素は胎盤を容易に通過し、容量依存性に胎児の子宮内死亡・発育障害・奇形をもたらす。ヒトに対しては井戸水や精錬所などで曝露された妊婦の疫学調査により、死産や奇形率が有意に増加させることが知られている。
結論 ヒ素は胎児に重篤な毒性がある。
作成者 藤田浩之
コメント ヒ素の発育・生殖への毒性について、動物実験やヒトの疫学調査につき膨大な文献が紹介されたうえで、レビューされている。

分類 APL
番号 CQ10-3)
文献ID PMID:18812465
文献タイトル Management of acute promyelocytic leukemia: recommendations from an expert panel on behalf of European Leukemia Net.
Evidence level ガイドライン
著書名 Sanz MA, Grimwade D, Tallman MS, Lowenberg B, Fenaux P, Estey EH, Naoe T,
Lengfelder E, Büchner T, Döhner H, Burnett AK, Lo-Coco F.
雑誌名,巻:出版年 Blood 2009; 113: 1875-1891.
目的  
研究デザイン ガイドライン
研究施設、組織  
研究期間  
対象患者  
介入  
主要評価項目  
結果  
結論 妊娠初期は、抗癌剤治療により胎児に重大な奇形を引き起こす可能性が高い。また胎児死亡の可能性も高く、母体の生命の安全を優先し、妊娠中絶を十分に検討する必要がある。挙児希望などの理由により妊娠中絶を行わない場合は、ATRAやATOの投与は避け、アントラサイクリン単剤で治療を行うことが望ましい
作成者 藤田浩之
コメント ELNが作成したAPLのガイドラインである。

分類 APL
番号 CQ10-4)
文献ID PMID:15120665
文献タイトル Use of chemotherapy during human pregnancy.
Evidence level レビュー
著書名 Cardonick E, Iacobucci A.
雑誌名,巻:出版年 Lancet Oncol 2004; 5: 283-291.
目的 妊娠中の抗癌剤治療についてのレビュー
研究デザイン レビュー
研究施設、組織  
研究期間  
対象患者  
介入  
主要評価項目  
結果 妊娠初期にAra-Cまたはチオグアニンで急性白血病の治療を受けた41例全例で胎児異常が見られた。ドキソルビシンまたはダウノルビシンの投与を妊娠中期以降に受けた28例では3例で流産したが、身体的奇形は見られなかった。イダルビシンは他のアントラサイクリン系と異なり胎盤移行率が高い。
結論 妊娠初期にはAra-Cを含む治療はできるだけ避けるべきである。またイダルビシンも避けるほうが望ましい。
作成者 藤田浩之
コメント 妊娠時の化学療法について、抗癌剤の系統別・疾患別にレビューされている。

分類 APL
番号 CQ10-5)
文献ID PMID:
文献タイトル The management of acute promyelocytic leukemia presenting during pregnancy.
Evidence level レビュー
著書名 Culligan DJ, et al.
雑誌名,巻:出版年 Clin Leukemia 2007; 1: 183-191.
目的  
研究デザイン レビュー、ガイドライン
研究施設、組織  
研究期間  
対象患者  
介入  
主要評価項目  
結果
結論 妊娠を継続する場合、妊娠初期はアントラサイクリン単剤で治療を行い、妊娠中後期はATRAまたはアントラサイクリンを併用した抗癌剤治療を行う。ATOは妊娠期間中避けるべきである。
作成者 藤田浩之
コメント 妊娠中に発症したAPLについて網羅的にレビューされている。