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血液疾患の診療は医師の実力が試される、やりがいのある分野 -女性も男性も、みんながハッピーに働ける職場環境を実現したい

更新日時:2023年11月17日

血液疾患の診療は医師の実力が試される、やりがいのある分野
女性も男性も、みんながハッピーに働ける職場環境を実現したい

堺田惠美子
千葉大学医学部附属病院 血液内科 科長 診療教授
造血細胞移植センター センター長

 研修医、医学生の皆様、千葉大学血液内科 堺田と申します。現在、千葉大学血液内科の診療教授を拝命し、診療、研究、医学部・大学院教育に加えて医局運営に携わっています。
 私は血液内科を生業としているわけですが、実は大学卒業の時期には、まだ進路を明確に決めきれていませんでした。医局選択にも迷われている方もおられるかと思いますので、少し昔話をさせて頂きますが、お付き合いください。
 もともとは、漠然と「どちらかというと内科」に進みたいと思っていましたが、いろいろと経験してから自分に合った科に入局したいと考え、多くの症例を経験できる病院(野戦病院)でのローテート研修を希望し、めでたく希望通りの初期研修病院へ就職しました。初期研修では、予想(期待?)通りの忙しい研修生活でしたが、尊敬できる上司、かけがえのない仲間との出会いもありました。日々大変ではありましたが楽しく、また様々な学会や研究会での発表や論文執筆の機会もいただき、世界が広がり、とても充実していました。いろいろな科をローテートしましたが、診断時の病状は深刻で、とても助からないだろうと思っていた造血器腫瘍の患者さんが、薬物療法や移植治療で病気を克服し、元気に退院される姿を目の当たりにし、「血液内科ってすごい科だ!」と、とても衝撃を受けました。それとともに医師の力量によっては、患者の予後や満足度が大きく異なることも体験し、やりがいを感じるとともに、もっと勉強しなくてはと強く思ったことを覚えています。診断から治療、そして看取りまで、1人の患者さんを血液内科という1つの科でシームレスに診療できることは、とても魅力だと思い、血液内科に入局を決めました。
 こうして晴れて「血液内科医」としてキャリアをスタートした私ですが、必ずしも順風満帆ではありませんでした。血液内科診療は楽しくやりがいもあったのですが、当時の職場環境は子育て中の女医には厳しく、患者の急変の際には夜でも呼ばれ、子どもを連れて病院に駆けつけることもしばしばでした。体力的にも精神的にもきつく、当時は「とにかくやれるだけやってみて、だめならやめればいい」と思っていました。
 その後、幸いにも当院では職場環境の改善が急速に進み、ワークシェアリングの実現により夜間に呼び出されることはなくなり、ここまでとても楽しく仕事を続けて参りました。興味の向くままに、白血病、移植後合併症、骨髄腫、骨髄腫類縁疾患であるPOEMS症候群の診療や研究に没頭しました。
 「血液内科はブラック」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。全国の血液内科の先生方とも意見交換する機会がありますが、血液内科の先生方は教育的な方が多く、改革に積極的です。現在、私自身が職場環境を管理する立場となりました。研究、臨床、教育、いずれの場面でも、一人ひとりが最大限の力を発揮できる働きやすい環境を実現するのが、今の私の目標です。私が助けてもらい、育てて頂いた分、微力ながらこれからは若い皆様に還元できればと思っています。
 血液内科で扱う「薬物療法」、「移植治療」や「免疫療法」は、がん治療の最先端を行く医療であると思います。血液診療は目覚ましい進歩を遂げつつあり、きっとこれから血液内科医を目指す皆さんにとっても、良い時代が来るものと確信しています。臨床も研究も、血液内科は活気に満ちています。ぜひ、若い方々にも血液内科の輪に加わっていただけましたら幸いです。
 ともに血液疾患の克服を目指し、一緒に仕事ができることを楽しみにしています。

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