日本血液学会

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第84回日本血液学会学術集会

先輩たちからのメッセージ(原田 介斗 先生)

更新日時:2022年1月11日

ぼくと血液内科

原田 介斗
(東海大学血液腫瘍内科)

<血液内科に興味を持ったきっかけ>

僕が血液内科に興味を持ったのは初期研修医のローテーションの時になります。学生時代はおそらくは多くの学生さんが抱いているイメージと同じように、「何となく血液内科ってわかりづらい」というイメージを思っていました。
その後初期研修医となり、いろいろな内科を回るなかで内科学って面白い!と考えるようになっていました。そんな中、初期研修医1年目後半で血液内科をローテーションしたのですが、心臓腎臓肝臓と多岐にわたる臓器障害、これまで見たことがなかった免疫不全患者の感染症など、様々な内科力が試されるためとても勉強になったことを覚えています。また中心静脈カテーテル挿入や腰椎穿刺などの手技が豊富なため、ローテーションで手技が大きくレベルアップし、学生の実習で回る血液内科と、研修医で回る血液内科はこんなに印象が違うものかと驚きました。そして何より自分にとって大きなインパクトだったのは、40歳前後の白血病患者さんです。その患者さんはもともとバリバリ働く年代ですから、奥様と子供二人、家族を支える立場であったのに、突然白血病を発症して入院となってしまいました。抗がん剤治療を複数回行うもまったく白血病のコントロールがつかず、命の危機に瀕していましたが、患者さんの骨髄を破壊して他人のものに取り換える”造血幹細胞移植”によって白血病が寛解となり、無事退院していきました。指導医の「この年代の患者さんを救うことは、その家族の生活も救うことになる」という言葉に感動するとともに、造血幹細胞移植のポテンシャルを目の当たりにし、血液内科医になろうと決心しました。

<造血幹細胞移植にどっぷりつかった後期研修医時代>

造血幹細胞移植をやりたいと考えた僕は、日本で最も造血幹細胞移植施行件数が多い施設の1つである都立駒込病院で後期研修医として血液内科医としてのスタートを切りました。年間100件を超える数の移植を行っており、指導医の先生方は皆移植医としての熱いハートを持っていて、移植のイロハを教えていただきました。個性ある同期にも恵まれ、造血幹細胞移植にどっぷりとつかって非常に充実した4年間を過ごしました。しかし、化学療法でコントロールのつかない手ごわい白血病は移植しても再発してしまうことが多く、造血幹細胞移植の限界も痛感することになりました。

<研究という新しい世界>

造血幹細胞移植の限界を感じた僕は、より多くの患者さんを救うために移植を基礎から勉強しなければならないと思い、縁あって東海大学の大学院に進学することにしました。大学院では造血幹細胞の造血再構築をより促進するために骨髄の環境をどうコントロールするかといった研究や、造血幹細胞のエネルギー代謝におけるミトコンドリアの役割といった研究に加えて、これまで同様に造血幹細胞移植の戦略に関わる臨床研究も続けていきました。医学生時代に極力勉強をサボっていた自分にとって、基礎研究は最初右も左もわからず、ピペットの扱いやDNAとRNAとは、といった根本的なところから勉強のやり直しでした。しかし臨床医としてある程度成長してからあらためて生理学や分子生物学を勉強するのはとても面白く、基礎研究に触れることで新しい世界が開け、臨床だけやりながら残りの医者人生を過ごすのはもったいないと思うようになりました。そのため、これからも造血幹細胞移植をやりながら、基礎研究もバリバリやるという臨床と基礎の二刀流を続けていきたいと考えています。

血液内科の面白さは基礎と臨床、両者からの視点を持つとさらに何倍も楽しくなるように思います。骨髄穿刺すれば容易に1億個を超える白血病細胞をとってこられるため、基礎研究を応用した最先端の治療が臨床に応用されており、患者さんからT細胞を採取して遺伝子改変して体に戻すCART療法や、体内のT細胞を強制的に活性化して腫瘍を攻撃させる二重特性T細胞誘導抗体など、非常にダイナミックな治療が日進月歩で開発されています。腫瘍学、免疫学、感染症学、分子生物学などすべての内科学的要素を集めたキングオブ内科、それが血液内科になると思います。研修医の先生で血液内科をまだ回ってない人はぜひ一度ローテーションしてください。絶対に血液内科への考えが変わると思います。血液内科が難しいと感じている医学生の皆さんも研修医になったら一度ローテーションしてください。絶対に血液内科への考えが変わると思います。血液内科の魅力が1人でも多くの人に伝わるよう願っております。

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