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先輩たちからのメッセージ(清木 祐介 先生)

更新日時:2021年7月5日

なぜ自分は血液内科を選択したか

清木 祐介
筑波大学大血液内科

どの診療科を専門にしようか、悩んでいる方々の今後の意思決定の参考になるかわかりませんが、私がどのように血液内科を選択したかについて述べたいと思います。
私は①特定の臓器だけを診るのではなく、臓器横断的に患者を診られる医師になりたい、②臨床と研究の距離感が近い診療科が良い、と漠然と考えていたため元々糖尿病に興味があったことも併せて内分泌代謝内科を第一候補に考えていました。そこで学生時代の選択実習先として内分泌代謝・血液内科を選択し、当然内分泌代謝内科の患者を担当するつもりでしたが、まずは血液内科の患者を受け持つように、と言われてしまい突然血液内科の患者を担当することになりました。血液内科の講義はわかりにくくてよく覚えていない、どんな病気かよくわからない、イメージがわかない、と戸惑い、よくわからないままカルテと患者を行き来していました。ただ、当時の指導医にご指導を頂きながら少しずつ疾患の全体像がつかめ、理不尽な造血器腫瘍に苦しめられる患者を助けられることに魅力を感じ始めました。
その後内分泌代謝内科・血液内科のどちらかになろうと思いながら初期研修医を迎え、悩みましたが血液内科に全人的に患者を診ることができる魅力的な上司達がいらっしゃったことが最終的な決定打となり血液内科を選択しました。
実際に血液内科医となって、全人的に患者を診る能力は予後だけでなくその患者のQOLにも影響を及ぼすと感じており、自分自身まだまだ未熟ですが他分野の知識が活かされる場面が多いと感じています。また、診断から治療まで完結できる科とあって患者や家族との関係がとても濃厚であり、そこも魅力です。当然、治療が上手くいけばお互いに幸せですが、治療経過が厳しい患者や家族に話をしなければならないことも多くあります。そこで如何に寄り添うことができるか、どのような最期を迎えることが一番幸せなのか。答えが出ないことが多く苦しいですが、患者から多くのものを学ばせていただいているように思います。

最後になりますが、今回お話を頂いたきっかけでもある研究について少し述べたいと思います。EHAでは日本血液学会よりご支援を頂き再発・難治性血管免疫芽球性T細胞リンパ腫に対するdasatinib (元々CMLやPh陽性ALLに使用するチロシンキナーゼ阻害薬)の第Ⅰ相試験の結果を報告させていただきましたが、現在は元々興味のあった代謝と絡めて白血病と代謝というテーマで研究をしております。詳細は記しませんが将来的に代謝を切り口に新たな治療標的を発見できるよう日々奮闘中です。

血液内科を専攻に選び、苦しいことも少なくないですが臨床・研究共に充実した生活を送ることができています。少しでも血液内科を候補として考えてくださっている方々が決断するための一助になれば良いなと思います。その上で血液内科を選択してくだされば大変嬉しく思います。

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