日本血液学会

研修医・医学生のみなさま | For Young Doctors
関連ページ
第86回日本血液学会学術集会
The 14th JSH International Symposium 2024 in Hakodate

明るく優しい血液内科医を育てる

更新日時:2024年4月25日

明るく優しい血液内科医を育てる

安藤 美樹
順天堂大学大学院医学研究科血液学講座

 私は2021年10月に順天堂大学血液内科の科長に就任しました。その際に、どんな医局にしたいか、どのような医局員を育てたいか、考えて決めたのが、「明るく優しい血液内科医の育成」です。今考えると平凡にも聞こえます。しかし、この言葉には私の多くの想いが詰まっています。
 私が血液内科に入局した頃、働く環境は決して今のように整備されていませんでした。大学全体を見渡しても有給の女性スタッフは極めて少なく、妊娠、出産を機に大学を辞める先生がほとんどでした。産休育休という言葉はあったと思いますが、その制度が医師にも適応されていたのか記憶にありません。しかし、そのような私の常識を根底から覆されたのが米国留学の経験でした。
 私は順天堂大学血液内科に入局後、当時治療の手立てがなかった進行期の節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型(ENKL)に有効な薬剤を見つけることを学位論文のテーマに、基礎研究を開始しました。診療との両立は大変でしたが、とても楽しく夢中で研究をしました。その甲斐あり、運良くENKLのキードラッグ、L-asparaginaseを見つけることができ、当科でキードラッグを含む化学療法を提案しました。後にSMILE療法と名を変え、JCOGの臨床試験で有効性が証明され、進行期ENKLの世界的な標準治療となりました。その後、出産で中断はしたものの、かねてからの夢であった米国留学に行かせていただきました。リーマンショックと重なったことから大変な苦労をいたしましたが、ベイラー医科大学のMalcolm K Brenner教授のポスドクとして働けることとなり、革新的な遺伝子細胞治療研究に携わらせていただきました。そして臨床応用まで進めるためのTranslational researchを勉強しました。
 多くの女性がPIとしてラボを運営しながら、研究グループリーダーとして活躍する姿を目の当たりにするうちに、このような前向きな働き方は自然と自分の将来の理想像になりました。子育て中の女性もフルタイムで働くことが当然の社会で、どうしたら無理なく働くことができるのか、深く考えさせられました。ラボの雰囲気は常に明るく、土日に子供を連れてラボに来ても皆さんとても優しく受け入れてくれました。これが今の私の働き方に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。
 「明るく優しい血液内科医の育成」、明るくとは聡明でかつ、患者さんに希望を与える医師であってほしいという意味を込めています。血液内科は一生勉強が必要ですから、若い先生には多くの学びと現状に満足しない探究心を持ち続けてほしいと思います。また、優しい血液内科医として病気に苦しむ患者さんのことをいつも想い、同僚と苦しい時に助け合う思いやりを持ってほしいと願います。私は若い先生にはのびのびと勉強し、思い切り活躍してもらいたいと願い、それが実現できる環境づくりを積極的に行なっています。そして多くの方々にサポートしてもらったことで今の私があることを決して忘れず、これからも患者さんのためになるよい仕事をして、血液内科医として貢献したいと思います。これからの時代を担う若い先生達が男女を問わず活躍できる時代が間も無く来ると強く信じています。

 

To Top