日本血液学会

研修医・医学生のみなさま | For Young Doctors
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先輩たちからのメッセージ(麻生 智愛 先生)

更新日時:2022年7月6日

学生・研修医のみなさんへ

麻生 智愛
(埼玉医科大学国際医療センター造血器腫瘍科)

 学生の頃、血液内科は難解な教科であり、血液をみて何が面白いのだろうと思っていました。もともと腫瘍の発生や抗がん剤の作用機序について興味はありましたが、画像所見が明らかで、手術で治療できる腫瘍に興味を持っていました。血液は血液しかみない狭い分野で、ドラマチックな手技もないと考えていました。研修医となり、血液内科を研修してみると、学生の頃に抱いていたイメージとは異なりました。自分で診断し、自分で治療し、全身をみていかなければいけない科でした。一番魅力に感じたのは自分で診断ができることです。自分で検査の計画を立て、即日顕微鏡で実際に確認し、検査結果を吟味し、治療を開始します。そこに魅了されました。顕微鏡をのぞいたときにあっと思う瞬間がやりがいのある瞬間かもしれません。遺伝子変異やフローサイトメトリーなどから疾患の予後を予測し、全身評価後に治療について検討していきます。ガイドラインはありますが、その中で、化学療法や骨髄移植の選択について議論します。ドラマチックな手技はありませんが、骨髄穿刺・生検をはじめとし、髄注、胸水穿刺、腹水穿刺、中心静脈カテーテル留置と内科が行うあらゆる手技を習得する必要があります。
 患者さんが受診された日から長い年月を共に戦います。化学療法中は入院治療が多く、ほとんどの方は長期の入院が必要となります。その中で、ご本人のやりがいや楽しみ、希望、ご家族のお気持ちに寄り添います。しかし、治療経過中に命を落とされる方もいらっしゃいます。決して全ての患者さんが笑顔で退院できる疾患ではありません。
 『先生が担当の先生でよかった』と言っていただいたときや『先生の説明が聞けてよかった』と言っていただいたときほっとする思いがします。
 近年、新規薬剤や治療法により血液疾患の治療はさらに新しくなってきています。予後の改善や高齢者への治療も可能となりつつあります。まだまだ研究が進む分野です。多くの方が血液内科に興味をもっていただけるとうれしいです。
 最後に若輩ものの私にこのような機会を与えていただましたことを感謝いたします。

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