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血液内科って面白い!!

更新日時:2024年4月25日NEW

血液内科って面白い!!

山﨑 悦子
横浜労災病院 血液内科 部長

日本血液学会web site「研修医・医学生のみなさま」を覗きにいらしていただいた皆様、こんにちは!

このweb site をご覧になっていらっしゃる先生方は、自分の将来として血液内科を一つの選択肢とされている方、あるいは、血液内科に進んだけれど今後自分はどうやってキャリアを積んでいこうかと考えている方、はたまた同僚の女性医師たちは何を考えているのだろうとか、後輩女性医師をどのように導いていこうと試行錯誤されているそれなりの年齢の方、でしょうか。いずれにせよ、何かしら「血液内科って面白い!!」って思われている先生方であることは間違いないと思います。
私が、「血液内科って面白い!!」と思った一番の理由は、診断から治療、そして状況に応じて最期の看取りまで、患者さんに一貫して関われることからでした。もともと志望していた消化器内科を研修したときに、診断は出来ても治療は外科にお願いしなければならない(現在は内科的治療もずいぶん進化しましたが私の研修医時代は…)状況で何だか思っていた医師像とは違うぞ、と感じていたのでなおさら血液内科が魅力的に映ったのだと思います。
他科の先生方からは「血液内科って急変が多くて大変でしょ」とよく言われますが、血液内科での急変は医師としてずっと関わってきた患者さんですので、他科の先生方の言う「大変」とは少し違います。実際それほど急変は多くありませんし、多くの場合、患者さんの病状が悪くなるのは予測がつくので、本当の意味での急変ではありません。また、最近は所属するメンバーの多い血液内科では主治医制からグループ診療制に移行しているところも増えています。そういった意味でも血液内科は女性医師にも大変適した診療科だと思っています。

私は、現職への異動前に横浜市立大学附属病院臨床検査部部長を8年間務めておりました。大学内の人事で血液内科講師から検査部部長としての異動でした。臨床医が天分だと思っていたので検査部異動で患者さんを診ることをしない立場になることは当初躊躇がありました。でも実際には検査部所属となってみれば、臨床医とはまた違った視点で病院全体を中央部門から俯瞰するいい経験になったと考えています。また、検査専門医は血液専門医にとって比較的取得しやすい専門医資格であり、ライフイベントなどで臨床が難しくなった血液内科医にとっては有望な選択肢の一つとなります。私が、昨年また臨床へ戻ったのも、医局の人事です。9年ぶりの臨床で、その間に新薬はたくさん出ているわ、一部では標準治療も変わっているわ、本当にcatch up出来るのかとても不安でした。しかし、やはり患者さんと接する毎日はとても充実して楽しく仕事をしています。私が医師としての30年間、仕事を継続するために心がけてきたことがあります。1つは、どんな状況にあっても仕事を愉しむこと(愉しいと思えることを見つけること)、そしてもう1つ、仕事とは全く別の自分が愉しめることに使う時間を作ること、です。私にとって、医学業界以外のことを知ること、業界以外に仲間を作ることは、自分のメンタリティーを保つのにも有効に働いています。自分で道を切り開くことはとても素晴らしいことですが、実際にはなかなか難しいのが現状です。周囲のさまざまな仲間に助けられながら、吹いてくる風にどう乗っていくのか、受け流すのか、自分が進みたい方向に帆を調整するのか、その選択をすることはどんな状況に置かれていても可能でしょう。‘We cannot direct the wind, but we can adjust the sails.‘は、アメリカのカントリー・ミュージシャン Dolly Parton の言葉ですが、彼女は‘Nobody’s gonna live for you.’とも言っています。自分の人生は自分にしか生きられない、その道をどう選択していくのか、周囲の人に助けられながら選択をしていくのもいいのではないかと考えています。そして、今回、風に吹かれるままに臨床へ戻って、感じること、やっぱり「血液内科って面白い!!」。

 

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